第15話「急展開(後編)」
我がギルドに派遣されたメンバーは以下の通りである。
以下メンバー表
フォルツァ
ルボラン 騎士
リフェラ アサシン
アルファ 柔術士
レオナルド
イモリ アサシン
ローレン 魔術師
カルカ ウォーリア
DC
シリアン 騎士
ローズ ウィッチ
ガガSP
クロノ 騎士
シュラ 格闘家
PROUD
グラン 騎士
アニマル ジャイアント
BV
セルベンティ ウィッチ
オムニア アーチャー
なんつーか、マラソンでいう関東学生連合チームって感じだな。
リストをみながら、俺は指令室に案内されていた。
部屋には総司令官室と記入されていた。
身に余るほどのネームに俺は少し眩暈がしそうだった。
二週間でエウロパ討伐の足掛かりにしろってことだよな。
占領戦は4時間という長丁場だ。
まずはどう出るかというのが問題だ。いきなり国境での戦闘はきついなぁ。
ん~~どうするかなぁ~~~~。
ふと安易なことを思い出した。
孫子兵法
敵を知り、己を知れば百戦危うからず
まずはこれか……。
どうやら野に放った草を回収しにいくとするか。
アイオリアを呼び出した。
「おい、俺は情報がほしいんだが、どいつが使える。俺に今から彼らとコミュニケーションとって連携するまでの時間が惜しい。信頼できるヤツはどいつだ?」
「ああ、ルボランとリフェラあたりは俺の隊にいた奴だからそいつらじゃないか?呼んでくるわ」
アイオリアは招集をかけてきた。
しばらくして二人が部屋に入ってきた。
アイオリアは「よぉ!」っていってしばらく会ってなかった語らいをしていた。
気が済むまでさせて、終わったようなので俺のとこまできた。
「ルボランです。お初お目にかかります」
「リフェラです。演説を聞いてました。等身大のリーダーだと思って親近感わきました!」
「ひょんなことから、総司令官の官職についちまった。駆け出しだがどうか力を貸してくれ」
「ええ、もちろん。」
二人は快諾してくれた。
「いきなりなのだが、俺が野に放った“草”を回収し、ここに連れてきてくれ。数は三名。おそらくアーモロトにいるはずだ」
「アーモロトですか。今検問やってるんですよね?」
「あーそうだ。そこでまぁアイオリアはもめたんだがね~」
俺はアイオリアを横目にみた。
アイオリアは少し苦笑いをしていた。
「街の中に入るには不可能だと思う。敵対ギルドが街にいるということは後で後をつけられてPKされるのがオチだ。無論デスペナルティはないが、相手は感づき先手を取られることになるそれだけは避けたい」
「わかりました。ではどなたでしょうか?」
ホルス・マノ・グラニ
♂エルフ・♀アサシン・♂ウォーリア
この三名だ。
「そして、レンタル移籍中だから、どっちのギルドマークをつけても構わないが、彼らと会えた時、俺の名前と状況を説明し、俺んとこに来るように伝えてくれ。無印に追手はこない。彼ら三名の国境越えが君ら二人の任務だ。そして、俺からの最初の指令だ」
「いよいよ、反旗を翻す布石を打つことができるのですね」
リフェラは少しテンションが高い。しかし、ルボランは浮かないかをしている。
「ルボラン、どうした?嫌なのか?」
少しも笑えてない。
「自分は…。この作戦、うまくいくことがないと思います。」
彼は勇気を振り絞って反論をいった言い方をしているのを感じとれた。
「ほう、では今打てる策を聞こうか」
問うと黙ってしまった。
「……自信がないのか?」
「……はい」
「そんなのは誰もがそれを思う。嫌なら代役を見つけようか?」
「…………」
「……すまんが、君の感情でここで立ち止まるわけにはいかないんだよ。俺は君を嫌うとかそういのではない。君より大多数が俺に期待を寄せている。俺はそれに答えをださなきゃいけない。しかも、失敗は許されないのだよ。それに比べたら、君の仕事は俺のようなプレッシャーを感じるほどではないと思ってしまう。これが俺の視点だ」
「わかってます。でも今までこういうの慣れてなくて……」
「じゃあ初任務だ。リフェラの指示で動け。彼女ならおそらくやり遂げれるだろう。失敗したら、君の責任ではない」
「リフェラ、悪いが全責任を背負ってもらうことになるがいいか?あくまでこれは情報収集の一環だ。別に難しい内容でもない」
「ルボラン、君はリフェラの背中だけを守りなさい。それだけで十分役割は果たしたこととなる」
「では、健闘を祈る!」
そういって彼らに委ねた。
アイオリアは苦笑いしながら、俺の方をみる。
「あれーー??あいつあんなんだったっけなー?」
おかしいなと顔をしていた。俺はやれやれといった感じでアイオリアにいう。
「みんな不安なのはわかる。俺も不安だ。だけど、俺が筆頭になっている以上、虚勢を張ってでもいないと意味がない」
「たしかに。それにしてもマスター。中々のご指導ですね。現実はあーはなりませんよ?」
「ゲームだけど、簡単な任務を与えて適度な緊張感を持たす。大事なことだよ」
「そうですね。あの場面大概の現実の上司は、任せられないと言って代役を立てます。立てれば立てたで、それはそれで拗れることになる。人間というのはかくもメンドクサイ生き物ですね」
「メンドクサイ君がそれをいうかねぇ~?」
俺は横目で彼を見つめる。
「まいったなぁ~」と一本取られたような言い方だった。
二人が出て行ってから、すぐにクリスが入ってきた。
ドンドン!ガチャ!
クリスは入るやいなや、俺の座っている机に走り込み、俺の顔に近づけていう。
俺は少し顔を照れてしまった。
「セイメイさん!!私にも何か任務をください!!」とさらに近づいてくる。
「あはは…じゃあ秘書ちゃんをお願いしようかな??」と俺はタジタジだ。
「そうですね!秘書ならセイメイさんのそばにいてあげられますね!」
「そ、そうだな。俺の身も守ってくれそうだしな!」
「そうですよ!死ぬ前に私、セイメイさんのこと守ってますからね!」
ふん!と鼻息を荒くしていう。
「お兄ちゃんだと肝心な時、そばにいませんからね!私がセイメイさんを守ります!!」
そうクリスがいうと、アニキの方をみて反対させないぞといわんばりににらみつける。
「そうだな~たまたまなんだけどなぁw」
「ま、まぁいいじゃないか?秘書官兼ボディーガードの大役を担ってもらおうよ!ねぇ!?」
アイオリアに助け舟を求めたが、無視された。こいつ!!!
「セイメイさんは優しすぎます。とくにお兄ちゃんに対して!」今度は膨れた。
「そんなことないぞ!こんなイカレ野郎に押し上げられているんだぞ?むしろ迷惑だ!優しさでいったら、クリスの方がよっぽど優しいし!!」
「これで私はお墨付きのガードができるわけですね!」
クリスはニコニコしながら喜んでいた。
次にソロモンが入ってきた。
「なぁマスターよ、本来の目的を見失ってないか?」
「ん?あ!!ブリューナクのクエストか!!うわーーそうだった!!」
俺は頭を抱えた。そんな俺をみてアイオリアがいう
「あれって北の魔女ですよね?ここにはないでしょ?」
「あのな、情報集めたら、ここより南の島の活火山がある。その麓の鍛冶屋に聞けば、北の魔女のクエが発生するかもしれないってとこなんだよ。あーーーくっそこんなとこで!!!」
アイオリアは不思議そうにいった。
「マスターって薙刀ですよね?それをなぜブリューナクに?」
「だってあれLE枠だろ?俺、装備できちゃうんだよ!」
「あーでもパラメータ的に適正Aですよね?青龍偃月刀の適正Sじゃだめなんですか?」
「いやあれは、砂漠超えないといけないし、その時点でメンドクサイかなーって……」
「なるほど……。PROUDに同じLE枠の青龍偃月刀を持っている御仁を知っていますよ。長い間会ってませんが……」
「それで?」
「お会いしてみませんか?何かいい方法があるかもしれません」
「あとマスター、東の貿易船が停泊しているのも気になるところでもある。新しい防具の新調するのもいいなぁ」
「たしかに、薙刀は静御前のモノだし、鎧は源平の鎧だ。オプションで陣羽織をつけてはいるけどね」
「あ、マスター!この際、おもいっきし三国志シリーズにしちゃえば??」
「アバターはそれでもいいけど、それでいくなら三国志演義シリーズで揃えたいなぁ。でも、せっかくのサムライだしなぁ。んー真田もいいし、本田もいいよなぁ意表をついて伊達もいいなぁ……。面頬があったら、見た目はかっこいいしなぁ……」
いろいろ考えていた。
イーリアスはバリエーションに富んでいるからプレイヤーを悩ませてくれる。おまけにカラーリングもそうだ。
俺が色々考えているところをみてソロモンがアイオリアにいう。
「明日一日だけ、司令官の任を忘れさしてやってくれまいか?」
「そのつもりでPROUDの人へ会いにいってほしかったのですよ。安心してください。公務は代行します。何かあれば、すぐに飛んでいきますので、ごゆるりと」
「話のわかるやつだな」
「え?いつもですよ」
ソロモンとアイオリアは不敵な笑みを交わしていた。
俺はこれから多忙を極めることになる前に装備更新に胸を躍らせた。
……まぁこれくらいの我儘は許してもらいたいものだ。
総指令室を出て、俺は6ギルドが軒を連ねるギルドハウスに向かうとしよう。
まずは青龍偃月刀の情報を入手にし、南の島の活火山への足取りの情報入手までがおそらく自分に構っていられる時間だろう。
今は嵐の前の責務から少し荷物を降ろすとしよう。
俺とソロモン、そしてクリスの三名で向かうことになった。
このあと一時的に降ろした責務が、俺の弊害になる事を知る由もなかった。