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第127話「城外乱闘」

~ロームレス・南門内側~


 徐々に集結している南門では、城門突破の作戦が行われており、一足早く敵ギルドの連合軍が破壊活動を行っていた。



「敵総数多数!石壁の修復間に合いません!」

「城門損傷50%を切っています!!もちこたえられません!!」

「んな!馬鹿な!!」

「ファウストさん!!この猛攻は想定外です!」

「修復急げ!僕が出る!!」


 ファウストは城門の外壁に登り詠唱を始めた。


「先生ッッ!!危ない!!」


 ミッシンクスターダストッッ!!


 空から数多の矢が降り注ぐ!


 グラニがファウストの盾となり瀕死に陥る。ファウストは詠唱をとめてしゃがみこみ、近くの壁を探し見つけるとグラニを引きずって敵の攻撃を一時しのぐ。



「バカヤローッ!なんで出てきた!!??」

「あんたがやられたら、一時的に指揮系統が麻痺するだろーが……。」

「ほら!飲め!!」

「ゴグゴク…。」


 ファウストはハイポーションをグラニ飲ませて一命を取り留めた。


「無理しなくても…。」

「ったく!俺んとこの上司達は…、どうして前に出たがるんだ…。みんな目立ちたがり屋なのか…?」

「僕はあんな矢でやられないよ?」


「待ってください!ファウストさん!あれ!!グラブレのマスターですよ!?」

「だれ?その人?」


 後から来たホルスが、ファウストの身を暗示ながらすぐそばまで来ていた。


「Grand Breaker 略称は色々あってGBという人もいます。そこのギルマスですよ?!オーラアタックでもないのに、HPが多い騎士のグラニが瀕死なのはそのせいです!」


「なんであんな威力が出るんだ?」


 グラニは自分の持っているハイポーションをもう一度飲みながから質問を続ける。


「噂で聞いた事あるんですが、神器の1つアルテミスの弓を手に入れたと噂を聞きます。」

「また神器かよ!神器強スギィッ!」


 グラニは焦りながらヤケクソに叫んだ。


「アルテミスの弓ということは、【天からの聖遺物】のクエストをクリアしたということか!!?」

「まぁた!俺の知らないクエスト出てきたァァァーー!」

「自分も知らないですよ、それ。」


「上位レベルで尚且つ、複数人で入るダンジョンを一人で攻略しなければならない。ましてや、奥底に眠るアルテミスの弓を守るモンスターがいる。コイツを倒さなければならない。弓矢では相性最悪、不利の状況で戦いを強いる内容さ。わかりやすくいえば、剣で叶わない敵を剣で戦うようなもんさ。」


 ファウストが余談を話しているとマノが駆け足であがってくる。


「そこの()()()!なにやってるの!?ベルスさんが西門から出て南門に回って城外で戦っているわよ!!?」


 男三人は慌てて城外を見ると南門を攻めていた連合軍の横っ腹を貫こうとしていた。


 ~ロームレス・南門外側~


「怯むな!すすめぇ!!敵は恐るるにたらん!!フォルツァの底力!!見せつけよ!!」


 ベルスは伝令を受けるとすぐさま西門から出陣した。


 西門の様子を伺う敵ギルドの本拠地を一気に駆逐。その上での南門防衛という怒濤の反撃を行った。



 ベルス率いるフォルツァ


 当時、メディオラムに君臨するギルドを討伐、メディオラム共和国の統治化に向けてエウロパの残党が連立した同盟の代理リーダーだった。

  品行方正、ミドルエイジ、穏健派な彼は自分が第二のガルヴァレオンのような覇者になれるなど、思ってもいない。ただ、過ぎ去りし日々を、少しでも退化する速度を緩めていた緩和剤に過ぎないと思っている。

  ギルメンからの信頼は熱く、剣の腕も中々という上位互換のバランスタイプだ。

 しかし、彼にはスター性がなかった。アイオリアのように有名ではなく、セイメイのような策略家で結果で名を売るというタイプでもなかった。まさに、人畜無害で名もなき英雄という言葉が評しやすい。

 だからこそ、なぜ家名を持っているのかギルド外のプレイヤーは知る由もない。


 ここで猛攻を押し切っている連合軍は、この名もなき英雄の恐ろしさをまざまざと魅せつけられる。


「マスター!南城門にファウストらしき人物を確認!!」

「いるのか?流石、ファウスト!信号弾を上げろ!青だ!」


 ヒュルルルルル~!ドーーン!!


「よし、まずは分断するぞ!!陣形を整えろ!!弓兵斉射後、下がり武器持ち替え突撃態勢にて待機!合図をまて!その後、騎士・聖騎士、ヴァルキリーなどの盾持ちは前に出ろ!相手を押せ!」


フォルツァの副マスがベルスからの作戦を聞くと、手を上げてベルスの指示を待つ。

ベルスがこくんと頷くと、手を振り下ろし「うてー!」の掛け声で斉射を促す。

 無数の矢が連合軍の左側面に当たる。連合軍は負けずに打ち返すが、弓職が速やかに下がると盾持ち職が弓スキルで降ってくる矢を阻んでいた。そして、見事なまでのディフェンダーなどのスキルを個々が一斉に放ち、さらに輪をかけるように後方に控えていた魔道士達が間髪入れずにリフレクションをかけ更なる防御力をあげてバックアップをする。


 この隙間なき練兵力によるコンビネーションは、鮮やかに決まる。連合軍の左側面はフォルツァの攻撃をもろに受ける。


 突撃を繰り返していた敵連合軍の横っ腹を叩いていたのは、連合軍の分断と城門突撃の手を緩めるためであった。



 ~ロームレス・南門内側~


 フォルツァの反撃により、南門の攻撃が緩んだ。


「信号弾!青を確認!!」


「打って出ろというのか?このメンツで…。」

「まじ??戦いに出てて、歯がたつ奴らじゃないですよ?」

「いや、あれは僕に特大魔法をぶっぱなせって言ってるんだよ…。」

「特大魔法?」

「ああ、魔道士なら誰でも覚えるメテオさ。」

「あれ、詠唱時間やたら長くないですか?」

「だからやれっていってるんだよ。僕の好きな災厄の審判は、敵味方無視。無に返す魔法と違い、味方には攻撃判定がでない魔法さ。だから倍の詠唱を要する。こちらが手薄になるということを知ってて打っているんだよ。まあ、僕らを()()()()()という見方も出来るけどね。」


「うへ~…。」


「ホルス。連合軍の一角、グラブレのマスターはいるのかい?」

「今は…こちらを見てないですね。」

「なら、君達の攻撃も多少は入るか…。」

「無理でしょ??あんな防御力も攻撃力もおかしい人に!!」


「アリは象を倒すらしいよ?」

「なんという無茶ぶり!!ていうか、俺らありんこなの?」

「じゃあ鼠がいいかい?」

「化け猫に齧りつけと?」


「まぁそんなところだね。僕は詠唱しているから話しかけないでくれ。マノ!ホルスの指示で新規勢が動くからサポートしてやってくれ。修復作業いつもの通り、持てる分だけもって、アクション選択でポン!いいね?」


「ったく!!簡単に言うけどね!冷静に出来るなら、もっと早く回復してるわよ!!いいから早く打ち込んでよね!!?」


「ああ、もちろん!!グラニ!僕のと一緒にいこう。じゃあ、頼んだよ。二人とも。」

「わかりました!」


 ファウストとグラニは城門の通用口を伝って西側に向かった。



 ファウストは移動しながら、グラニにある物を渡した。


「防御スキル惜しみなく使ってくれ。あと、僕の“ファウストスペシャルドリンク”略して、【FSPD】を飲むといい。」

「なんか…麻薬みたいな名前…。これ、合法なの?」

「合法もくそも、錬金術師のお墨付きだぞ?グイッといってね!」

「不味そう…。」


 乗り気ではないが、グラニはそれを受け取ると一気飲みする。


「うは!なにこれ!??」


 グラニは慌ててステータスを開く。


「各ステータスの上昇、防御スキル適用時間延長、視野拡大、それと…。」

「スタミナもあがってるんだが??」

「そうそれ!」

「副作用は?」

「スタミナ上限が半分以下。」


「階段やハシゴもまともに登れねーじゃんか!」

「その頃には、かたづいているはずさ。」

「はず??」

「そう。基本的にエリクサーの効果は瞬間火力、攻撃力を高める効果を狙っている。代償は付きものさ。」


「今回攻撃関係なくない?」

「効果延長が調合した方が延びていいんだよ?」

「くそ!騙された!!」

「失礼だなぁ。僕を信用してよ。」


「時たま信用出来なくなるのはこういう類いの事をするからだよ!!」


 グラニは嘆いていたがファウストが立ち止まる。


「ここなら、ギリ範囲だ。目立たないところだし、いいね。」


 そういうと、詠唱を始めた。


「ああもう!!破れかぶれだ!ディフェンダァァ!」


 グラニはファウストの前に出ると腰を屈めてファウストを守衛する事になった。

 ファウストは詠唱コードを繋ぎ合わせる作業に入っていた。




 太陽は西へ傾きはじめていた。

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