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第125話「開戦」

―――防衛戦当日、


~ロームレス・大広間~


オケアノスを始め、レオナルド・DGのギルメンが隊をなして続々と入場していく。

奇しくもあの日のあの場所で終結しつつあった。

セイメイはあの時の事を今でも覚えている。


セイメイはこの場所から歯車が回った、運命めいた何かを感じずにはいられなかった。


ベルスはそんなセイメイを見つけると、開幕までセイメイと色々と話がしたいと言うことでセイメイは一度、ギルメンらに打ち合わせをしてくると言い、その場を離れた。


~ロームレス・玉座~


セイメイはベルスについていくと、この場所にきていた。

フォルツァの旗が玉座の前に掲げられている。


「セイメイ殿、如何ですかな?ギルメンの調子は?」

「いやいや、至って普通ですよ?みんな楽しそうにこの戦いを待ちわびています。」

「今回はなぜ、セイメイ殿をここに呼んだかお分かりですか?」


ベルスは旗を触りながら質問した。


「生憎、予想屋は廃業中でしてね…。検討もつきません。」

「ははは!ユーモアのあるお方だ。ソロモン殿から聞いてますよ?」

「やはり、隠すのも下手くそなので、盗賊も廃業だな。」

「まぁこれからの言う事は、公式ではなく……。オフレコでお願いします。」

「ああ、わかった。」


「私はね…、セイメイ殿を信じたい。可能性がある限り行動を起こし、諦めなければ負けた事にならないというのを体現している。そこが私には真似が出来ない。だから、尊敬もしている。」

「や、やめてください!…自分は…やはり、ワガママな暴君ギルマスなのかもしれません…。」

「仲間を救おうという名目が暴君とは!!これは否事いなことを…。」

「あぁ…いえ、再三止められてましてね…一悶着あったんですよ…wwお恥ずかしい…。」

「それはあなたの身を案じての反対でしょう。大きなリスクが生じるのに、止めない仲間など仲間ではありませんよ。」

「それを俺の口から言えやしない。」

「なら、私からいいましょうか?」


ベルスはそういうと、セイメイの顔を挑発するような目で見つめる。


「ずるいなぁ。そういえば俺が諦めると踏んでいる。俺の信念をくすぐって俺の気持ちをそちら側に傾けさせる。策士のやることはえげつないですねw」

「えげつなくはない。私だってあなたの身を案じる一人ですよ?」

「それはありがたい。…でも、ギルマスが仲間を見捨てたらダメだというのは、間違ってないと思うんだ。」

「ええ、間違っていません。あなたのおっしゃる通りです。しかし、今回は勝手が違う。非公式のAIが暴走しているだけという案件だ。その問題を解決デリートするのは、運営の問題だ。」


「…俺もオフレコだ。」

「ええ。」


「頭ではわかっている。ああ、そんなの誰に言われなくても一番わかっている。それでも“ギルマスとして”何か出来るんじゃないかという可能性を模索した結果がこれだ。」


セイメイは日差しが零れ落ちる場所へ2.3歩ほど歩く。


「俺が万が一、いなくなったらソロモンを支えてやってくれ。あとアイオリアにはちゃんと理解してやれなくてすまんと詫びを入れてくれ。」


「ダメです。流石にそれは聞き入れません。」


キメキメに決めていたセイメイだが、ガクッと崩れる。


「あなたはここに戻ってくるのです。そして、仲間と分かり合う事を義務付けます。私から言える最初で最後のアドバイスです。」

「ベルス…。」

「ま、そんなかっこつけていても、何が何でも戻ってくるんでしょうから。心配はこれっぽっちもしていませんよ。あなたは…!最強ギルドを駆逐したんですから。自信をもってギルメンを取り戻してください。」


「すまん!!同盟を組んでいるのに、ワガママを聞いてくれて。」

「大丈夫ですよ。重要な()()は全部もらってますからwあとは、ただ撃破しこの戦いに勝利するのみです。それと次回は占領地域を大きくしますよ?」


「ああ、そうだな。」


二人は玉座の間のドアへ向かって歩き出す。


「統一するんでしょ?イーリアスを?」

「それはわからん。出来るなんて無責任な事言えないよ。」

「あなたはするさ。私の第六感がそういっている。」

「そうかい?競馬じゃ大穴に賭ける博打好きだね。」

「じゃあ、万馬券だ。」

「いってろwww」


ドアを開けるとイーリアスの眩い光が二人の姿を消した。


~ロームレス・大広間~


今回の壇上に立つのはベルスだ。セイメイは序列に並んでいた。


「我々は、過去に一人の英雄を同志として迎え入れた。その英雄は難攻不落の城を見事に陥落させた。その事により、この世界は群雄割拠の戦国時代の幕開けとなった。彼に出来て我々に出来ない事はない!!しかも!!防衛戦となれば、数多のギルドがこの城に雪崩む事になろう!!戦いは激戦の激戦は必至!!しかし!!この城を簡単に明け渡すわけにはいかない!!ましてや!格下ギルドに負ける事など皆無!!我々の敵はクーロンただひとぉぉつ!!雑魚共にこの連盟の力を思い知らせてやるのだ!!!」


「我らの力を示す時がきたのだ!!!」


『オオオオオオオーーーーーー!!!!!』


「いざ出陣!!!」


運命の開戦は前とは違い、粛々と歩を速やかに済ませていった。


ザザザッ…


連盟のギルメン達が城外の配置に向かう。


 改めて今回の配置をお伝えしよう。

本陣に構えるのはフォルツァのベルス

城内及び防壁・ゲートキーパーのラインにはファウストと三バカそして、各ギルドの新規勢。

そして、前線指揮を担うのはソロモンである。


その中でも、ぶつかり合いが激しい最前線中央ラインにはドリアス率いるレオナルド、そしてオケアノスの最大攻撃力を集結させたユーグ・カルディア・ドリアス・ピピン、そしてアイオリアの部隊が担う。


南の潜伏舞台にはセル率いるDCギルド


北はセイメイ・クリス・スカルド、結華。そして、ルカの姉に当たる蓬華がいた。


~中央ライン~

 アイオリアが先頭を切るのは、ガルヴァレオンの時代以来であった。

当時最強ギルドのエウロパは戦争で当たれば、不敗というギルドであったため畏怖の念も込めて“白金の獅子”と恐れられていた。


「アイオリアさん?」


ユーグが珍しく話しかける。


「どうした?四聖剣ユーグ!?」

「あん…もうそれあだ名みたいになっちゃってるじゃん…。ってそうじゃなくてwセイメイさんのとこにいなくていいの?今回?」

「ああ、大丈夫だ。我が妹がいる。」

「ああ、クリスちゃんね。心配じゃないの?」

「いや、もう立派な大人だ。良し悪しくらい判別つくだろ。」

「珍しい…!何があったんですか?」

「なにも…。」

「ふ~~ん。あと気づいたんですけど、普通に喋れるんすね??」

「いくら四聖剣でも今日の俺はイライラしているんだ。そんな暇があるなら剣の腕でも磨け。」

「うっ…はい。」


ユーグが少ししょげていると、カルディアがユーグを庇う様にアイオリアに話しかける。


「そんなにピリつくなよぉ~!ていうか、久々だな!こんな開幕から暴れるのは!そうだ!キル数勝負しようぜ?負けたらアバター奢れよ?」

「俺に勝つとでも??」


会話が聞こえてきたドリアスは会話の輪に入る。


「なんだなんだ?楽しそうなお話してるじゃないの~。君達ぃ~!」

「お?ドリアスも前線か!」

「お前作戦聞いてないのか?」

「聞いてない。ただ目の前の雑魚を狩り殺すだけだしな。」

「相変わらずだな…。今回はおそらく召喚獣バケモノが壁だぞ?大丈夫か?」

「カーーッ厄介だな~召喚獣ってHPやたら多いし、気を取られていると後ろから別の召喚獣の攻撃くるし、めんどくせーんだよなぁ~!」

「まぁ俺らはライン作りしながら下がるだけだからな。籠城が理にかなっている。」

「なんだ!前よりは少し楽ですね。」

「バカモン!」

「いってー!蹴ることないだろ?」


ピピンがユーグの尻を蹴り上げた。


「俺らは相手の戦力の疲弊を狙う。それがどれだけキツイかお前は知らなすぎなんだよ!」

「そうなん??」


「そうだよ。相手の出方にもよるが尻上がりで攻撃を仕掛けてきた場合、ゲーム上だと不利だ。城門の破壊から設置、完成までの2分間、攻撃を受けてしまうと最初からになる。


そうなると、設置している時間を与えず、攻撃が続く。そこを死守しなければならない。突破力が防衛力を勝れば、一気に城内に雪崩間込まれて形勢不利になる。


そこをお前はまだ知らん。アーモロトの時、相手の死守する意気込みが尋常じゃなかったのは、そういうことなんだよ。」


「あーだからか!!」

「こんな奴がうちの四聖剣の一人とか、まじやばくない??」

「ツッコミどころたくさんあってどっから言えばいいのかわからないですねw」

「そんなんだから、おまえh…」


「伏せろ!!!」


無数の矢がピピンの頭上を翳めていった。


「おいおい、こっちが到着するより、やっこさん早いんじゃないのか???」


にやにやしながらカルディアは、木の陰に隠れて相手の様子を伺う。


不特定多数の魑魅魍魎の召喚獣達が押し寄せてきた。


≪グヲヲヲヲヲォォォーーーー!!!!≫



「おいおいおい、いきなり“がしゃ髑髏”だと??」

「向こうには、ベヒーモス出てますよ??」

「流石、ネクロギルド…。一流のネクロマンサーが所属していやがるぜ…!」


アイオリアはすくと立ち上がり、がしゃ髑髏の隙間を縫って先に進む。横を見ると術者が立っており、両手が塞がっている。


瞬歩で近づくと拳で一気に顔面を殴る。そして、身体を反対側に捻ると、その手で顔面を掴み、地面に向かって叩き落としていった。


がしゃ髑髏は消え、目の前の道が開けた。


「うっそだろ!??一撃で??一撃だったよな???」

「あれがアイオリアの凄いところだ。」


森の上から頭が出ている大きな召喚獣が次々と消えていく。


無論、クーロンもネクロマンサーだけがいるわけでもなく、他職のギルメンもいたが、その凄さに圧倒されていた。

アイオリアはがしゃ髑髏を消したことを皮切りに、相手のラインを崩しに走っていた。


「ユーグ!!アイオリアに追いつけるか??」

「方向はわかります!!けど、ここで、分断しては!?」

「なぁにドリアスが“肉壁”を作ってくれている。」


振り向くとドリアス率いるギルメン達は重点的に攻めてくるネクロマンサーを倒していった。


「俺はここで、ドリアス達と一緒にライン維持に努める。お前はアイオリアのバックアップをしろ!」


カルディアの喋っている後ろから幾人かの騎士や格闘家が襲う。


「カルディアさんッッ!!」


大斧を抜くと数名倒していた。


「お前はこっちの心配より、バックアップしろ!いけぇぇぇー!!」


またも攻めてくるクーロンの敵を弾き返していた。



敵の強襲は、戦火の序章に過ぎない事をまだ誰もしらない。

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