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第123話「もつれた糸」

50万文字達成です!!

☆°。\(´ω` )/☆°。


―――数日後


 あの日以来、セイメイとアイオリアは口を聞いていない。

 その理由は、先の作戦の立案から引き継いだソロモンとベルスが話し合うことになった事で疎遠になった。

 その経緯はというと、セルとの戦略会議において前衛にソロモン、後衛本陣にベルスという大筋を決めたことを両者に告げたことで2人は話し合い、トントン拍子に詳細が決まっていったため、セイメイが口を出す必要性が、まずなくなった。

 また、アイオリアに関してはソロモンとの打ち合わせが多くなり、セイメイと言葉を交わす機会が無くなったためである。


 このことにより、両者の溝は埋まるきっかけを失い、とうとう防衛戦前日まで延びてしまったのだ。


 その間、セイメイは同じ部隊となるスカルドや結華などが所属していた元PROUDメンバーと合流し、部隊戦術を練っていた。


 ~アーモロト・第3会議室~


「メイ様?…セイメイ様??」


「お、おう。どうした?」


 セイメイは上の空でスカルドの発言を聞いていた。正確には聞いていないと言った方が正しい。あれ以来、頭にきてたがそれより防衛戦の段取りに手間がかかり、それどころではなくなっていた。


そして、セイメイはルカを救おうする気持ちは、未だに燻っていた。


「ちゃんと聞いてくださいまして?本作戦においての概要をお伝えしているところですのよ?」


 スカルドはセイメイにジトーと、睨みつけながら膨れていた。


「ああ、スカルド!申し訳ない。俺としたことがぼーっとしてしまった。最近忙しくてな。すまない…。続けてくれ。」


「仕方ありませんわね。本作戦において、我々は…」


セイメイはすぐに詫びを入れるが、結局、ルカを救出する作戦を一人で練っていた。


―――ルカと接触したとして、妲己の術を破るもしくは、強行突破を行う。仮に突破成功できたとして、次に、ルカに過去のデータが詰まったものを返す。つまり、アンインストールせずに再インストールするとなると、今のデータと過去のデータの齟齬が発生する。となると、どんな事象が発生するのだろう。


 おそらく、俺のキャラデータが壊れるかルカが壊れるか、いずれも膨大なデータが生まれサーバーに負荷がかかるはずだ。


 そうなれば、処理落ちなんていう前時代的な事象が発生するに違いない。その際、サーバーダウン寸前の状態または一気にダウンまでいくだろう。その時には、切れ目の外側にいる他のメンバーは接続状態のままで、アイドル状態に近い状態になる。仮に再ログインしたとしても、直前までのデータが残ることになり、この問題は最小限度に収まるだろう。しかし、俺やルカはどうなる?

 運が良くて、ルカと接触以前のデータで再ログインすることになるはずだ。しかし、ルカはどうなる?折角、再インストールしたはずのデータが、また書き換えられて再インストール前の元に戻ってしまわないだろうか?こればかりは運を天に任せる他ないんだろうか?そもそも、どうやって返せばよいのだろう。


 セイメイは堂々巡りする思考を腕を組んでうーんと唸っていた。


「セイメイ様?何か…良策でも思いつきましたか?」


 スカルドがセイメイを心配そうに顔を覗き込もうとすると、結華とクリスがスカルドを制止する。


「ちょい待ち!スカルドさん!事ある事にセイメイさんの顔に近づけるのは無しじゃない?」


 結華は肩をぎゅっと握る。


「スカルドさんは少しマスターに近づきすぎです。露骨にやられるのは流石にいけ好かないですねぇ??」


 クリスはテーブルをバンと叩き立ち上がっている。


「あーら?貴方達?もしかして嫉妬ジェラシー?」

「あのねぇ!いくら!あなたが近づいても、年増の女より若い方がいいんだって気づかないの?」

「なんですって?あなた!今までそういう目で見てきたんですか??」

「ハイハイ!化けの皮が剥がれる時がきた!!こういう時は!厚化粧にヒビが入ったと言った方が正解かしらねぇ!??」

「なんですって!!さっきから聞いてれば、失礼にもほどがあるわ!!」

「ほー!そうですわねー!化けの皮がお剥がれになってますわよー!おーほほほほほほ!!」


 結華はスカルドを茶化し挑発する。


「私は嫉妬なんかしていませんが、残念な事ですが!!私の方がマスターと一緒にいる時間が多いんですからね!!」

「そんなこといっているクリスはさぁ!休戦結ぶ!とか、調子いい事いって!!イチャコラしてたってスカルドから聞いてるんだけど?どういう事なのか説明してほしいんですけどー??」


 結華は二人に対して溜まり溜まった鬱憤を晴らしていた。


「はぁ??なにいってるんですか?ソロモンさんの旅の時はしっかり抑えていましたぁ!はい論破ぁ!!」

「あらあら!!怖い小物達ですこと!余裕があるわたくしと違って、男に飢えているはしたないメス猫さん達には!セイメイ様の素晴らしさをきちんと御理解出来ないようですね??」


そして、二人は声を揃えていう。


『見切り品は黙って!!』


 とどめの一撃を打ち放った事によりスカルドを怒らせた。


「てめーら!!作戦会議中に関係ない話をしてくんじゃねぇーー!!この小便臭い○○○がぁ!!」


と、一喝すると全員ドン引きしてしまった。


それを聞いて慌てふためいたセイメイは、スカルドを連れて会議室を出ていった。しかし、出てすぐに扉を開けて、中に待機している他の仲間にセイメイは声をうわずりながらいう。


「し、しばしご歓談を…!!」


 会議室のドアをバタンと閉めるとセイメイはため息をつく。


「すまん。俺のせいで…、君にあんな汚い言葉を吐かせてしまった。すまん。」

「いえ、セイメイ様が悪いのではありません…。わたしが…わ"だじがわ"る"い"ん"でずヴゥぅ~~!!」


 と、スカルドは泣き崩れながらセイメイの胸に飛び込んだ。


「まぁ落ち着けって!俺が悪いんだ。会議室に戻って俺が仕切り直すから泣き止んでくれ。な?」

「えぐえぐ、うぐ…」

「俺はそういうの苦手なんだよ~!頼むよぉ~!」


 セイメイが困っているところに二人組が歩いてきていた。

 それは新しく同じ隊に配属されたドリアスとソロモンが談笑しながら向かってきた。

久しぶりの再開の挨拶がこれまたとんでもなかった。


「だぁーー!俺は見たぞ!!とうとう()()で女を口説きやがったな!!」

「バッカ!そんな風に見えるお前はなんもわかってねーじゃんかよ!!」

「なぁにいってんだ?とうとうお前はなぁ!グラマスという特権を行使してしまった!どんな女プレイヤーもケツ振ってくんだぞ?ソロモン!!おまえ!俺のギルドでやり直せ!今ならまだ間に合う!俺が厚遇してやる!!」


「話をややこしくするなぁあああ!!そぉ、ソロモンなら…わかってくれるよな?なっ?なぁ?」


 セイメイは震えた声でソロモンに話しかけると、ソロモンは神妙な面持ちで口を開いた。


「マスター…ワシは長いことお前さんのとこでやってきたが、クリスちゃんが本命だと思ってたんじゃがのう…。ワシの勘が鈍ったということか……。」


「全然ちがぁぁぁーーう!!違くないけど、ちがぁぁぁーう!!」


 会議室の入口で騒いでいたので、中にいたクリスや結華が慌てて出てきた。


「マスター!どうしたんですか?」


 すると、セイメイの胸の中で涙を流していたスカルドを見るなり、大発狂する。


「こんのババア!!てめーー!私ですら飛び込んだ事ないセイメイさんの胸に気安く飛び込んでんじゃあねぇー!!」

「おい!スカルド!!さっきの暴言と言い!!そのしたたかさといい、万死に値する!!介錯してやる!!そこになおれ!」


 二人はブチ切れてしまい、武器取り出し臨戦態勢を整えてしまった。こうなると収拾つかない状態になってしまう。


「落ち着けよ!おまえら!!そもそも!俺が戦術会議を上の空で聞いていたのが発端だ!!俺がわりぃんだよ!!スカルドは一生懸命に会議を進めていただけだよ!!おまえらも興奮すんなって!!」


 自体の収拾に急ぐセイメイは取り付く島がない状態に陥ってた。


 そこにファウスト達が通りかかる。


「なんだ?あの人だかりは?」


 ホルスがセイメイ達を見つける。


「なんか、揉めてるみたいだな?」

「はぁ?またうちのマスターはなんかやらかしたの?」

「セイメイさんがペコペコしているなんて珍しいですね。ちょっと行ってみましょう。」


 セイメイは弁解をしていたところに、ファウスト達は駆け寄った。


「な、なんだ?ファウストまで…!」

「いえいえ、我々はたまたま通りかかっただけです。どうしたんですか?」

「よくぞ!聞いてくれたァ~!」


 藁にもすがる思いでセイメイはファウストにわけを話した。すると、ファウストは爆笑し腹を抱えて過呼吸になるぐらい笑っていた。


「はーはーひーはははぁはっはっ!!そんなんで…こんな状態になっちゃうんですか?面白い方だなぁ!ははは…お腹痛い…。」


 ファウストは壁に手を着いて3回ほど深呼吸をした。


「まぁ、今回はマスターが悪いってことで双方、ならびに我々も納得しましょうか。ね?ともわれ、いゃぁマスター!今日ほどセイメイさんのギルドに入って良かったと思えた日はないですよ?ぶっははは!!」

「笑い事じゃあねぇよ…修羅場になるほどの内容じゃねーんだってばよ…。つれぇ…。」


 セイメイは肩を落としていた。


「そんなことより、セイメイさん。例の件、やるって話、伺ってますよ?」


 さっきまで笑い転げてたファウスト違い、真剣な眼差しで鋭くセイメイの表情を凍らせた。



「誰から聞い…ああ、アイツからか…。」

「その件に関しては私も同意です。危険すぎます。」

「なんだ。お前もか…。」


 セイメイは少し悲しそうな目をした。


「今からその事について、ギルメンを集めて全体会議を行なっても良いかと思いますよ?」

「他を巻き込みたくはない!お前らは…、持ち場を離れず戦ってくれればそれでいい。」

「そうはいかないですよ?ほら、そこにあなたを崇拝する天下無双の格闘家が立っていますよ?」


 ファウストがちょんちょんと指を指すとその方向には、どこからともなく現れた赤いマントを羽織る白銀の戦士が、仁王立ちしていた。


「アイオリア…。」


セイメイがかすかな声で名前を呼ぶと、生唾を飲み込んだ。


今までのように誤魔化したり、言い逃れが出来ないことを悟るセイメイだった。


イーリアスの空は曇天どんてんとなり、時折ゴロゴロと雷撃が走り暗雲が立ち込めていた。

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