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第119話「契約」

焦りを募らせるセイメイに蓬華が声をかける。


「俗物はこんなモノを使って上限とやらを開放しているのか?」


セイメイが握る強化石を覗き込むように見ている。それを見たセイメイは少しうんざりする様に眉を(ひそ)めながら、蓬華から強化石を遠ざけた。


「今度はなんのケチをつけたいんだ??」

「良い取引をしようじゃないか。」

「取引だと?」

「そうだ。お主の防具を上限突破とやらに一肌脱ごう。その代わり、お前の技を少し貰うぞ?」

「なんじゃそりゃ!」

「簡単な事だ。お主のスキルを一つ教えろ。」

「はぁ??」

「おまえ、魔法職だろ?近接職のサムライの技なんか覚えてどうするんだよ。」

「どうもこうもせん。見切る技があればこちらも容易いというものだ。」

「刀技・剣技でもいいのか?」

「馬鹿かお前は。その職のオリジナルスキルを教えろってことだ。」

「そんなバカな!!」

「書き換えが出来たらゲームじゃなくなるとでもいいたいんじゃろうが、お前が倒すグスタフとやらはおそらく全スキルを習得済の筈だぞ?」

「ば、バカなッッ…!?」

「はぁ…。おまえさんの情報を会話しながら探らせてもらっていたが、ここまでこれたのはほぼ奇跡といっても過言ではなさそうだな。仲間…いや、行動のタイミングと運、そして会話による詐欺…といったところだ。」

「ちょとまて!!最後の詐欺ってのはなんだ?」

「ニンゲンの会話に信ぴょう性というものを紛れ込ませた会話で“ココロ”というものを惑わすものだな。出し抜くとか色々表現は変わるようだが、今回は詐欺という定義にしておくとした。」

「詐欺とはな!!ガハハハッッ!!!」


ソロモンが膝を叩きながら爆笑している。


「おまッ!ちょ!」

「まぁ黙れ。…ふむ。これをそちらの世界ではペテン師ということになるようだな。」

「このやろう…ッッ!!!」


セイメイはぶん殴ろと手を拳に変えた。


「さて、ペテン師マスターよ、教えるか?教えるなら、上限突破における消滅、いわゆる壊れる事を無効にしてやるぞ?」

「な、なんだと??」

「それは本当か?嬢ちゃん??」

「ああ、私はアイテム・スキル改変のスキルを持っている。各々7人兄妹はそれぞれの特殊能力をもっており、それぞれがゲームマスターに匹敵するスキルを一つ所有していることになる。」

「チートをもってくるんじゃねーぞ!!!このクソアマがぁぁぁああ!!!」


セイメイは憤りを止める事が出来なかった。

拳は蓬華の顔面をめがけて飛び込んでいく。しかし、コンと杖でセイメイの拳を叩く。すると、拳は蓬華の頬を翳めることなく明後日の方向に飛んでいき、その勢いでセイメイは転倒した。


「愚か者め。」

「あちゃー…。」

ソロモンは目に手を当てる。

情けない恰好でこけているセイメイを見下ろすように蓬華はまくし立てていく。


「貴様はどのような信念で生き、どのような信条をもって、活動をしている?まるで動物だな。」

「お生憎様だぜ…。ニンゲン様も動物なんでな。感情的になることもあらぁな!!」


セイメイはゆっくりと起き上がる。

蓬華はふうと一息のため息を吐くと強化石をセイメイから奪う。


「お、おい!!」


蓬華は何かまじないをするかのように指で呪文を唱えていた。

次の瞬間、強化石が光始め、そのままセイメイの腹に向かって強化石ごと打ち抜いた。


ドン―――!!!


セイメイの身体は近くの壁まで吹き飛び、膝から落ち崩れ落ちていった。


「お、おい!!嬢ちゃん!!やりすぎだろ!!」

「何を言っている?よくみろ。ダメージは入っとらんぞ?」


ソロモンがセイメイをみるとセイメイは起き上がって刀を抜いていた。


「こんのッ!!クソガキゃぁぁ!!!」


走り込んで斬りかかると、杖でセイメイの剣筋を捕らえた。


「ば、バカな!!」

「正面からの攻撃なんぞ、私には効かぬぞ?」

セイメイはよろけて後ずさりをした。


蓬華はまたため息をつく。


「お主、いい加減熱くなるのをやめぬか?ほれ。お主の防御力を見よ。」

「ああん??そんなのは、てめーをぶった切ってからだ!!」

「マスター落ち着けって!!騙されたと思ってみてみ?」


ソロモンに咎められながら、セイメイは渋々ステータス画面を出しみてみることにした。

すると、目を見張るような数値がそこにはあった。


「なにしやがった!!てめぇ!!」

「何も??ただ上限突破したいっていったから上限突破してやっただけだ。」

「チート使ってんじゃねーぞ??」

「人聞きの悪い事を申すな。ただ成功する乱数を平らにしただけだ。」

「それをチートというんだよ!!ゲーム性を歪めやがってッッッ…!!」

「ゲーム性?何をのん気な事を言っているのかわからんが、これでおまえさんの成すべき事への道のりの歩みを早めた事に過ぎぬ事。敵は常にチート級以上じゃぞ?こんなことで目くじら立てるでない。」

「こいつ…。」

「そんなに嫌なら元に戻すぞ?」

「いやいやいや!!!もういいぞぃ!!これ以上話がこんがらがるだけじゃて!!マスターも良かったじゃないか!!な!?今回はワシの顔に免じて許してやろうぞ??」

「このやろう…。」

「まぁいうてそんな装備じゃその妲己…とやらに勝てると思えんがな?」

「んだと!??」


セイメイは食って掛かろうとするが、必死にソロモンが止めていた。


「落ち着けマスター!!」

「さて報酬のスキルを教えよ。」

「コイツ…。」


―ええじゃないか強くなっただし。


ソロモンからwisが飛んできた。


―あのなぁ!!俺はこんな事してまでつよくなりたかぁねーんだよ!!

―今はそんな事言っている状況じゃないのはお主が一番わかっておるはずじゃぞ??

―だけど!!ズルしてまで…!!

―相手がズルしてるんじゃ。ワシらもこれくらいのハンデもらわないと割りに合わんて。

―負けた気がする…!!

―“木を見て森をみず”という言葉がある。これくらい大丈夫じゃ。

―…。

―まぁこれくらい大目にみようじゃないか?

―納得いかねーんだけど…。

―まぁなんとかなるじゃろうて。


ソロモンの説得に促されるようにセイメイは渋々納得した。


無理くり気を取り直したセイメイは蓬華に話しかける。


「礼は言わんぞ。」

「礼などいらん。サッサと使えそうなスキルを教えろ。」

「クソッ!」


セイメイはスキル一覧を覗きながら思っていた。


「おい、心眼の悟りとかどうだ?」

「なんだそれは?」

「サムライ唯一の完全回避行動だ。」

「ほう?攻撃ではないのだな?」

「あるちゃああるが、足払いくらいだ。」

「体術は好かんがまぁ良い。お主の額を当てろ。」

「は?どこに?」

「私の額だ。はよせい。」


セイメイは一瞬驚くが、渋々承諾した。


セイメイは目を瞑り額を当てると瞼が一瞬明るくなる。


「もう、目を開けて良いぞ。」

「ふう…。なんか変な感じだ。」

「少し試すぞ?」

「おおう。」


蓬華は心眼の悟りを使用した。すると瞬く間に姿が消える。

セイメイは振り向くとそこには蓬華が立っていた。


「ふむ。ワープか。それなら私もあるぞ?」

「たしかに類似するが、コイツは攻撃を防御で受けてからでも使用が可能だ。ワープは攻撃を受ける前に必要だろ?サムライはこれが使える。」

「ふむふむ。なるほどな。ズルいスキルだな。」

「な、なにいってやがる!!これがなかったら盾持ちに叶う術がなくなっちまうんだぞ??」

「まぁ不意打ちに使えそうだから良しとしよう。」


―――このクソガキィィ…!!


煮え切らないセイメイは不機嫌なまま、闇市を後にするとした。



~ロームレス城~


セルに会うためにセイメイ達は城に戻った。

セルは長旅の中に出会った出来事をオケアノスのギルメン達に報告していた。


「おっせーな、親分さん。なんかあったのか?」

「まぁ色々と…。」

「フンまぁいい。戦略を考えてないという事だが、こいつらも知らんというのは本当に何も練っていないんだな。」

「馬鹿をいうなセル!!御大セイメイは秘策があるのだっ!!軽々しく言うな!!」

「いや、アイオリアw本当にノープランだぞ?wお前のマスターw」

「まさか我が天才マスターのセイメイ様にそのようなZ()A()R()E()G()O()T()O()を…。」


アイオリアはやれやれといった顔をしながらセイメイを見ると手を横に振っていた。


「嘘だろ!!マスター!!どうするんだ???」

「それを今から考えるんだよ!お前も参加しろ。今回は未だに白紙の作戦書だ。やりがいあるだろ?」


セイメイはアイオリアの首をぐっと狩り、ズルズルとセイメイ達は会議室へ入っていった。


日は落ち、廊下の松明が一斉に燃え始めセイメイの歩く方向を照らしていた。




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