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第107話「逸話の伝説」

~秘境・幻想の滝 (オルニアの滝)~


 黄竺手前の滝・アーモロトがあるセントラルを含めた3地方を跨ぐ源泉ある。

 この源泉には言い伝えが存在するのだが、まずは概要を説明しよう。


アーモロトが存在するセントラル。

ロームレスのメディオラム。


そして、黄竺があるダイトーとなっている。


 源泉はセントラルの管理になっている。一つは北西にローレライ大長河、他2地方に流れ、川となり海へと流れていっている。その源泉を司る泉から湧き出た水が一つは東側のダイトーの黄竺側へ、もう一つは南側へ流れ込み、メディオラムと黄竺のある地方、それぞれに富を与えていった。


 ―――ここからが言い伝えである。この川の富を独占しようとした古代メデォラムと黄竺は小競り合いをし始めた。やがて大きな戦争へと変化し絶え間なく戦をおこなっていた。しだいに戦える者が減り、戦争は膠着状態へと入っていった。戦局を見かねた黄竺の王は、禁忌の術式を授かることに成功した。それは死人を蘇らせるといった最大の禁忌であった。それを駆使し、死んだ英霊を呼び覚まし、魑魅魍魎と化した黄竺軍はメディオラム軍へと攻め入った。

 一方、メディオラム軍は見たことない物の怪や、腐乱した兵士をみるやいなや一目散に退却し、ローレムスに篭る事になった。防戦一方のメディオラム軍は不利な戦況を打破すべく、聖メシアへ祈りを捧げた。

 それは、傷ついた兵士を癒していた一人の聖女が、まだ確立されていなかった聖メシアへの祈りを三日三晩祈りを捧げた。その祈りは争いを退けるための祈りだった。ある晩の事、聖女がいつものように祈りを捧げていると熾天使セラフィムが舞い降りた。熾天使セラフィムは聖女にある水瓶を与え、そして、聖女にこういった。


 「その水瓶を北の山脈から流れ出る滝つぼに沈めなさい。」


 それを聞いた聖女は、決死の覚悟でここ幻想の滝へと走り出した。一人で山を登りここの滝つぼに辿りついた聖女はボロボロになりながら水瓶を沈めた。


すると、滝つぼから流れ出る水は勢いを増し、濁流となって黄竺軍を飲み干すほどの洪水がおき、水攻めにあった黄竺軍は、濁流に飲まれ、そして英霊やゾンビたちは浄化されて天へと帰っていった。それを見た黄竺の王は慌てて国に戻り、二度と攻めてくることはなかった。

 洪水がひくと川の周りには、木々が芽生え出し、林となりやがて森となった。森は侵入する者を排除するため、死んだ兵士達の亡霊がでるようになった。それは敵味方関係なく襲い、森へ近づけさせないようにしていた。

 そのため、ロームレスの東の森は、古い水汲み場を除き、モンスターや幽霊が出るようになった。

 また聖女は、その後、疲れ果ててその生涯を終えた。その身は熾天使セラフィムによって天へと帰っていったそうだ。

これがロームレスの東側に存在する樹海、東の森の伝説となっている。―――





山間部を抜けたファウスト一行は、オルニアの滝まで到達していた。



「はーい!先生!!」

「はい!ホルス君!!!!」

「この下にある滝つぼに入れば、伝説の水瓶が沈んでいるんでしょうか??」

「うん。これは伝説という設定だからね。なんともいえないなw」

「このお話って結局、女性が犠牲になっているわよね?なんか、男ってホントバカなんだから~。」


マノが相変わらずの男嫌いを発していた。


「いやいや、昔の人は川の利権を求めて戦争するとかしないとか当たり前だろ?」


グラニは見解を述べる


「昔も今も水は貴重だ。その水を二つの川を占領しようとしたダイトーが悪くないか?」


ホルスもグラニも激しく意見を交換していく。

結果、ダイトーが悪いっという見解に至っていた。


「…以上!ダイトーが悪い!」

「そうだ、そうだ!」


ファウストは別の見解を示していた。


「双方が縄張り争いをするというのは、動物である以上致し方ないという事でもあるが、黄竺はなぜ攻めたと思う?」

「独占したかったからじゃないの?」

「そうだと言いたいところだが、どうも聖女は黄竺に住む男と恋仲だったという説もある。しかも王子とな。」

「嘘だろ?wwそんなわけない!!!」

「ああ、このクエスト、“聖女の真実”を君はクリアしてないだろう。」

「なんだって!?」

「聖女の名はアリシアだ。そして恋仲の相手の王子は、カイ。カイ王子だ。」

「そんなクエストしらないぞ!?」


グラニは膨れて言った。


「まぁ知らないだろうね。このクエスト自体、会話と場所を特定するだけの名声経験値だけしかもらえないクエストだ。」

「そんなクエストやらね~~~www」


ホルスは嘆きながらひっくり返りそうになった。


「まぁ、聞きたまえ諸君。これはカイ王子は狩りの途中、盗賊の奇襲に会い負傷し森に流れる川に辿り着いた。

 たまたま、対岸に水を汲みにいった聖女アリシアは浅い所を渡り、対岸のカイの治療をした。止血を行なったアリシアはカイ王子を見送り、自分は水を汲んだ桶をロバに乗せて両者は各々の国へ帰っていった。

 アリシアとカイは定期的に出会った場所に通い、交流を図った。

 しかし、その恋は長く続かなかった。他国の女にうつつを抜かした王子を見た王は憤り、そそのかした女を差し出せとローレムスの王に檄文を送った。しかし、当時の王は嫁に欲しければ、来訪しろと返事を返した。

 このことにより、ローレムス、メディオラム対ダイトーの戦が始まった。」


「うへ~。そんなことあるのかよ。」

「まあ、異国同士の結婚というのはそういうものだ。今だって国際結婚にズレが生じるのは文化の違いがほとんどだ。」

「聖女アリシアは、王子を助けてあげたのにね…。」


「まぁ現代だったら、素晴らしい行為だと世界からSNSを通して絶賛の嵐だな!しかし、昔はそうじゃないから真実が見えてこない!つれーなぁ、昔の人は…。」

「そうだね。そんでだ、開戦した当時は圧倒的物量でメディオラム軍が川を渡り、黄竺を陥落寸前まで追い込んだ。

そのときにカイ王子は王に当たるはずの矢を王を守る為、体を張り王子の胸に当たり絶命した。

そして、王は自分の行為と王子が死んだことにより酷く悲しんだ。そこで王は古の禁忌を冒す。」

「死者蘇生だ!?」

「そうだよ。すると死んだはずの王子や将軍達が死体と共に蘇り、ローレムスへ進軍したということだ。

あとは、伝説の通りだね。」

「聖女アリシアは、生ける屍のカイ王子を見たんですかね?」

「さぁ?それは語られてないけど、見てない方がいいかもしれないね。ただ、死んだことは知っていると思うよ?敵国の王子を倒したわけだからね。」


「…。」


三人は黙ってしまった。

ファウストはつづけた。


「それで、彼女は祈りを捧げ停戦の祈りを捧げていたら、セラフィムが舞い降り神の力によって自然災害を引き起こし終わらせたということだね…。」


ファウストは滝を見つめながら、話を続けた。


「いつの世も非業の死を遂げているお話はどこにでもあるが、まぁ悲しいお話だよね。」

「問題なのは、本当に滝つぼに水瓶を投げ込んだかという事ですね。」

「ん~そこが謎だね。気候の影響もあるんだろうけど、嵐という気候の設定がこの世界にはないから、おそらくゲリラ豪雨かなんかで、川が氾濫したんだろうと推測するしかないかな~?」

「まぁゲームにそこまで検証することはないけどねw」

「さぁ滝ツアーはここまでだ。目的の黄竺へいこうか!この滝を越えていけばダイトー地方に入る。」

『了解!』


4人は滝を見ながらゆっくりと下山していった。


~ダイトー地方・国境付近~


 鬱蒼とした森を越え、木々の割れ目をみると黄竺の城の屋根をチラッと見る事が出来た。

するとファウストはマノに近づく。


「マノさん、いいですか?」

「な、な。な!なにが!いいですかだよ!?」


マノは驚きながら、ファウストの顔をみた。


「脅かす気はなかった。これから君が潜入してもらうことになる。僕らは姿を消す能力はもっていないからね。」

「え?ええ???」

「ここにロープがある。これを潜入後に垂らしてくれ。それをつたって中で合流する。そうしないと、PTで潜入はできない。」

「どこで垂らすんですか?」

「あそこだよ。今、少し窪んだ城壁がある。あそこが丁度ロープを垂らす限界の高さなんだ。あそこで僕らは待機している。うまく潜入してほしい。」

「まさか、それが私が起点とかいってたこと??」


「Exactly!」


「い?いぐざ?」

「その通りって意味だよ。」

「わ、わかんないわよっ!日本語で言いなさいよっ!日本語でッッ!!」


ファウストはマノにヒソヒソ話をしていると、ホルスとグラニが茶化してくる。


「おーい!さっきからコソコソ何しているんだ?」

「せんせ~!そろそろ諦めたら?マノは男嫌いなんだからさっ!」

「ははは、そうじゃないさwマノに潜入を先行してもらう予定だ。我々は待機なんだよ♪」

「ええ?ファウストさんの究極魔法で正面突破かと思ってた!!!」

「馬鹿言えw他のギルドもいるんだぞ?騒ぎを多くしてどうするんだい?w」

「ははは、そうでした…w」

「ほんじゃま、マノの活躍に期待しましょうかねぇ?」


と、ホルスはいうとグラニとホルスはニヤニヤしながら、マノを見た。


「ちょ、ちょっと!!?私の役割重くない???」


ファウストはメガネを輝かせながらいう。


「そうかい?君ならいとも簡単にやってのけると信じているんだがね?」

「そうですね。マノなら出来ます。」

「マノをバカにしないでください。」

「ちょっ、ちょっとあんた達!!何を根拠にいっているんだよ!!」


マノは顔を赤らめて憤慨している。

しかし、三人はニヤっと笑いマノを送り出した。


「大丈夫。俺らは信じている。頼んだぜ!?くのいち。」

「くのいちじゃありません。アサシンです。」

「そうだったな。くノ一」

「言い方変えてもダメです。ったく…、いけばいいんでしょ!?いけば!!」


「頼みましたよ。ギルドのためと思って頂ければ、セイメイさんもお喜びになるでしょうからね。」

「フン!マスターは私の事なんか考えていないわよ!」

「そうでもないぜ?マスターは元気かって気にしていたしな。」

「ええ、そうでしたね?」

「まっ、信頼していなかったら頼まんだろうよ。」


「まったく…。今回はおだてにのってあげるだけからね!」

「ええ、よろしくお願いします。」


とファウストはいうと、クイックアクセルを唱えた。

「あーまだですよ。鷹の眼のエリクサーに幸運のエリクサー、そして素早さのエリクサーと…」

「まだ飲むの?」

「首尾は万全にしておくこと。これが僕のやり方さ。これで万が一バレても逃げれるし隠れるさ。」


そういうと、マノは城門へと足を運んでいった。


イーリアスの朝日が、葉を透かす。緑の光はマノの背中を照らし、朝露を輝かせていた。


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