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第103話「旅の準備」

 ―翌日―


 セイメイは、普段通り定時で退勤を押して家に帰る。

家に保存していたカップラーメンを取り出し、お湯を注ぎ、時間になるとスススーっと麺を啜る。


―――今日はアイツを探しにいって見つけ次第、宝玉をぶち込んでやる…!


 ラーメンの汁を啜り、昨日の残りのご飯を入れて雑炊にして食す。

そして、ベランダに出てタバコに火をつけると、喫煙者としてのささやかな至福の時を過ごした。


―――パーティーメンバーを選出するのとかめんどいなぁ。アイオリアに悟られない様に躱して、城内を出る。他のメンバーにも申し訳ないが個人的な旅だ。たしか、倉庫にマントがあったはずだ。あれで身を隠して城外に出て、黄竺に向かうとするか…。


イーリアスの世界にログインをする。

ログインすると、ほぼ全員が俺の眼の前で待機していたのだ。


「な、なんでおまえら勢ぞろいしているんだ??」


見渡せば、仕事やバイトでいないやつら以外はほぼ全員だ。


スカルドが俺の前に立つ。


「伺いましたよ?黄竺にいくんですって?サポート万能な私を連れてってくださいまし!!」

「なにいっているの??マスターを守るのは私の仕事ですっ!!」

「なぁにいっているのはあなたよ??そうやって!おっぱいが大きいからって偉いんですの??」


言い争っている二人を他所にピピンが言ってくる。


「おい、マスター。アンタがいくのは勝手だが、ベルスの所有している城の防衛はどうするんだ?予め派遣するメンバーリストを作成しておかないと、援軍にいけないぞ??」

「え?そうなの??」

「バッカかお前!!知らねーで援軍いくとか言ってたのかよ!!??」


ピピンは物凄く怒鳴りつけてきた。


「いっといて正解だったわ。はよ、作れ。」

「あ、うん…。」


―――ソロモンはまだ会社だろうな。う~~~ん…。


悩んでいると会いたくない男がログインしてくる。


「おお!!我がギルドもメンバーが多くなったなぁ!!」

「これはこれは我が主、セイメイ様。ご機嫌麗しゅうございます。」

「あぁ、お前の顔を見たせいで、ご機嫌斜めだよ。」

「と、いいつつも、心の中では嬉しいくせにwwww」

「うっるせぇ~な!!今、派遣リストを作成しているんだよ!!」

「俺が教えたんだぜ??」


と、ピピンが自慢げにアイオリアに言っていた。


「まあ、順当にいくと、セイメイ様、ソロモン、私にファウストは固定で出向くとして…。他はいらないんじゃないんですか??」

「おい!!アイオリア!!いくらおめーでも言っていい事と悪い事あるぞ!!?」


ピピンはアイオリアに怒鳴り散らしていた。


ひっちゃかめっちゃかになりつつある場面を塗り替えたのが、ファウストだった。


此度こたびの旅は次回戦争相手、いわゆる喧嘩相手の陣営です。マスター一人でいくのは危険と昨日さくじつ申し上げたばかりです。マスター、ここは双璧の二人をお供に加えてください。」


そういうと、セイメイも納得せざるをえなかった。


―――アーモロトの内政はどうする?税率調整や手形の設定もNPCの変動を毎日見なくてはならない。その上、各ギルメンへの指示が出来るのは…。やはり…アイツしかいないじゃないか。


「わかった。ソロモンを代行に据え、もし、俺らが不在の場合はソロモンに全権を委ね、指揮を仰ぐこととする!」

「まぁ妥当な線だな。」

「おまえはどうするんだ?」

「決まってんだろ?お荷物剣士の調教だよ!」

「ああー、ユーグか。」

「えええ??俺久しぶりにマスターと旅できると思ったのに~!!」

「そうだなぁしたかったけど、オフ会の幹事だしなwまぁ来年にでも行こうやw」

「わ、私は!!??」


クリスが俺に詰め寄ってきたが、スカルドが押しのける

二人はあーでもないこーでもないと喧嘩をしていた。


「はい、おまえら反省しろ…!!!」


「今回は俺の独断でいくんだ…!!死んでも置いていくし、金にならない旅だ。今まではドロップやクエストの報酬やらで金策になったけど、今回はドマイナスの旅だ。正直、オススメできない。」

「それでもついていくのは、バカかお人好しがいく旅だ。自分の身は自分で守ることができないようであれば、俺は連れていけない。」


―――この世界は武器・防具、そして…カネだ。カネがなければ、何もできないし出来ても金策を経由して、やりたいことが出来る様になっている。現実リアルもイーリアスの世界も変わらない。変わるのは、装備が整っていれば、目的に近づくことが多少早いということぐらいだ。


彼らはそれをよく熟知している。その上でセイメイは彼らの静止を図ったのだが…。




「マスターちょっといいですか?」


すっと前に表れたのは、ホルスだった。


「よぉ!久しぶりだな?ツレは元気か?」

「相変わらずですね♪それとこの案件は、我々が先行して潜入します。」

「なぜだ?」

「マスターも他の幹部も顔も存在もわれています。無名の我々が動く方がこういった案件は都合がいいんですよ。」

「しかし!!」

「マスター、一時的には離れた身ですが、一応、オケアノスの水を飲んで成長したようなもんです。マスターの思いや気持ちはわかっているつもりです。所在が分かればいいのですよね?なので、先に先行します。」

「いやしかしだな…」

「報酬は最低限の報酬でいいです。それくらいのギルド資金はもう溜まっているだろうし、他の施設や増設も出来るはずですよ。」


すっかりアーモロトに戻ったにも関わらず、見る事を忘れていたギルド情報と慌ててみた。


―――いち、じゅう、ひゃく、せん…ま…ひゃ、ひゃくじぃぃ!!???


100,000,000,000 シルバー = 100Gジーという表現


セイメイは卒倒しそうになった…。


この金額が実際に保有していたら、一流企業の端くれといっても過言ではないほどの軍資金がギルド資金に入っていたのだ。

戸惑うセイメイは、ホルスに質問した。


「お、おい。このお金って俺の匙加減で引き出せるのか??」

「え?ええ、そうですよ?もうお金がないからギルドミッションをこなしたりする必要性がないわけですよ?まぁ、ギルドスキルを取得するのに()()()は必要ですけど、そこは新規勢がPT組んで遊んだり、暇な人がサクッと終わらせてもいいですしね。」

「そうだな…。俺は、ここまで増えるとは思ってもみなかった…。」


「そういうことじゃな!!!」


振り向くとソロモンがいた。


「俺がやってきたことは間違ってなかったのか…?」


頭をかきながら、ソロモンが労う。

「まぁ、色々すっとんきょなことはあったんじゃが、今回はマスターが歩んだ道がたまたまこの金額に到達したということじゃな。まぁ、アーモロトの吸い上げる金額は随一だというのは、みんな知っているじゃろうけどなw」

「ソロモン…。ありがとう…!」


セイメイは、嬉しくて涙が出そうになっていた。


「え?え??てっきりマスターは知っていると思ってたんだけど?それで色々発言していると思っていたよー!」

ユーグが歩み寄ってきた。


走り抜けてきたせいで、自分のギルドの総資金をよく見ていなかった。

驚きと感動の余韻を浸っている中、ソロモンがアドバイスをしてきた。


「まぁそれより、ルカを探しに行く前に、ホルス達を先に向かわせてもいいじゃろうて?」

「しかし…!!」

「では、僕が一緒にいくよ。」

「ファウストが?」

「少なくとも最初の出会いは彼らとの接触コンタクトが始まり出しね、馴染みもある。あとから来るマスター達は、ユーグ君とくるといいんじゃないかな?」

「やったあ!!ファウストさん!ありがとう!」

「いやいや、成長した姿をマスターにみてもらいたいだけだよw」


ユーグは飛び跳ねて喜んでいた。


「しかし、ここはどうするんじゃ?また、アイオリアに任せるんか?」


するとアイオリアが口を開く。


「ソロモン殿ッッ!!それがし!此度の旅は拙者がお供致す!!ソロモン殿は代行として残って頂きたい!!!」

「なぬ!!??」

「いや、前回?俺、お留守番したし?内政コマンドもちゃんとやったし、我慢もしたし、やはり貫禄あるソロモン殿が適任だと思うんですよー。だから、お願い☆テヘペロ♪」


舌を出して、ウィンクをしていた。


「ガハハハハハハ!!!相変わらず面白い奴じゃのぅ!!よいわ。やっておこう。」

「流石!!!ソロモン殿ッッ!!!感謝致す!!!フハハハ!!!」


と、なぜか二人とも高らかに笑っていた。


「…すべてはシナリオ通りだな…。マスター?」


ピピンがちくりといってくる。


「お、おい!余計なこと言うな!」


口笛を吹きながら、どこかに行ってしまった。


「ゴホン!では、ホルス・ファウスト以下二名は、黄竺コウジクへの先発隊とし、調査を任命する。」

「ハハッ!」「よっしゃあ!」

「但し!」

『??』

「死ぬなよ…。失敗したらすぐに下がれ!命を大事に。これが今回の作戦の根幹だ。」

「わかりました。可能な限り情報を集めてきます。」

「ああ、頼んだぞ?」


すると、ファウストとホルスは歩きつつ、色々作戦を練りながら部屋を出ていった。


「さて、後発の俺らだが?誰が行くんだ?」

「無論!!私、アイオリアとセイメイ様、四聖剣のユーグで良いのでは??」

「だから…四聖剣ってなんだよ…w」


ユーグが頬をかきながら笑っていた。


 すると、残るは回復系なのだが未だに喧嘩をしている二人を納得させなくてはいけなかった。

ソロモンは仲裁に入ることにしたが、双方の睨み合いが続く。頭を悩ませたソロモンは、ルカの事を説明を促す。


 女性の戦いは、いつの世も魑魅魍魎の類であると言われるのは、いつの世もえげつないものであるからだ。


そう思うとここは一つ、“ソロモン王の裁き”が見モノではあった。




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