第10話「分水嶺(前編)」
私の名はアイオリア
アテナに忠誠を誓った聖闘士だ。
今、私はセイメイ殿のギルドに参加している。
理由はそう!!!可愛い妹を守るためだ!!
さきほど、俺の逆鱗にふれたクソアマをぶっ飛ばす予定だったのだが、尻尾を巻いて逃げてしまった。
相手の信者の残党狩りをする際に無益の殺生を諭した。我が手刀を止めたのは、セイメイ殿だ。
やはり彼は素晴らしい!
私の乾いた心を救うリーダーだ!!
アテナを主としている私に対して、何も言わない。
そう!!異端者の私に慈愛と配慮をしているのだ!!
私のような異端者を受け入れているあたり、寛容で柔軟な思考をお持ちのようだ!
How do you evaluate him?
I'm selected
It is "splendid" word
but…
SO!but…妹はセイメイ殿にも心を許すのはなぜなのか?
兄である私になぜ心を開いてくれない!?
「お兄ちゃん、セイメイさんのとこいってくるね。」
妹はセイメイ殿のところにいった。
妹は兄離れが始まっているのだろうか?
幼少期から家で二人っきりだった。親から進学の事で大学中に俺が留学する事になったときに大泣きしてたのを思い出す。留学中もメールのやりとりをしていた。留学から帰って就職の時期に俺は外資系企業に就職した時も妹は泣いていた。
またどこかいくのかと……。私が帰国した時には妹は家にいなく一人暮らしを始めていたのだった……。
そして、時は流れ……。数か月前にこのゲームを私がやっていることを妹は知り、ゲームを始めた。
おそらく一緒にいられないけど、そばにいることができるというのがネットのSNS等の良さでもあるが、よりによってオンラインゲームとはな……。もう……俺は兄の役目を終えたのではないだろうか?
私は次の道へ進めるべく準備を模索していた。
――――――――――――――――――――
ソロモンが地図を見ながらいう。
「ここからさらに南下していくと国境越えに少し遠のく。少し西に迂回し、南にいけば、早く国境の辿り着ける。ただし…」
「ただし?」
「峡谷がある。」
「なんだ。馬を引けばいいじゃないか。」
俺はなにか悪魔でもいるのかと思って身構えて損をした。その回答はニアピンで正解となる。
「そこに問題がある。」
ソロモンは話を続けた。
「魔境ではなく“魔橋”なのだ。言い伝えの話(設定)では悪魔が作った橋がそこにある。それを越えなければならない。」
まさかかすった答えになると思わなかった。魔橋か…。ん??というと??
「ちょっとまって。ここでクエストうけろというのか?」と俺はソロモンの言葉を疑った。
「いや、ここの悪魔は典型的サタンだ。ランダムで出現するらしい。無論、討伐が成功すれば失われた財宝が手に入るらしい。」
「ソロモンさん、サタンが出るのですか?」
そこにはいってきたのは、クリスだった。
「仮にサタンが出てきても神聖力である程度の攻撃は無効化できますので、ある程度楽に戦えますよ!」
「そうなのか?」
俺は少し驚いた。神聖力ってすげーな。
「ワシは魔術だからあんまり攻撃は通らない。可能なのは補助魔法でPTのパラメータの底上げぐらいにしか役に立たないのぅ~。」
「今回はクリスが頑張ります!期待しててください!」
クリスは張り切っている
「ほんじゃまぁ、悪魔に出会わないように抜けれるといいなぁ。」
俺がいうとユーグがツッコむ
「そんなんフラグ立っちゃうじゃないですかー!!」
俺らは笑いながら馬に跨り歩を進めることにした。
~トイフェル峡谷と魔橋~
中々橋のかからなかった土地の民がやけくそになって悪魔にでも頼むしかないといったら、悪魔がでてきて橋をかけたそうだ。そのあと、悪魔は十字架で逃げていったそうだ。
にしても、この峡谷はすごい。
断崖絶壁という言葉がイメージしやすいだろう。今にも倒れてきそうな錯覚に陥る。パスガをあとにしてから、もうすでに夕暮れを迎えようとしていた。峡谷は徐々に狭くなり、二人で並んで歩くには少々狭い道幅になってきた。そして、例の“魔橋”が目の前に現れた。
橋は横幅が広くできて、往来が可能なほどの広さだ。
橋の下をみると目が眩むほどの高さと激流が流れている。峡谷であるので風もそれなりに強い。この水があのコンスタンの湖まで流れているのだと思うと俺の想像を超えて自然とはかくも雄大であると知らされる。(ゲームの世界だけど)
日はも暮れていて、ゲーム上の仕様で道に関しては松明のオブジェだったり、自然の明るさが反映されている。
渡り始めてからユーグが笑いながらいっていた。
「フラグ回収しなくてよかったすね~」
中腹に差し掛かり、目の前に大男が現れた。
赤いズボンに黒い服、頭には羽の付いた帽子を被っていた。
「この橋は俺の橋だ。渡りたければ魂を差し出せ。」
ふと俺はソロモンと目が合った。
―――おいおいおいおいおいおい、おいぃぃぃぃいぃいいいいいい!!!!!!俺の回答ド正解で、フラグ思いっ切り回収しちゃってんじゃん!!!どうすんのこれぇーーー!!!
「現れましたね!サタンさん!」
クリスが意気揚々と正義の啓示を詠唱し始めた。
大男は体が膨れ上がり、服は破けちり頭からは角が二本生えてきた。顔はヤギのような顔しているが腕は丸太のように太く、指の爪はとげのように鋭く、足は蹄の足に変化していった。背中には蝙蝠のような翼が生え見るからに悪魔そのものだった。
「おい、これPT狩りだよな?これソロで旅していたら倒せなくない?」
俺はソロモンにいう
「あーこれはPT組んでたら出るみたいじゃよ。ソロだったら出ないみたい」
「ここソロで狩りするとこあったか?」
「あるけど、それはもう少し東側の方の山道みたいじゃの。むしろ俺らは最短の道のりで進んでないから、通常ここはソロで歩かないみたいだよ?各拠点からも遠いしね。それにネーミングが通りたがらないでしょww」
「あーもうぉ!!」
嘆きながら弓を出した。
サタンは空を舞い、橋全体に結界を貼った。
「あーこれ倒さないと橋渡り切れない感じかー」
ソロモンは冷静に現状を分析する。
「いいから支援魔法頼んだぞ!」
ユーグが切り込んだが、サタンは指二本で剣を挟み、はじき返した。
「うっそぉ~~ん。」
ユーグは勢いでしりもちをついた。
「ガハハハ、まだ今のおまえじゃ無理じゃ。おい、アイオリア動けるよな?」
ソロモンはアイオリアを呼びつける。
「ソロモン殿、いつでもいけるぞ!」
――― 私は…そう、このギルドの刃となろう
足元の地面を蹴り出し、蹴りだした足裏から紅蓮の炎を纏う。
ソロモンは手元に詠唱済みの魔法陣を手に掲げている手に走り抜ける際にタッチをする。アイオリアはさらに加速し、そのまま一直線にサタンに飛び蹴りを入れる。
ドラゴン…フレイムッ!
サタンは膝をつく。
「ほう、ダウンしないか?」
「夜時間だから通常より倍の体力じゃぞーー!!」
ソロモンが後方から叫ぶ。
「だからか。どおりで燃やし尽くせないわけか……」
「お兄ちゃん、下がって!」
アイオリアはバックステップで下がる。
ヴァルキリーの本業は洋槍だ。盾と槍を前に出し突進する。
地面に半分くらい突き刺さった魔法陣を呼び出して、その真ん中を貫く。
クリスの装備は白く輝きサタンに槍を突き刺す!
ジャスティス・エンスラァァァーー!!!!!!
サタンは地面に体をおしつけられるように倒れた。
「セイメイさん、今です。サタンは私の神聖力で動けない様にしてます。このままダメージを与えれば、倒せると思います!」
「わかった!」
「ユーグ!!お前にLA取らせてやるよ!!」
「えー無理でしょこんなの~~」
投げやりな言葉を吐いていた。
「いいからいうことを聞け!お前のソードジャンパーのスキルあるだろ?あれを使って跳べ。落下速度を活かして魔王の頭を切断しろ。俺はその間に羽をもぐ!」
「わかりましたよ~マスター」
ユーグは魔法剣を立てて、剣の柄を踏み台にジャンプする。ソロモンはユーグのジャンプに合わせて身体強化のエナジーインストールを打ち込んだ。
俺は薙刀に持ち替えて、地面からすくいあげるように風を起こし弧を描き地面から刃を出した。
さらにその薙刀を振り下ろし再度、風の刃を作りクロスさせて撃ち放った!
クロスさせた風の刃は地面を走り、サタンの両腕を切り裂き、羽の付け根から羽を落とした。
風の刃が抜けたあと、ユーグが落ちてきた。ユーグは腰にさしてある剣を抜く。
―――ああああもう!!!やけくそだぁぁあああああ!!
剣をサタンの首めがけて突き刺すようにしてユーグは落下してきた。
サタンの首は落ち、サタンは消えた。
サタンがやられると橋全体を覆っていた結界は消え、星空が見えた。
「ほらユーグLAとれただろ?」
俺はユーグに手を差し伸べた。
「ねぇー!結界の高さギリギリで上昇したんだけど、あれに当たると俺スタンするんですよ??」
「大丈夫だよ。ユーグを信じてた!」
「うそだぁ!たまたまでしょ??」
「バッカ!俺の神算鬼謀能力を知らんのか??」
俺は笑いながら誤魔化した。
「まぁいいじゃないかうまくいったんだしの!」
ソロモンは近寄りながらいってきた。
俺はクリスとアイオリアを労った。
「さすがセイメイさんですね。仲間を使ってコンボを打ち込むなんて流石です!」
「セイメイ殿、我が拳存分にお使いください!」
「二人ともありがとう!ナイスアシスト!」
「さぁ先を急ごう!」
二人の背中を押し出し、橋を渡り切った。
そして報酬は、サタンの角と金塊だった。サタンの角がなんなのか調べてみたがよくわからなかった。とりあえず、先に進むことにした。