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珈琲カップのなかのひと  作者: 花真田 てう
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開店

 街の路地裏に入って突き当たりを右に曲がると、小さな喫茶店があります。その名前は"Café de bonne chance"(カフェ・ドゥ・バン・チャンス)若い店主と1匹の猫が営む、悩める人が集まる喫茶店です。

 店主の名は篠谷裕輝シノヤ ヒロキそして猫の名前はマメコ。その店のこだわりは店主自ら取り寄せた珈琲豆と美味しいスイーツ。ちょっぴり苦い珈琲ととっても甘いスイーツでお客様をお迎えします。

 メニューは日替わりで一日一品となっています。メニューは店主のオススメで、お客様の心と体を癒やします。

 ひっそりと静かに営む喫茶店が今日もまた開店しました。


 さて、今日もまた一人、悩めるお客様のご来店です。







ザーザーと大粒の雨が降り注ぐ午後2時。

 こんな日はきっとお客様は来ないだろう。そう思って、珈琲カップを洗いながら幾度となく窓の外を見る。もちろん人影はない。

 この店の看板娘(猫)のマメコも退屈そうに窓辺に座って外を眺めている。

「マメコ」

 そう呼びかけても振り向きもせず、「なんだ?」と言うように「ミャー」と答えた。

「はぁ」と思わずため息が漏れる。

 とにかく心を落ち着かせるために、珈琲を淹れた。

「マメコ、マメコもちょっと早いけど休憩に入ろうか」

 そう僕がいうと、マメコはチラッとこちらに目を向け、また窓の外を見つめた。

 僕はペット用のにぼしのパックの袋を開けた。これは彼女がとても気に入ってるやつで、これを開ける音だけで飛びついてくる。

 見た目通り、彼女はやっぱり猫なのだ。

「マメコ、にぼし食べる?」

 マメコはミャーと返事をし、スクッと立ち上がってトタトタと軽快にこちらに来た。

「早くちょうだいよ」そんな風に鳴いて訴える。

「はいはい、ほら、どうぞ」

 マメコは一気に3匹のにぼしをくわえると、また窓辺へ戻った。

 そしてまたミャーと僕を呼ぶ。

「はいはい、こっちににぼしを持ってこいって?ほんとお嬢様だよね、君は」

 またにぼしを差し出すと今度は奪うように食べた。

 また、ミャオと鳴いた。

「え、まだ食べるの?」彼女は外を向いていた。

 すると、カランコロンとドアの開く音がした。

「あ、いらっしゃいませ」

 1人の青年がやって来た。


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