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リィンカーネーションクエスト  作者: シュガーロック
クエスト8 奪還作戦(集の大陸・セデム島編)
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クエスト8-3 リベンジ&リマインド

 




 アイゼンが偽者の勇者に襲われている。



 その情報を聞きつけた俺とタンデは、来た道を急いで戻る。




「あ! おはぎ戻ってきた! おーいおはぎー! おはぎおはぎおはぎおはぎあーー! 無視しないでー!」




 武具屋の立ち並ぶ通りを抜け、冒険者ギルドまで走る。




 しかし、



「シンヤ! あれ!」

「チッ……!」





 冒険者ギルドのある通りに出たが、ギルドの前には人だかりができており、アイゼンとリズの姿はここからでは確認できない。


 人だかりの中心には何やら赤黒いオーラを纏った何かがある。




 こうなったら……




「シンヤ! あの風出る奴でオレを向こうまで吹っ飛ばせ!」


 そう来たか……! となれば……



「ウィンドシールド!」



 まずは風の精霊剣を盾に変化させ、構える。



「タンデ! 壁だと思ってこの盾を蹴るんだ!」

「あ?」


 ……端折りすぎた。



「俺が風魔法で向こうまでお前をとばす。だから足をここに着けてだな……」

「よくわかんねーけど分かったぜ!」

「どっちだよ!」

「要はここに足をバッしてドーンだろ?」

「は?」


 分かるかその言い方で!



「何でもいいからやるぞ!」

「待て。すぐはできない。合図したら来い」




 盾を構え、目を閉じてイメージを練り上げる。


 例えるならそう、バネのごとく……






「今だ!」

「おっしゃ!」




 タンデが壁を蹴るようにして足を盾に付けた瞬間、




「プッシュ・ウィンド!」





 プッシュ・ウィンドで吹っ飛ばし、人混みの中心まで吹っ飛ばす。




「スピードブーツ!」





 盾を戻して右足を翼のついたブーツに変化させ、クラウチングスタートの体勢を取る。



 右足に力を溜め、解放した瞬間一気に飛んでいくように……




「プッシュ・ウィンド!」



 先に飛んだタンデと同じように高速で飛び、スピードブーツを指輪に戻して後を追う。



 あっという間に過ぎていく人混みの中心に、アイゼンとリズの姿が見えた。



 2人の前にいるのは……大和田!? あいつの仕業か!

 しかもご丁寧にあの時手が出なかった強化形態じゃねぇか!







「鎧化・ホムラカズチ!」






 巨大な鎧を身に纏い、プッシュ・ウィンドの勢いを乗せてタックルをぶちかます。




 この飛び方なら直撃を狙える!






 衝撃を肩と腕に感じた直後、すぐさまホムラカズチを送還し、霧を解除する。





「待たせて悪かったな、2人とも」

「シンヤ!」

「オレもいるぜ!」

「タンデ!」




 2人は……ケガをしているが、大事には至らなかったようだ。

 間に合ってよかった……




「ケッ、誰かと思えばまたてめぇか。名誉風紀委員長サマよぉ」

「『副』委員長だ……いや、そんなことはどうでもいい。仲間に手を出したんだ、それなりの報いを受ける覚悟は出来てるんだろうな」

「よく言うぜ。この前はケツまくって逃げた癖によぉ!」

「前はそうだ。だが次は……違う」



 握っていた右手を開き、いつでも精霊剣を呼び出せるようにする。


 不意打ちの衝撃か、阿修羅モードとかいう強化形態は解除されている。




「じゃあやってみろよ。阿修羅猛悪怒!」

「鎧化・ホムラカズチ!」


 大和田が赤黒いオーラを纏い直すと同時に、ホムラカズチを展開する。



 ここで使いたくはないが、これしか打開策が思い浮かばない。

 勇者の剣に頼っているようでは先がもたない。




「おわっ!? シンヤお前……!」




 タンデの言葉に答えず俺は一気に加速して大和田を掴み、前方に思いっきり放り投げる。




「重火砲!」




 間髪入れずに重火砲で追撃し、




飛炎断(ヒエンダン)!」



 跳躍して叩きつけるように刀を振るう。






 とにかく反撃の隙を与えるな!




千連斬(センレンザン)!」




 全速力で刀を振り、途切れ目の無い連続攻撃を叩き込む。

 相手にターンを渡すな! アドバンテージはこちらにある!



「はあああああっ!」




 更に速度を上げて斬撃の雨を叩き込み、





「炎一閃!」



 炎を纏った居合斬りでダメ押しの一撃を叩き込む。





 ……斬った感覚が無い! かわされたか!




「阿修羅悪覇亜(アッパー)!」





 下か!




 跳び上がるかのようにして放たれたアッパーを後退して回避するが、巨体では避けきれず、胸辺りに擦るようにしてヒットする。




「ぐっ……!」

「その辺か……!」



 ダメージは無いが、大和田に位置がバレた!



「だったらこいつだ! 阿修羅魔愚莫無(マグナム)!」



 大和田は右手から黒く巨大な光弾を放つ。



 くそっ、この巨体でこの位置じゃかわしきれない!




「くっ……!」



 大和田の身長と同程度の直径を持つ光弾を受け、大きくノックバックする。

 ダメージは十分耐えられるレベルなのは鎧の力か、はたまた当たりどころの良さか。


 どちらにしろ、この程度で抑えられるなら十分だ!




 相手は拳、であるなら遠距離で攻めるのが確実か。





爆連弾(バクレンダン)!」




 頭の中に流れてきた名前を叫んだ直後、両腕の装甲が展開して、ガトリング砲が姿を現す。



 ホムラカズチ、予想以上に何でもありだな!?



 大和田に狙いを定め、距離を取りつつ銃撃を放つ。




「へっ、何だこの豆鉄砲は?」




 効き目が薄い! だったらこっちでどうだ!




「重火砲!」




 轟く爆音と立ち込める土煙。

 徐々に晴れゆく煙からは、奴のシルエットが見える。




「へっ、効かねぇな」




 大和田の口ぶりの割には、幾ばくかのダメージは入っている。



「このくらいすぐに……何だ? 傷が治らねぇ」



 好機!


 指で刀身をなぞって炎を纏わせ、身体の傷を確認する大和田めがけて思いっきり斬り上げる。




「くそっ……!」

「もう1発!」




 すかさず刃を返し、叩きつけるように刀を振り下ろす。


 こっからもう1発……!





「捕らえたぜ……!」

「ちっ……!」






 薙ぎ払うように振るった刀は受け止められ、黒いオーラの中からしたり顔の大和田の表情が見える。




「姿が見えねぇってんなら、捕まえればいい……ドスの振り方が「重火砲!!」




 奴の言葉を遮り、重火砲を放つ。

 止められたならこうするまでだ!








 肩の砲は唸りを上げ、再び土煙が舞う。



 抑えられていた刀は動く。




「阿修羅……」



 来る!




暴虎無愚裏拳(ぼこなぐりけん)!」




 クソッ、速い!




 両腕による咄嗟のガードの直後、大和田が繰り広げたのは拳による連打の嵐。



「おらおらおらぁ!」



 咄嗟に両腕でガードしたまではいいが、反撃の隙が見当たらない。




「!!」



 左腕の装甲からピシッ、という嫌な音が聞こえた。


 くそっ、防勢に徹していてもラチが明かないか!



「はっ!!」




 右腕で薙ぎ払い、そのまま刀で斬りつける。


 大和田が退いて避けたのを利用し、踏み込んで連続で刀を振るう。




 1度目は命中するが、2度目はかわされ、3度目は蹴り飛ばされる。




「けっ、鬱陶しい霧だぜ! 阿修羅旋風!」




 大和田はその場でコマのように回転すると竜巻が起こり、周囲の霧を吹き飛ばす。



「見えたぜ! 阿修羅(あしゅら)武殺狼死拳(ぶっころしけん)!」




 俺が竜巻で思うように身動きが取れない中、大和田は右手にオーラを集約し殴りかかる。





「ぐっ……!」




 ガードした左腕の装甲は完全に破壊され、砕け散る。

 左腕の肘から先はスクラップになり、使い物にならない。

 痛みが無いのは幸いか?





 だが、ただでは終わらせない!




 至近距離に飛び込んで来た大和田に狙いを定め、叩き落とすようにして刀を振るう。



「ぐおっ!?」

「はぁっ!」

「させるかぁ!」




 大和田を地面に叩きつけ、そこから追撃するが、そちらは跳ね返されてしまう。




「阿修羅範魔亜(ハンマー)!!」




 大和田は両手を組み、叩きつけるように振り下ろす。



「当たるか!」


 ホバーを利用し、横方向にスライドする形で回避する。



 攻撃は地面に直撃し、着弾点を中心にクレーターが出来上がる。




「めんどくせぇ、こいつで終わりだ!」




 大和田は両手にエネルギーを集中させる。


 そっちがその気なら……!




 重火砲を展開し、その場で撃たずにエネルギーを充填する。




「超・阿修羅武轟爆死波(ぶっとばしは)!」

「重火砲・(キワミ)!」




 技名を叫ぶと共に、黒と赤の強大なエネルギー波がぶつかり合う。


 ゲームならいかにも連打を強要されそうな……





「うおおおおお!」

「はあぁぁぁぁっ!」




 力を込めて出力を上げるが、押し切るにはまだ足りない。




「ぶっ殺す!」

「まだまだぁ!!」





 刀を地面に突き立てて支柱とし、更に出力を増大させる。






「随分と飛ばすのう、お主」



 エネルギー波による鍔迫り合いの最中、突如火の大精霊、カグヤの声が響き渡る。



「何ですか急に……!」

「忠告じゃ。今の損傷具合でこれ以上出力を高めれば、ホムラカズチは自壊する。そうなったら、日を跨ぐまで呼び出すことはできぬ」

「そんなこと、言われても……!」




 これ以上出力を上げればホムラカズチの方がもたないのは、なんとなくではあるが感覚で分かる。

 だが、今の出力で競り勝つのは無理だ。

 今は互角だが、向こうが出力を上げた場合このままでは当然競り負ける。


 出し惜しみしたら、明日を迎える前に精霊剣ごと御陀仏ってんだよ!






「最大火力だあああ!!!」




 持てる力の全てを使い、限界まで……いや、限界をぶっちぎって出力を上げる。


 バキバキと砲身に亀裂が走る音がするが、ここを乗り切らなければ意味が無い。


 もう少しだけもってくれ……!




「お……押される!?」

「うおぉぉぉぉぉらあぁぁぁぁぁ!!」







 重火砲・極の赤いエネルギー波がの黒いエネルギー波を押し返し、大和田を吹っ飛ばす。


 それと同時に重火砲の砲身から肩、腕、胴体の順でホムラカズチの鎧も崩れ去り、赤い霧も晴れる。

 ホムラカズチは指輪に戻り、指輪に嵌った赤い宝石は輝きを失っていった。



「……」



 消えたホムラカズチの代わりに背負った鉄の剣と盾を抜き、構える。



 警戒は怠らないに越したことは無い。





「やりやがったな……」




 そら来た。




 流石にかなりのダメージが通ったようで、煙の中から出てきた大和田は阿修羅モードとやらも解除され、傷だらけで辛うじて立っているような状態だ。




「ハァ……ハァ……」



 だが、こちらも無事というわけではない。


 直接的なダメージはほぼ無いが、重火砲・極で無茶した反動のダメージが来ている。

 鎧化状態の時に吹き飛んだ左腕は無事でちゃんと動くが、鈍い痛みが全身に行き渡っている感覚がある。





「この野郎……」


 指をパキポキと鳴らし、こちらへ向かってくる大和田。

 剣を握り締め、挙動の観察に神経を注ぐ。




「おらぁ!」



 大和田が放った右フックを避け、カウンターの一撃を見舞おうとした瞬間、






「我が名において命ずる。愚かな者共に束縛を。パラライズ」





 若い男の声と共に、身体が痺れて動けなくなる。




「困るねぇ君達、そんなに派手に暴れてもらっちゃあ。おかげで町が滅茶苦茶じゃないか」





 一時停止した動画のように動けなくなった俺と大和田の真横から、貴族と思われる綺麗な服を着た青い髪の男が10人程の兵士を率いて現れる。



「ソロル様、大きい方の奴はおそらく……」

「分かっている。手筈通りにやれ」

「はっ」




「な、何だお前ら! くそっ、身体が動かねぇ! なんだこれ!」

「五月蝿い野郎だ! 布でも突っ込んでやれ!」

「ふごっ! ふごごー!」



 兵士は大和田を取り囲むとロープを持ち出して大和田を拘束し、どこかへ持ち去ってしまった。





「さて、君の方は……この惨状の後始末をしてもらおうか」



 改めて周囲の光景を見ると、主に道路が凄まじいことになっており、壊れた建物もいくつか散見される。




「後始末って……何を……?」

「決まっている。修復だ」




 あ、そうですか……





「不服かね?」

「いや、別のことを要求されるかと……」

「おかしなことを言うね君は。散らかしたものを片付けるのは、当人の義務ではないか」

「それは、そうですが……」

「まあいい。君は冒険者だね?」

「ええ」

「明日ギルドに使いを寄越す。忘れずに来てくれたまえ。忘れたら……ふふふ」



 男はそう言って指を鳴らすと、身体は何事も無かったかのように自由に動いた。




「では、これにて失礼するよ。やることが出来たからね」



 男は踵を返して去っていき、兵士も後に続く。






 小さな声だったが、確かに聞こえた。


 あの男に耳打ちした兵士が、奴をソロルと呼んでいたことを。

 ということは、あの男がソロルか…………見た感じは普通の貴族だが、果たして……




「シンヤ様!!」




 声と共に、ピス達が駆け寄ってくる。




「大丈夫デスか!?」

「ああ」

「てめぇコノヤロー!! 何いきなりあの霧ぶっ放してんだ! 殺す気か!」


 タンデはいきなり俺の胸倉を掴んだ。



「悪かった。だが、今俺が使える手段の中でまともに対抗できそうなのはアレしか無かったんだ」

「だからっていきなりぶっ放すな!」

「悪かったから離せって……」

「でも、あの霧厄介だよね。あれじゃ連携して戦えないもん。どうにかできないの?」

「纏った時点で発生する以上は、根本的に性質を変える必要がある。それができるかどうかは……分からない」



 リズの言う通り、赤い霧を発するホムラカズチは複数人味方がいる状況下での戦闘に向かず、タイマンに特化した精霊剣だ。霧をどうにかしない限り、味方と連携して戦うことはできない。


 圧倒的な火力や強化状態の大和田の攻撃にもある程度耐え、本体である俺にダメージを引き継がない装甲、上半身に偏ったアンバランスな巨体にしてはスムーズな機動力など、他の精霊剣とは一線を画す強さを持つのは確かだが……




「フッ、しかし随分と派手に暴れたものだな」


 アイゼンは周囲を見渡し、左手を頬に添えた奇妙なポーズを取りながらそう言う。

 よく見ると、その手は震えていた。



「……ああ。おかげで明日から土木作業だ」

「え?」

「立ち話もアレだし、詳しいことは酒場に戻って話そう……タンデ、そろそろ離してくれ」

「お、おう」





 ……………………





 ………………





 冒険者ギルド内の酒場に戻り、先程のことについて話した。




「つまり……さっきのアイツはソロルって言うお貴族様に連行されて……」

「色々ぶっ壊したおめーは明日からぶっ壊した家とか道とか直せってそいつに命令くらった、と」

「そして、そのソロルという男が不屈の勇者シンヤの仲間である女騎士が居候していた武具屋に立ち入り……」

「何らかの目的のためにシアルフィア様を連れ去った……ということデスね?」



 どういうわけか美味い具合に4人でリレーして纏めた。




「ああ、そんな感じだ」

「どうやら、そのソロルとかいう貴族に探りを入れる必要がありそうだな……大和田を連れ去ったことといい、調べれば何か出てくるかもしれない」

「ソロルといえば……シアルフィア様のお父様から預かり物があったのデス。歪みし時空に隠れし亜空の箱の扉よ、今こそ開け! ボックス!」




 いつの間にか妖精態に変化していたピスが俺の横でボックスを唱える。




「シンヤ様、左前の青い封蝋の……」

「これか」



 青い封蝋のついた封筒を取り出し、開けてみる。

 気付けばリズが隣に、タンデ達が俺の背後にいた。



「それ魔力込めれば戻るやつだからそんなにそーっと開けなくていいよ」

「マジ?」



 開けてみると、様々な書状が出てきた。

 1、2、3……11枚くらいあるなこれ。


「ちょっと借りるね」



 その中から1枚をリズが手に取り、読む。



 俺も1枚手に取って読もうとした時、





「こ、これって……ソロルって貴族が犯した犯罪の一覧表……? 詳細は別紙ってことは……ちょっと貸して!」

「えっ」



 リズは俺が手に取った紙をひったくり、食い入るように読む。



「うわ……うわー……うわうわうわ」



 顔を引き攣らせつつも、次々に書状を確認していく。

 俺もリズが読み終わった書状にサラッと目を通す。



 罪状リストには罪名が、それ以外は何の罪をいつどこで犯したかが書かれており、罪状リストを除いた全ての書類に魔法陣が小さく描かれている。



 リズがその魔法陣に触れて魔力を流すと、プロジェクターのように映像が映し出される。




『頼みましたよ……ソロル君』

『ええ。万事抜かり無く』


 これは……密会の様子か?


「変な声出すなよ包帯野郎!」

「俺ではない!」

「うるせぇ静かにしろ!」


 騒ぐタンデとアイゼンを黙らせ、映像に集中する。


『しかしアンデッドの魔物を操るとは……一体どのような手段でそんなものを覚えたのです?』

『ま、色々とツテがありましてね』



 リズは映像をそこで打ち切る。



「……死霊魔術は命の女神に対する冒涜とされる禁忌の魔法だよ。そうじゃないとしてもアンデッドは使用の禁止された魔法生物……」

「もうこの時点で真っ黒ってことか……」

「魔術を重んじる家系ならこれだけで家の存続が危ぶまれる代物だけど……こんなのがあと9件もあるの?」


 リズは信じられない、といったような表情を見せる。



「……場所を、変えよう。いくら喧騒で誤魔化せるっても、これはまずい」

「だよね……」

「オレにも教えてくれよ。つまりどういうことなんだ?」

「ソロルとかいう貴族は重罪人ってことだ」

「すっごく悪いヤツ、ってことデスね」

「とりあえず、残りも確認しよう。移動するぞ」

「うん」




 ……………………






 ………………




 宿を取り、一室で再び映像記録を確認する。


 見てみればまあ出るわ出るわ悪事に次ぐ悪事。

 性交渉の強要、悪質ないじめ、教師や教会との癒着、賄賂などなど……叩けば埃が出るとはまさにこのことだな。


 だが、1番衝撃的だったのは……




『や……やめろ! やめてくれ!』

『何を言うんだい? 用無しのゴミに新たな存在意義を与えたんだ、感謝してくれよ。新たな魔法の実験台になるという誉れを与えたこの僕をさぁ!』

『うわぁぁぁアァァァァァアアァァ!!』



『魔物にも話が分かる者がいるとは、驚きですよ』

『面白いことには協力を惜しまないのさ。クヒヒヒ……』



 人間の魔物化とマジクスとの密約。



 映像内のソロルは右手から光を放った次の瞬間、彼の目の前にいた男は一瞬のうちに肉体を溶かし尽くされ、スケルトンに変貌したのだ。

 他の映像と照らし合わせると、この力はマジクスから受け取った可能性が高い。



「不屈の勇者よ、後は頼む……!」


 生々しい光景に耐えられなかったアイゼンは大慌てで部屋を出る。





「……なぁシンヤ、オレ達すげーことに首突っ込もうとしてないか?」

「魔王討伐の手伝いの時点で大概だろうが」

「そうじゃねぇよ! その……なんつーか……」

「魔王討伐なんてふわっとしたものじゃなくて現実的にヤバそうな案件が目の前に迫ってるって言いたいんでしょ? ぼくもそうだもん」

「それだ! よくわかんねーけど!」


 権力を持った相手に逆らうのが危険でない訳が無い。

 だが、そうでもしなければフィンの奪還など夢のまた夢だ。



「ああ、危険だ。それも、強力な魔物と戦うのとは全く別のな。死んだ方がマシな目に遭わされるかもしれない。降りるなら今のうちだ」


 俺はタンデとリズを見てそう言った。



「ハッ、バカ言うなよ、やるに決まってんだろ。そんな面白そうなこと、独り占めなんてさせねーよ」

「ぼくもやるよ。皆のところに引き合わせてくれた恩もあるしね」

「ボクはどこまでもお供するのデス!」

「フッ、勿論俺も同行するぞ……新たなる伝説のためにもな」



 いつのまにかアイゼンも戻ってきており、扉にもたれかかっている。



「皆、ありがとう」



 フィン奪還作戦、開始だ!

今回の更新分は以上であり、次週以降は再び休載となります。

申し訳ありませんが、執筆完了までお待ちください。

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