ボッチと異世界6
門番のおじさんとスキル≪鑑定≫の説明でも、この辺に生えているといったものの、全然、見つからない。
鑑定で、周りを隅々まで見るがほとんどが雑草。回復草は見つからない。
「このあたりをツノウサギってのに食べられたのかな? もう少し、森の奥まで行くか」
今度は少し城壁から、離れたところまで進み、鑑定しながら、あたりを見る。
『雑草』『雑草』『回復草』『雑草』
「あった。回復草、これで見つかった数は七本……。はぁ~、こんなペースだったら日の方が先に沈みそうだ。シロの方はどうだろう」
別の場所でシロも手伝って、いろんな草を持ってくるがほとんどが雑草。先ほど持ってきたとき回復草はあったが一本しかなかった。
「だめだ……。ここも一本しかない。どこかにたくさん取れる場所はないのか?」
「(……コクコク……)」
あの後、シロとも合流し、見つけられた回復草の数は十五本。
もう、あたりも暗くなりつつある。諦めようか……な。
「あ、いたいた。おーい、君!」
落ち込んでいるところ、後ろから突然声をかけられびっくりする。
振り向くと、先ほどの門番のおじさんだった。
「やっと見つけた。それから……すまない!」
会った瞬間、門番のおじさんはいきなり謝ってきた。
「回復草の事なんだが、このあたりの回復草は、最近来た冒険者達が狩りつくしてしまって、ほとんど無くなってしまったらしい。そのことを今さっき部下に聞いて君を探していたんだよ」
そうだったのか、道理で、あんまり見つからないはずだ。しかも、狩りつくすということは少なくても、僕と同じスキル≪鑑定≫を持っている可能性もある。
「俺の情報不足ですまない。今から、他の物を探すとなると時間もかかるだろうに……」
「い、いえ、き、気にしなっ」
ダメだ。人と話すとなぜか緊張してしまう。気にしないでくださいが、どうしても言えない。
「そうだ! こうしよう。君が集めた回復草を俺が銅貨三枚で買えばいい。そうしたら、君も街の中に入れて、宿にも泊まることができる」
「えっ? い、いいんで、すか?」
でも、そんなことしたって、おじさんに何の得もないんじゃないか?
「気にしなくていいよ。職業柄門番をやらせてもらってるけど、趣味で調合をしててね。ポーションを作り、回復草は必要な材料なんだ」
「わ、わかりま、した」
僕は取ってきた回復草を門番のおじさんに渡す。
「数は十五本か、狩りつくされ、あまり見つからない中で、これだけでも十分すごいよ。はいこれ、銅貨三枚」
門番のおじさんから、銅色をした。十円玉のようなコインを三枚渡される。そのコインに描かれているのは髪の長い女性が手を合わせて、祈っていた。これが銅貨か、
「あ、ありが、とうござい、ます」
「俺の方こそ、丁寧に採っているものが多いから、いいポーションが作れそうだ。それから、その白いスライムはテイムモンスターかな」
あっ、そうだ。シロはどうすれば、鞄の中にまた入ってもらうか、
「テイムモンスターなら、テイムの印が付いていれば、街に入れも問題ないよ。でも、見たところ印はついていなさそうだね。この街は、冒険者ギルドの他にテイマーギルドもあるから、そこで印をつけてもらいなよ」
テイムの印とは、その印がつけられた魔物はテイマー、所有者がいるということがわかる。これは、魔物が盗まれないようにという予防でもあるらしい。
テイマーは、魔物を使役して、戦う職業だ。魔物が盗まれでもしたら、戦えなくなるし、テイマーにとって、使役した魔物は家族と同じ、つまり家族を失う意味でもあるという。
僕も、宿をとって明日、テイマーギルドに行くか、シロは僕の大事な友達だからな、それと冒険者ギルドも行っていよう。
城門に戻ると、門番のおじさんが身分証を再発行し、僕に渡してくる。なくさないように優しく注意をかけて、
「それでは、ようこそ、デアーズ国一の新鮮な野菜、動物の肉がいろいろと揃う街、イオムへ」
門をくぐり、僕は、目を見開く。多くの人がにぎわい、屋台からはいい匂いの食べ物が、もうすぐ日が暮れるというのに、街にはたくさんの人がいた。
…………だけど、ボッチの僕にはこの状況はあまりにも、恐怖と思えた。急いで宿にいこう。そして早めに寝るとするか、
「い、一泊で」
「銅貨一枚だ」
銅貨一枚を渡し、宿も何とか、泊まることができた。泊まる部屋で、鞄に入っていたシロをだすと僕は、ベッドに横になる。シロも僕の傍により、疲れてたのだろう。コクンコクンと動いている。
「ふぁ~、僕も寝るとするか……」
こうして、異世界にきて、一日目の夜を迎えた。