ボッチと異世界5
スライムのシロと歩いて、やっと街についた。シロは魔物だから街に入って騒がれないように、鞄の中にいてもらおう。ごめん、あとでだして、あげるからここで大人しく待ってて。
街は十メートルぐらいはある城壁で守られており、見たところ街に入るには城門からなのだが、門、傍ににいる門番からの確認を受けてからじゃないと入れないようになっているらしい。
しかし、ここであることに気づく、ここは異世界、言葉が通じない可能性もあるのではないかと……。
その前にまず、僕は家族意外と喋ったことはほとんどない。あるとしても近所の人にあいさつ程度だ。それでも出す声は、小さい……。
「君! 黒髪の君!」
門番のおじさんがこっちに向かって声をかけてきた。
「何をしているんだ? そんな所をうろうろしていると逆に怪しまれるぞ」
「は、はい! す、すいません……」
僕は、すぐに頭を下げた。
「そ、そんな強く言ったわけじゃないから、気を落とさないでくれ、見たところ武器も持っていないようだが、何かあったのか?」
異世界で言葉が通じたことはありがたいが、急に話しかけられて、びっくりもした。
「いえ、あの、その……」
僕は何も言えなくなり、顔を落とす。
どうしよう、なんていえば、異世界から来ました。じゃぁ、頭おかしいのこいつ? と思われるし……。
「あー、すまん」
何を察したのか、門番の人がいきなり、頬をかいて謝ってきた。
「ここにくる途中、盗賊にでも襲われたんだろ、大変だったな……。うろうろしていたのは、大方、身分証がないうえに、金もないってことでどうしようか困っていたってことだったんだよな」
「えっ、ち、違っ」
違うと否定しようも人と話すことが苦手な僕の声は門番のおじさんには、聞こえていない。
「身分証がないものは、銅貨一枚払って再発行してもらわないと、通行させることはできないこれは、規則だから、どうすることもできない。でもお金持っていないんだよな……」
門番のおじさんの話で銅貨という単語が出てくる。この世界の貨幣だろう。お金は持っていないのは確かだが、勘違いをされても……。
「よし! 君にはこれをとってきてもらおう」
そう言って、門番のおじさんが取り出したのは一本の草。僕はその草に≪鑑定≫を使う。
『回復草』
HPを少し回復させる効果をもつ草。その辺に生えている草であり、ツノウサギの好物でもある。
この草のは、HPポーションの材料として使われている。
「これは、回復草といって、この辺に生えている草だ。これを三十束持って来れば、銅貨三枚に換金できる。銅貨二枚は安い宿代として、一泊は泊まれるはずだ」
僕のことを考えて、丁寧に教えてくれる。優しい人だと、思った。
「あ、ありがとう、ございます……」
「おう、まだ日は明るいが、魔物には気を付けろよ」
「は、はい」
門番のおじさんは、城門の場所へと戻った。本当に優しい人だなぁ、
「よし、回復草を見つけるか……」
その辺に生えているってことは、≪鑑定≫を使えばすぐにでも終わらせることができるな、
それに、シロにも手伝ってもらおう。
シロを鞄からだし、一緒に探してくれないかとお願いする。シロは、コクコクと頷くとピョンピョンと探し始めた。
僕もシロに続き、回復草を見つけるためその辺を歩いていく。