ボッチと異世界2
「ダメだ。人が見当たらない」
あれから、二時間が経過しただろう。ズボンのポケットに入っていたスマホを見る。
スマホの時間は午後二時。立ち止まってあたりを見るが、見えるのは、山に森に変な豚だけだった。あっ、変な豚ってのは、二本足で立ってたよ。槍まで持ってたし、えっ、それはオークだって、まさかぁ、
あれ? 叫んでこっちに向かってくるんだけど、槍振り回してるし、もしかしなくても、ピンチ!?
逃げなきゃやばい?
だんだんと近づいている変な豚を見ていると、今度はピロリンと、効果音と声が頭に響いた。
『スキル≪鑑定≫が発動しました』
スキル≪鑑定≫? それってと思ってると、やはりゲームでいうあのステータスが浮かび上がった。
【名前】オーク
【性別】オス
【レベル】5
【HP】75/75
【MP】12/12
【スキル】≪槍術レベル2≫ ≪身体強化レベル1≫
はい、オーク確定ですね!
僕はすぐさま、逃げる──が、オークの方が足がはやいようで、もうすぐそばまで追いつかれてしまった。
やばいと、思ったが、ここである疑問が生まれる。鑑定スキルが発動した。ということは、僕にも他のスキルがあるのでは? もしかしてこの状況を回避できるのでは? 物は試し用っていうしね。
「自分に≪鑑定≫!」
『鑑定スキルが発動しました』
おっ、どうやらできたらしい、僕は逃げながら急いで確認する。
【名前】ユウ・ホシミヤ
【性別】男
【年齢】16
【職業】なし
【レベル】1
【HP】30/30
【MP】20/20
【固有スキル】≪フレンド≫
【スキル】≪鑑定レベル1≫ ≪隠密レベル2≫ ≪気配遮断レベル2≫ ≪火属性魔法レベル0≫
≪水属性魔法レベル0≫ ≪氷属性魔法レベル0≫ ≪剣術レベル1≫
お、おお、スキルはオークよりは持っている。それから固有スキルもあるが≪フレンド≫? なんか意味が分からないスキルが出てきたが、どうやら、戦闘系ではなさそうな気がする。気がするだけだけどね。
とにかく、スキルにあるもので、レベル0とあるが魔法が使えるみたいだ。これはうれしい、それ以外で戦闘系スキルで唯一あるのが≪剣術≫、だけど、剣をもっていないので、魔法で戦うしかなさそうだ。
「でも、魔法ってどう使うだよ!」
ブアアァァ!
考えている時間はない。振り向けば、オークはすぐそば、槍を使って僕を刺しに来た。
「ひいいっ」
転げるようにして避けたが情けない声が出た。し、しかたないだろ、刃物向けられたら誰だってびびる。
ブアアァァ!
「ええい、一か八か食らえ、火属性魔法!」
いちよう、映画などで見たことがある火炎放射器の炎を浮かべた。
すると、またも、効果音の次に声が聞こえた。
『スキル≪火属性魔法≫のレベルが上がりました』
『スキルに≪無詠唱≫が追加されました』
どうやら、今のでスキルのレベルが上がったようだ。しかも、追加で≪無詠唱≫をもらった。≪火属性魔法≫の方もちらっと確認するとレベル1と表示されている。
それで、肝心のオークなのですが、スキルがレベル上がった瞬間に、僕の手の平から、魔法陣と思われる物でてきた瞬間、そこからすごい勢いの炎が吹き出しオークは黒こげになりました。
ポーン、と今度は違う効果音が流れる。
『ユウ・ホシミヤのレベルが2上がりました』
『スキル≪鑑定≫のレベルが上がりました』
『スキル≪隠密≫のレベルが上がりました』
『スキル≪気配遮断≫のレベルが上がりました』
『スキル≪火属性魔法≫のレベルが上がりました』
『称号に『ボッチ』が追加されました』
『称号に『異世界から転移された者』が追加されました』
おお、頭の中に次々と声が流れた。
オ―クのせいで、自分のステータスはあんまり見られなかったが、今度はゆっくりと見る。
【名前】ユウ・ホシミヤ
【性別】男
【年齢】16
【職業】なし
【レベル】3
【HP】50/50
【MP】60/60
【固有スキル】≪フレンド(0/5)≫
【スキル】≪鑑定レベル2≫ ≪隠密レベル3≫ ≪気配遮断レベル3≫ ≪火属性魔法レベル2≫
≪水属性魔法レベル0≫ ≪氷属性魔法レベル0≫ ≪剣術レベル1≫ ≪無詠唱≫
【称号】『ボッチ』『異世界から転移された者』
レベルが3になってる。それに他のスキルもレベルが上がっていた。ただ、≪剣術≫ と火属性以外の魔法はレベルがそのままだが、これから使っていけば、レベルは上がることだろう。≪無詠唱≫だがレベルがついていないあたりレベルが関係ないスキルもあると見た。それからこの謎固有スキル≪フレンド≫鑑定のレベルが上がったからか、先ほど見えなかったところが見えた。
人探しをする前に、自分の命を大切にした方がいいな、オークの件もあるし、別の奴がまた襲ってきたらたまったもんじゃない。僕は、鑑定を使って自分のスキルをある程度知ってから、人探しをすることに決めた。
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