ボッチと異世界
雲一つもない青空、緑いっぱいの草原に、二本立ちで歩いている鹿。
──ここは日本ではないな、なんか変な生き物いるもん。
僕が意識を取り戻して、起き上がって見た光景である。僕以外は……誰もいない。
「そして、ここどこですか?」
僕──星宮 結友は高校二年のどこにでもいる高校生だ。
確か、遅刻しそうになったので教室まで急いでいたはず、遅刻した者は十分は廊下に立たされるという、クラスの担任が決めたルール。夏はかまわないが、冬の時期にさせられると寒くて立っているのもつらい。
それが嫌で、焦っていた。
だけど、気が付けば、だだっ広い草原に一人。正直、さみしい。
まぁ、友達はいないけどね。友達いない=年齢だから、僕。つまり、ボッチなのだ。やばい自分で言ってさらにさみしさが増した。
そういえば、教室に入った瞬間に周りが光に包まれていたような……。
うん! 考えても仕方ないか! とりあえずこの状況を何とかしよう。異世界ってやつだよね、きっと。
僕の服装は長袖のシャツに学ランに長ズボン。いやぁ、学ランていいよね。かっこいいし、着るとしっくりする感じがまたいい。
それから、幸い、リュックも傍らにあった。中身を確認する。
昼の弁当にお茶を入れた水筒、授業で使う教科書、ノート、筆箱、それと趣味の小説が五冊、えっ? なんでそんなに持ってくるかって、ははは、バカだなぁ、僕がボッチだからに決まっているだろ、誰にも声かけられないし、僕なんかはコミュ障で自分で話しかけることもできないし、席で本を読んでいることしかできないのさ……、誰に話してんだろ僕。いけない、こんな状況だから混乱してるんだ。
「とりあえず、歩くか。運がよければ人に会えるかもしれないし」
そう言って僕は人がいるだろうと思う方向に歩いて行った。
「でも、人と会ったら、どう話せばいいんだろうか? やっぱり、こんにちは! からか?」
人と話すことがない僕にとって、異世界最初の難関だと思う。
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