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顔合わせXⅠ

今の聞いている明日奈はというと……。


「………………………」


 無言ではあるものの、ご立腹の様子。なんで明日奈が怒っているのかは知らないけど、その怒り心頭の心を表しているかのように、明日奈の瞳からはメラメラと燃え上がる炎が幻覚ではあるものの、一樹の目には見えていた。

 これは何とかしないと……。

 この状況に、焦りを募らせる俺は、


「由愛の身長があと十センチが伸びたら考えてもいいかもな……」


 そう口にした。

 一樹は由愛の身長がこれ以上伸びないだろうと思い、この言葉を口にしたのだ。

 それを悟ったのであろう、明日奈もホッとした表情へと変えたのを確認できた。

 だから、何でホッとしたの?

 一樹の心では、それが疑問となっているが膝の上で座っている由愛はと言うと、


「わかったのよ、あと十センチを気合で伸ばしてみせるのよ」

「頑張れ、頑張れ」


 等と、適当に返事をした一樹である。そして、その隣からは、


「一樹、そんなこと言ってもいいのか?」


 と心配してくれる友人の声。憐矢は、今の約束に心配してくれているのだ。


「この前も言ったが、変な約束はしない方がいい……。もしも、本当に十センチも伸びたらどうする気だ? 本当に由愛がお前と結婚することになるぞ……」

「でも、今はこれで凌ぐしかないだろ……。そうじゃないと、また暴れ出すから」

「確かにそうだな……由愛が暴れると面倒だからな。今はそれでいいか」


 こうして、由愛といつになるかも分からない約束を交わしたのである。


「それじゃぁ、次に明日奈。お前が自己紹介する番だな」


 さっきまで頬を伝っていた涙を拭い、明日奈は少しだけ赤みを帯びた瞳を一樹たちの方へと向き、自己紹介を始める。


「泣き顔を見せるつもりはなかったんですけど、ちょっとゴタゴタがあったので、そこは許してもらえると嬉しいんだけど……改めて自己紹介をするわね。私の名前は天野明日奈。この赤城学園の一年でそこにいる三人とは中学からの馴染みがあるわ。得意なものは、ハンドガンでの射撃よ」


 そして、二人に対してもう一度、勾坂たちは自己紹介をした。それからと言うもの、あと一人だけを待つこの時間。何をする訳でもなく、ただ単に、時間を潰す。そして、集合時間が過ぎてから、更に十分後、学園長室の扉をノックする音が響くと、


「入ってもいい?」


 と、扉の外側から声が聞こえてきた。


「いいわよ。みんなも待ってるから早く入って。いつもみたいに遅刻するのは分かってたけど、流石に今回は遅刻しないで欲しかったなぁ」


 そんな言葉を口にしているミカエルに対して、扉を開きながら入ってきた一人の美人が入ってきた。ストレートの短い黒髪でどこかのお嬢様のような雰囲気を漂わせている彼女は、


「流石に昨日は疲れたのよ。だから、救急室で仮眠をしていたら、放送が掛かって名前を呼ばれた。そこからは、寝起きだったから歩きも遅くなっちゃうわよ。そこは許してもらってもいいとおもうのだけれど?」


 と黒い瞳を少しだけ細め、軽く流す様に口にすれば、


「許さないわよぉ。私は遅刻しないでねって言ったじゃないっ!」


 ミカエルが言葉に力を入れると、何処からともなく赤く燃え上がる一筋の矢が飛んでいく。そんな予備動作をしていないミカエルの矢を、難なく掴みあげて軽く折った美人な女生徒。


「なんでそう怒るのよ? 私にだって寝たい時はあるのよ?」


 その学生の瞳は、一瞬だけだが赤く染め上がり、それはまるでもう一人、この場に天使がいるような感じを漂わせた。


「学園長、それに揮移きい。こんなところで力を使わないでくれませんか? それと、揮移も流石に天使とやり合っても学園が無くなるだけなんだから。少しは冷静になってくれない?」


 ミカエルと揮移の間に割り込むように、勾坂が二人のやり取りを止めに入る。


「そこまで力を持ってるんだったら、もう少しは真面目にやろうと思わないの?」

「私はいつも真面目だけど? ミカエルこそ、私とやってどうにかなるのか?」

「私が勝つに決まってるじゃない。あなたは、普通の人より力が少し強いだけ……。そんな人間に負けると私が思う?」

「やってみる?」

「私は良いわよ? 本気でやっても。でも、この関東全域が無くなるけど、それでもいいなら本気をやってあげるわよ」

「……上等よ」


 二人の間では、バチバチと火花でも飛び交っている。それは本物の火花で、二人の間では、常に力を行使されていた。

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