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顔合わせX

「イテぇ……。由愛、俺の上に居ていいから、暴れないでくれるか? 頼むから、な?」


 子供をあやす様に話かければ、膝の上に座っている由愛は、


「イッキが言うなら大人しくしてるけど、明日奈に言われるのは嫌なのよさ。なんかいつも私の時間を潰してくるあの忌々しい女がっ!」


 途中、遊びで言ったのであろう言葉が俺的にも、明日奈的にもムカッとなったのであろう。明日奈は顔に青筋を立て、俺は明日奈の代わりと言ってはなんだが、由愛の頭へと拳骨をする。


「――――っ! イッキっ、痛いのよ、何するのよさ!」


 抗議してくる由愛に、俺は自分なりの怖い顔を作れば、


「明日奈に変なことを言うんじゃない。明日奈だっていろいろとあるのに、お前や俺達と一緒に遊んでくれてるんだ。感謝しなきゃいけないだろ」


 一樹の顔を見ている由愛の目尻には、涙腺から出てきた水滴が頬を伝わり、ほんの少しだが、喘ぐ声も聞こえる。


「……一樹」


 そんな俺の言葉を聞いたのか、扉の前で立ち止まっていた明日奈の瞳からも涙が頬を伝って高級な絨毯が敷かれている床へと落ちた。

 そんな明日奈に、一樹は今なら謝れると思った。だから、


「明日奈……さっきはごめんな。俺も意固地になり過ぎてたよ。謝るからさ、俺とまだ友達でいてくれないか?」


 あの廊下での一件からほんの何十分としか経っていなかったものの、こんなにもすぐに仲直りができるものなら、仲直りをして置く方がいいだろう。昔からの友達なのだ。これまでも友達で、これからも友達でいたいから。


「私も悪かったと思ってるから……。でも、これからは普通に呼び合おうよ。昔みたいに……」

「昔みたいにって……それは、困るというか……」


 俺が明日奈のことをなんて呼んでいたのかは、憐矢と由愛は知っている。それは、仲がよくて、まだ幼かったから使えたわけで、今の歳頃になると流石に使えない。


「俺は、今まで通り呼ぶよ。その方が呼びやすいし」

「……そう?」

「そう。これからも一緒に楽しくやっていこうな、明日奈」

「私からもよろしくね、イッキ」


 今朝の一件はこれで解決した。でも、今はその一件とはまた違う出来事に一樹たちは呼ばれていた。


「後、狩亜ちゃんだけなんだけどなぁ……。まぁ、あの子は特別として、早いうちに自己紹介しておいて。それとこれ、ハンカチ」


 ミカエルが高級そうな机の中から、これまた高級そうなハンカチを取り出し、明日奈の方へと渡す。そして、その渡し方にも驚いた。ハンカチを空中に浮かせて、それを明日奈の方へと渡したのだ。


「天使ってなんでもできるじゃん……」

「なんでもできるわけじゃないわよ。私たちにもできないことだってあるんだから」


 一樹がそう言っている間に、ミカエルが渡したハンカチは明日奈のもとへと着いた。


「ありがとうございます、学園長」

「どういたしまして、明日奈ちゃんが涙を拭いているうちに由愛ちゃんは自己紹介してなさい。ほら、早く」


 そう言った直後に、由愛は一樹の膝の上で足を振りながら、可愛らしく目の前の先輩たちに自己紹介を始める。


「私の名前は、氷川由愛ひかわゆめって言うの。得意なことは、情報処理とかハッキングとか……とにかく機械系が得意なのよさ。あと、イッキのお嫁さんになるのが夢なのよ?」


 膝の上で話をしていた由愛が、顔を上げて俺の顔を見つめてくる。その上目遣いが、その可愛らしい顔をより一層可愛く見せる。


「イッキのお嫁さんって……」


 隣にいる憐矢も苦笑いしかできなかった。

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