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Life:06

 そこは長閑な村だった。

 普段の習慣から、朝靄も晴れる前から起き出したケイは、早速アインヴィレッジへと繰り出した。

 今日の朝食は村の食堂だ。

 ふんすっ。

 意気込んで漏れた息が音を立てる。

 ケイ自身は自覚は無かったが、現在のケイはかわいらしい女の子だ。

 外見上の事とはいえ、どんなに男っぽい仕草をしても、かわいく変換されてしまう。

 眉を吊り上げても「キリッ」と擬音がつく様な感じだし、こぶしを握り締めてもどこかしらほんわかした風になってしまう。

 観る者が見れば、ブレない体軸に滑るような歩法が唯者でない事を見てとれるが、パッと見の印象がそれを裏切る。

 それは食事に関してもそうだった。


「赤身1ポンドステーキにサラダに牛乳。あとヨーグルトも」


 昨夜と同じメニューだった。

 幸か不幸か、アインヴィレッジの食堂の店員はサポートAIでは無かった。

 朝も早い事から、普段の接客係ではないらしいコック服のおじさんが一瞬「えっ」とした表情になる。


「嬢ちゃん、朝からステーキかい?…まぁ、『ココ』じゃぁ食い過ぎなんてもんは無いが…」


 問われて鷹揚に頷くケイを怪訝な顔でみやりながら肉を焼き始める。

 たちまち立ち昇るニンニクの香り。システムのサポートがあるのか、現実リアルではありえないほど短時間で焼き上がる。付け合わせは残った脂で炒められたスライス玉ねぎだ。

 早速、ナイフを入れて食べていく。ただ千切っただけといった生野菜のサラダにはヨーグルトをつけていただく。少しいびつなキュウリがポキンと音を立てた。


「ごちそうさまでした」


 食膳に手を合わせる。

 良く噛んで、それでも20分かからずに平らげると、コック服のおじさんはニコニコ顔で見ていた。


「いい食いっぷりだな、嬢ちゃん」


 褒められたケイはドヤ顔だ。いかにも得意気だが、後香家では朝からステーキも珍しくはない。脳筋極まれりといったところか。

 もっとも、高蛋白摂取は男連中のみで、母や妹はその範疇に無かったが。


「ところで、嬢ちゃんみたいな娘が、『アインヴィレッジ』へ何用だい?NPC契約かい?」


 聞きなれない単語に聞き返すと、NPC契約とは村内の各施設の運営に関わる業務をPCが請け負う契約だという。

 この場合、PCとは入院患者に加えて退院後『TLO』にINしている者をいう。

 一部の特殊なNPCはサポートAIがその機能を発揮せねばならないが、店員や村の門番等はその括りからは外れている為、PCの参加が認められている。

 仕事の対価も給料として払い込まれる。

 リアルマネーで。

『TLO』内の支払いもリアルマネーだし、もちろん稼ぎを現実リアルへ持ち出す事も出来る。

 そして『TLO』内では入院患者は食住は無料だし、衣服は支給されている。入院着だが。

 特殊な買い物でない限り、支払は自動なので意識する事もない。入院患者からの支払いはシステムから店に自動で行われるし、それ以外のPCは大抵自動設定だ。

 売り上げが稼ぎに影響する職種もある。

 楽しみ方は冒険者だけではないという事だ。

 コックのおじさん-グラハムと名乗った-の説明に納得しつつも首を振る。


「いいえ、冒険しに来ました。目指せ、地上最強です!」


 ふんすっ。

 勢いよく立ちあがると、ぺこりとお辞儀して出口へと向かった。


 再び村内、そのメインストリート。

 西には療養所に続く林道が見える。

 南と東は平原。

 北はしばらく行くと森になり、その向こうに雄大な山並みが見渡せた。

 その鋭い山肌と、その手前に広がる鬱蒼とした、剣呑な森林がケイの琴線をくすぐった。

『あそこ』は何かありそうだ。危険を察知するセンサーが警報を上げる。

 ケイはその警報に従い、北門へと歩き出した。


短めですが、夜半にもう一回更新予定。

短くても更新多いのと、ある程度長めのと、どっちがいいですかね?

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