表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/4

第三話:突然に

いつものように待ち合わせをし、デートをし始めたジュンとユウ。しかし、デートも終盤というところでユウが苦しみだし・・・

ジュンは振り返り、ユウが倒れているのを確認すると

顔を真っ青にし、あわてて駆け寄り、彼女の体を抱きかかえた。


「おい、ユウ!ユウ!!!」


子犬のように震えるユウ・・・


「ごめんなさい・・・」


「え?」


胸を押さえ、激痛が体中を襲っていたが、

それでもユウは無理に笑顔を作って言った。


「モウ駄目みたい・・・」


覚悟はしていた。

あの日から、この日が来ることはわかっていた。

それが今日かもしれないと、いつも思いながら・・・

でも、でも何で今日なんだ・・・!


「まだ死ぬな!俺たちはまだやってないこといっぱいあるだろ?

二人っきりで旅行にも行ってないじゃないか!ディズニーランドにだって・・・」


死を否定するようにユウのけいれんする手を必死に止めた。

それしかできなかった。


「いいの・・・もう十分ダカラ」


もう時間がない。

瞳があの日と同じように生気を失っていく・・・

思わず涙を溢れさせながらジュンは言った。


「俺はユウが好きだ!愛してる!だから俺と・・・」


「私も涙ヲ流シタかったナア・・」


視界が黒くかすんでゆく・・・

ジュンの泣き顔が歪んでいく。

これが死か、と思いながらユウの意識は次第に薄れていった。

ふと雨の音がした。

にっこり笑ったジュンが自分に話しかけている。

一つ一つ温かい言葉が自分を癒すのがわかった。

気付けばあんなに澱んだ空は晴れ渡っていた。

これが「走馬灯」というやつか。

でも最期にコレが見られて良かった・・・


―ぷつん―


テレビの電源が切れるような音がユウが聞いた最後の音だった。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ