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第二話:終わりの始まり

二人が出会ったのは冷たい雨の降る日だった。傷だらけの少女と心優しき少年はどちらも孤独を抱えるもの同士だった・・・

公園の中央にある大きな木の下のベンチでユウは本を読んでいた。

夏の昼間で気温は高いが、木の下は不思議と心地よい。

セミの鳴き声に混じって息荒く、走ってくる音がする。

ユウは本にしおりを挟んで本をバックに入れると

ゆっくり顔をあげた。

同時にジュンがユウの前に到着した。

ぜぇぜぇ肩でをし、しばらくして息を整えてからジュンは言った。


「ごめん、ユウ!実は昨日課題が出てさ・・・」


ユウはジュンが今回の遅刻のいきさつを身振り手振りで語っている様子を

ただニコニコしながら聞いていた。


「・・・で遅れてしまったわけ。ほんとごめん!」


すっと立ち上がるとユウは答えた。


「ジュンが遅れるのはいつものことだからもう慣れたよ」


笑顔を少しも崩さず、ユウは言った。


「そんなことより今日はどこに行く?」


待ってましたと言わんばかりに、にやりとしてジュンは言った。


「じゃ〜ん!これな〜んだ!?」


ジュンはポケットからしわになった二枚のチケットを取り出した。


「え!これってもしかしてリバースファンタジーの先行試写会のチケット!?」


「ピーンポ〜ン!」


「どうやって手に入れたの?!」


「そりゃあもう、マメになるほど応募はがき書きましたがな」


「ご苦労様でした。」


深々と礼をするユウ。


「いえいえどういたしまして」


同様に礼をするジュン。

顔を上げた二人は目が合うと、思わず笑った。



映画が終わって外はもう夜になっていた。

それは映画について感想を言い合いながら家路に着く途中だった。


「やっぱりこういうSFの大作は映画館で見るに限るよな〜」


「そうだね」


ズキ・・・


胸を貫かれたような痛みに顔を歪めるユウ。

ジュンは少し前を歩いていて、ユウの変化に気付かない。


「しっかし、まさかあの将軍が黒幕だったなんて・・・意外だったな〜」


「あれは・・・思いつかないよね」


ズキ・・・


できるだけさとられない様に平静を装うユウ。


「しっかしヒロインの女の子はかわいかったな〜。それにさ」


耐え切れず倒れるユウ。

それはジュンにとって絶望しか運ばない音だった・・・



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