第一話:冷たい雨
初めまして、神楽雅斗です!これは二年前にあるコンテストに出した話を少し改訂したものです。このサイトで書く初作品でドキドキしてます・・・何でも良いので感想お待ちしてます!
雨が降っていた。
周りの景色が見えなくなるほど降りしきる中で
君はただ、うずくまっていた・・・
少女はまるで悪いことをして怒られ、縮こまった子供のように
三角座りで地面をぼーっと眺めていた。
一体何時間そこにいたのだろう。
服は落ち葉や泥で汚れ、胸の辺りまである髪は雨で体にぴったりくっついていた。
少年はそっと手に持った傘を少女の上に差し出すと
初めて少女は少年に気付き、視線を少年の足から目へと移した。
「風邪ひくよ?」
心配そうに話しかける少年を、少女は不思議そうに見つめた。
不審というより唖然に近い表情で少年を見た。
そのきれいな藍色の瞳は心をどこか遠くに置いてきたように生気が感じられなかった。
「俺んちすぐそこだからさ、この傘あげるよ。だから家、帰りな」
少女はそれを聞くとまた視線を下げて言った。
「・・・もう、帰るところなんて、ありません・・・」
「帰るところが…ない?」
ふと少年は少女の肌を見ると透き通るような白い肌に細かい傷跡があるのに気付いた。
一度にできた傷でないことは傷の古さの違いでわかった。
「家族は?」
「・・・いません」
それを聞くと少年はすっと少女の前にしゃがむとニコっと笑った。
「そっか〜、一緒だな」
少女は驚いて視線をあげた。
「俺も家族いないんだ〜」
そう言うと少年はおもむろに傘をたたみ、ふっと空を仰ぎ見た。
つられて少女もその方向を見た。
「悲しみも雨が洗い流してくれたらいいのにな・・・」
「・・・うん」
それがジュンとユウの出会いだった。