表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
<R15>15歳未満の方は移動してください。

Jastify

作者: 円日

あまり深い意味はないのでうっすら雰囲気だけ楽しんでください

―もしも手首を切って花が漏れ出すなら、みんなその行為を肯定するのだろうか―



 仁尾はカッターを手首に滑らせた。通過から一拍おいて紅の線が引かれる。


「ほおら、見てごらん」


 にやにや笑いながら仁尾は傷をつけた部位を隠すように手首を地面に向けた。僕は仁尾の握られた拳をただ見つめていた。 お互い何も話さず、沈黙が通りすぎる。

 花の香が舞った。目を瞬かせ、辺りを見回すが仁尾しかない。一面の野の花畑を連想させる香は仁尾から薫っていた。 仁尾の目を見る。にやり、口の端をさらにつり上げる。見ろよ、と目で自らの手首を指した。仁尾の手首辺りから薄紅の花弁が顔を覗かせていた。そしてゆっくりと震え、ゆるりと人体から離脱していく。 次々と花はこぼれた。薄紅、黄色、紫、丸に縦長、二三連繋がっているもの、白詰草のように細かい花弁は一つの塊で舞った。 こぼれる花々に目を奪われていると仁尾は腕をゆっくり回し始めた。大きく腕を伸ばし、上に左にめちゃくちゃに。 花は舞う、仁尾の周りをくるくると。どの花も大きさに関わらず一定の速度で落ちていく。


「なあ、きれいだろう?

これがさ、まちがってんの?」


 花は地面に落ちる前に溶けるように消えた。 旧約聖書に出てくる、マナが唐突に頭に浮かんだ。

溶けるように甘くて、お腹がほっと暖まるというパンのような食べ物。

…はたしてあれも甘いのだろうか。

いつのまにか花は止んでいた。薄い傷ではそう出血しなかったようだ。



―なぜリストカットはしてはならぬことなのか。

仁尾は僕に聞いた。僕はわからないと答えた。ただ、自らに傷をつけることは生物として正当ではないだろうと言った。


美しきものを正と為すならば、この行為も正しいのだろう。

ではリストカットが正当でないのも血が穢れたものだからなのか。


美しい花に目を奪われた。それはつまりリストカットという行為の肯定に他ならないのではないか?



「なあ、なんでダメなんだ?

きれいだっただろう?俺もそう思う。

ああ、きれいだ、それじゃあだめなのか?

間違ってるとかそういう物差しでなぜ測るんだ?

もう一度見たいなら見せてやる。キレイはタダシイだろ?」


仁尾はもう笑っていなかった。






意味分からない話を書いてすいません。

ただ、「もしも手首を切って花が漏れ出すなら、みんなその行為を肯定するのだろうか」という言葉をどこかで聞いて、それを題材に書きたくなりました。もしかしたらちゃんと前後を書いて長編っぽくするかもです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ