~影の正体~
俺の索敵スキルに反応があった。
俺とユウカの目の前に現れたのはツンツン頭で身長177㎝の男だ。
俺は、その男を知っている。
その男の名前は、アンドリュー。ギルドのマスターをやっている。彼のギルドの名前は、幻想火焔。最前線では、名前を知らないものはいない有名なギルドでもある。人数は、八名と少ないながら誰一人死亡していない。ギルドマスターでもあるアンドリューと俺は五十層で知り合った。この男のことはこれくらいの紹介が妥当であろう。
俺が、感じていた反応はもう一つあった。
アンドリューは、ユウカに気が付いて
「これは、雷鳴騎士団のユウカさんじゃないですか。こんなところでお目にかかれるとは、光栄です。」
ユウカはいつの間にか幻想火焔のメンバーに囲まれていた。
「実は、ヤマト君としばらくパートナーとして行動することになったの。」
(え、な、何言ってんの!しばらくって、今回だけじゃなかったのか!?)
「そうですか。」
「はぁ~、もういい行くぞユウカ。」
「あ、あのユウカさんヤマトの事宜しくお願いします。アイツああ見えて、結構良い奴なんでもし何かされたら、俺たちで斬り捨ててやりますので。」
「ちょっと、い、行くぞユウカ。」
俺たちは、そんなやり取りをしながらいると、俺の索敵スキルに反応があった。俺が先程感じた反応はこっちの反応だった。先程アンドリューたちがやって来た方から、およそ、30人余りの人数がやって来る。
集団の先頭の男が、
「よーし。一度休憩を取る。各自しっかりと休むように。」
そう言って集団は、その場に座り込む。男の一人がこちらに近付いてくる。
「初めまして、私はアルテミス解放軍のギルバート大尉だ。そちらは。」
「ヤマト、ソロだ。」
「ボス部屋までのフロアマップを渡してもらいたい。」
(解放軍がどうして、今まで攻略に来なかったのに何で今になって?)
「何だと、こっちはそこまでのマップデータを苦労して手に入れたんだぞ!」
「いや、構わない。元々街に戻ったら開示するつもりだったからな。」
「協力感謝する。」
「それより、あいつ等平気なのか?」
「我々の軍に貧弱な奴などいない。よしお前たち行くぞ!」
ギルバートがそう言うと解放軍のメンバーは立ち上がりギルバートの後についていく。
「ありゃ、相当の疲労だな。」
「ああ、あれじゃあ長くは持たないな…」
(一応、あいつ等の後をつけていくか。いざとなったら、助ければ良いだけだろうし、余りにも長引くようであればアレを使うしかないか)
「よし、俺たちも行こう。」
「ヤマト君、頑張ろうね。」
「あ、ああ。」
「仕方がないか、一応行ってみるか。行くぞ、お前等。」
俺たちは、解放軍の後を追って行くことにした。
この時の俺たちは、この先で待ち受けている現実に目を疑うことになるとは、思ってもいなかった……