第1話 ルルリリイエ ***
皇王ガリディアの二十二人の子は、いまや七人の皇児とルルエだけに。あとは皇王が生贄にしてしまわれた。その荒れた魂と、過去の繁栄だけを追い求める貴族たちが、自分たちのよいように国を動かしている。
その国をどのように変えていくのだろうか?
扉は開かれた。
ソシが先に入ると、影たちにつつまれて、皇女ルルエと公女リリエのふたりが部屋に入ってきた。
「どうぞ、こちらへ」
ソシが机の上に広げた布。そこには、地図があった。
ルルエとリリエが、机の周りについた。
「このルルリリイエと哭の森、その周囲に国々を書いたものです」
ルルエとリリエに向かって、ソシが示しながら、説明を始めた。
「ここがルルリリイエのある場所、周りに哭の森、影の足で北に七日間、南に十日間、西へ八日間、東へ九日間、広がっている。真ん中に哭の泉湖とがあります。北に皇王ガリディアの国。豊かな領地をもっています。第一皇子サプリディアの国と第二皇子インビディア、第三皇子イラア、第四皇子アセディアの国が、皇王を囲んでいます。第五皇子アバリティアと第六皇子グラア、第七皇子ルクザリアがルルリリイエのそれぞれ北西南にあります。また、皇国ガリディアの東の隅に私たちがいる。私たちのルルリリイエの後ろには狂気山脈があり、呪われた街の廃墟がある。これが、このガリディアの全体です。そして、ガリディアの外には、南に鳥人の王であるソゾームドム国、隣に沙漠の神である黄衣の王の国、北に水と海に囲まれた紫衣の王の国、隣に四足の甲殻人を束ねる黒衣の王の国がある。紫衣の国の先には大海が広がっている。鳥人の国の先には、風の大地が広がり、黒衣の国の先には地底が広がっている。黄衣の国の先には砂が広がっています」
ソシがつづけた。
「結論から申し上げますと、鳥人の国と和すること」
ソシが、ルルリリイエと鳥人の国を布のブリッジでつないだ。
「鳥人の国と仲良くなるのが、ルルリリイエを勝利に導く、第一歩になります」
ソシが、皇女ルルエを見ながら、隣の兄の国に人形を置き、ルルリリイエに向かって押し出す。
「目前の敵となっている兄たち、第五皇子アバリティアと第六皇子グラア、第七皇子ルクザリアは、私たちを狂気山脈に追い立てて潰そうとしています。皇王も後ろから追い立てています。守っているだけでは、潰されてしまいます」
布のブリッジを広げながら、鳥人の国とルルリリイエを扇で広げる。
「鳥人の国とルルリリイエの産物である哭朱酒などをもとに、行き来する商影たちを増やしていく。また、黄衣の王、紫衣の王、黒衣の王は、息子と娘の半分を殺した皇王ガリディアを嫌っています。大地の衰えに萎えてはいますが、各王の力は大きい。この国を正し、また豊かな交易を行うことを話していくようにお力をお借りすること。これが、第二歩です」
ソシの動かした布のブリッジが、皇国全体に広がり、ガリディアを覆い隠した。