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シュリンムスト・メテレーザー  作者: nao
第五章 新しいはじまり
58/106

紹介します2

果てさて反応は?

 外国に行く為に必要なものは何でしょう?

 この問いを投げかれられたのなら、真っ先に誰もがパスポートと答えることだろう。

 だが、彼の場合は少し違う。


「タバコ、自分の吸ってる銘柄がないと、困るだろ」

 ユヅルは迷うことなく、そう答える。


 そんなこんなで、ユヅルにヒサノ、レベッカの三人は、待ち合わせの場所に旅行用の着替えをつめたキャリーバッグだけを持って、待ち人が来るのを待っていた。


「うう、緊張します」

「そうか? もしかして、外国に行くの初めてか?」

 緊張しているヒサノに対し、見当違いな声を投げかけるユヅル。彼女にしてみれば、付き合い始めた彼氏の親、そんな人物に会いに行くのだから、緊張しても無理はない。しかも、言語圏が違うので、挨拶がまともにできるかも怪しい。それで、彼女はこの日が訪れるまでの二日間で、申し訳程度の外国語を勉強していた。


「うう、おなか痛くなってきました」

「いや、なんでお前まで緊張してるのか、俺にはわからんぞ?」

 そして、別の意味で緊張しているレベッカ。彼女は彼女で別の意味で緊張していた。それというのも、先日、彼から相棒として正式に認めてもらったわけで、これからの仕事は、当然のようにユヅルと組むことが多くなるはず。しかし、彼女は執行官として新米であり、他の執行官と面識もほとんどない。だからこそ、他の執行官に、彼の相棒として認めてもらえるかどうか、心配でしょうがないのである。


「そうこういってるうちに着たぞ」

 彼が指差してから少し経って、輸送用のヘリがその場に着地してくる。

 そして、中から現れたのは、レベッカも少なからず面識のある執行官、エカテリーナ・フォルダン秘書官。


「少し遅れてしまいまして、申し訳ありません」

「ああ、別にそこまで時間、気にしてないから。それよりも、英語じゃなくて、日本語で頼む」

 エカテリーナは、彼の言葉を疑問に思い、そして、そこでようやくヒサノの存在に気づき、


「はじめまして、二人の保護者をさせてもらっています。エカテリーナ・フォルダンです」

「えっと、春日野ヒサノです」

 日本語での挨拶を受け、緊張しながらも自己紹介を済ませるヒサノ。


「それで、失礼ですが、彼らとの関係は?」

「えっと、聞いてないんですか?」

「はい」

―ううっ、ゆ~君の意地悪―


 エカテリーナからの問いを受け、事前に説明してもらえていると思っていたヒサノは、どう答えていいものか、悩んでしまうが、

「俺の女だ。説明はそれ以上必要か?」

 ユヅルに断言され、気持ちが楽になった彼女は、手招きに答えるように荷物を持って、彼と共にヘリへと乗り込んでしまう。


「そうですか、彼女ですか」

「ええ、先輩の彼女です」

 エカテリーナの確認するつぶやきに、相槌を打ってヘリに乗り込むレベッカ。だが、


「彼女? えっ、彼女って、あの彼女ですか?」

 信じられないといった具合に、エカテリーナは自問自答を開始してしまう。


「そこまで驚くことか?」

 ヘリに乗り込み、目の前の席で頭を抱え込んでしまっているエカテリーナ。そんな彼女を見るに見かねて、ユヅルは問いかける。


「だって、ハイドマン執行官ですよ? 単独破壊者にして、異端審問局一の問題児、エトセトラ。数え切れないぐらい悪名が轟くあなたに彼女? 多分、誰一人としてあなたの言葉を信用しませんよ、普通」

「酷い言われようだ」

 流石のユヅルもため息をつき、タバコを懐から取り出したものの、何を思ったのか、そのまま吸うことなく元の位置へと戻す。


「どうかしましたか?」

「いや、流石に密室でタバコを吸うのはどうかと思って」

「嘘でしょ、嘘って言ってくださいよ。そんな、一般人みたいなセリフをあなたの口から聞くなんて。私はきっと夢を見ているんでしょうね」

「現実を直視しろ。ついでに、いい加減にしないと、暴力に訴えるぞ」


 苛立ち混じりに答えるユヅルだが、コレは他の二人にとっても意外なこと。そう、ユヅル=タバコ。ヘビースモーカーにしてチェインスモーカーのイメージが二人にも定着してしまっている。


「でも、先輩、どうしたんですか?」

「あん? だって、密室だろ。お前やエカテリーナだけならともかく、今はヒサノも乗ってるんだ。流石に考えるだろ、普通」

「ゆ~君」

「すみません、空調下げてもらっていいですか?」

 二人の掛け合いに、付き合いきれないといった具合に注文を口にするレベッカ。


「コレは、喜ぶべきなのですよね、きっと」

 そんななか、一人自問自答をし続けるエカテリーナだった。

まぁ、彼の行動と人となりを考えれば当然の反応です

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