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シュリンムスト・メテレーザー  作者: nao
第四章 Let`s Party
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Live Lady2 告白

サブタイトルにサブタイトルをつける私

大盛況のうち、ライブもいよいよ最後の一曲を残すのみ。

 そんな時、ふいにユヅルがマイクを取った。この曲の前にMCは予定されていなかったはずなのに。


「ここで、一世一代の本音をぶちまけてみようと思う。つまり、告白って奴だ」


 その言葉を聴いて、会場はさらにヒートアップ。もっとも、そのことを予想すらしていなかったステージ上の三人は、一瞬呆れた後、微笑と共に肩をすくめた。


「まずは、神宮寺カナミ」

「はい」


 名前を呼ばれたカナミに対して、スポットライトが当たり、彼に好意を寄せる他の三人は気が気でない。


「俺、家をでようと思う。お前にいっぱい迷惑かけたし、悪いって気持ちもあるけど。それだけじゃなくって、このままあの家にいたら、俺自身、お前に甘えてしまいそうだから」


 それは、はっきりとした意思表示であると共に、決別を意味する言葉。


「次に、雨竜カズキ」

「うん」


 名前を呼ばれたカズキは、自分に訪れる結果を受けれることを決心し、


「調べてもらったんだけど、俺とお前は生き別れのきょうだいらしい。まぁ、これからも、いっぱい迷惑かけるだろうから、そのときはよろしく頼むよ、姉さん」

「ふふっ、手のかかる弟だ」


 涙を受け入れるように笑みを浮かべる。


「次、レベッカ・サウザード」

「はい」


 名前を呼ばれ、スポットライトにさらされたレベッカは次の言葉に期待する。


「正直、お前とは付き合い短いし、最初は喧嘩もした。だけど、今は違う。お前の努力を俺は知ってる。だから、背中を預ける」

「わかりました」


 それは、失望と希望が入り混じった返答。認めてもらえたことと、手に入れられなかったことが、同時に押し寄せてくる。


「最後に、春日野ヒサノ」

「うんっ」


 彼は、誰も選ぶことなどないかもしれない。そんな、絶望めいた後ろ暗い考えが頭を埋めていく中、彼女はユヅルの言葉を待つ。


「お前との出会いは、正直最悪だったの、覚えてるか?」

「うん、私が絡まれてるとき、ゆ~君が助けてくれた」

「あれ、不可抗力だったって言ったら、どうおもう?」

「それでも、助けてくれたのは、変わらないよ」

「そっか」


 そこで一度彼は言葉を区切り、

「なんて言えばいいんだろうな。こんなこと一度も口にしたことないから、どういえば良いのか、よくわかんなくって」


 そう口にして、彼はギターの弦を軽く弾く。

「だから、言葉よりも、行動で。俺の考えや思いを届けようと思う。この曲が終わったら、お前の答えを聞かせてくれ。顔も知らない誰かの為でなく、たった一人の愛しい人の為に捧げる歌。どうか、聞いてください、『Summer snow』」

 そして、演奏が開始される。


 『Summer snow』 作詞作曲 ユヅル


 カーステレオから流れてくる ビートルズに耳を傾け

 隣にいる君へむかう視線 無理やり引き剥がしてアクセル

 このままでいいわけないから 行動で気持ちを示すのさ

 一世一代のギャンブル このときだけは神頼みで


 行き先を告げず走ってる それなのに君は隣にいて

 僕のそばにいてくれる それはちょっとした自惚れかな?

 言葉はもう準備ができてる 後一歩で踏み出せるはず

 それなのに口が動かない タバコの煙は吐き出せてるのに


 お願いだよ このときだけ

 世界の音 僕のために消えて


※Yellow Submarine飛び乗って 夏の雪を見に行こう

 ドラマティックな告白は 僕の柄じゃないけれど

 好きだって言う気持ちが 溢れ出してとまりゃしない

 零れ落ちそうな気持ちさえ 君に届けたいのさ


 いつもとなりにいることが いつも笑い合えることが

 当然だと思っていた 若さゆえの過ちで

 答えを聞くのが怖くて 耳を塞いでしまいたい

 それでも答えが知りたくて この手は動いてくれない


 お願いだよ せめて今だけ

 その言葉を 僕にだけ届けて


 世界中の誰より早く 次の朝を迎えたい

 何気ない日々が突然 刻み込みたい記念日さ

 右手にはサプライズ 左手には君がいて

 ロマンティックなシチュエーション 君に溺れていたい


 誰に何を言われてもいい 笑われてもかまわない

 この言葉が君に届くのなら

 

 この気持ちならきっと 誰にだって負けやしない

 君の親、兄弟、そうさ 誰でも勝って見せるよ

 つながっていたいんだ 君じゃなきゃ嫌なんだ

 世界中探し回った Only Oneは君以外いない


 ※繰り返し 


 ギターの音が止み、歓声が巻き上がる中、ユヅルは再びマイクを取る。

「悪い、さっきのは、なしで」


 その言葉を聴いた瞬間、巻き起こるブーイング。それすら受け止めながら、


「ヒサノ、俺は、お前が好きだ。お前が、俺が帰る場所にいて欲しい。だから、お前の答えを聞くのは止めた」

 そして、その瞬間、黄色い歓声があがり、

「お前が嫌だって言っても、勝手に連れてくことにするわ」

「そんなの、ついて行くに決まってるじゃないですか」


 ヒサノの答えを、彼は受け止め、

「そんじゃ、景気づけに、もう一曲行ってみようか。『Search The Way』」

 再びギターとマイクを手に取り、ステージを盛り上げるのだった。


なんだろう、この達成感


そして、何気に歌詞を書いたの初めてだったり

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