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シュリンムスト・メテレーザー  作者: nao
第二章 日常というもの
28/106

水着×mizugi4

今回は短め。


つなぎの部分に近いかも

「お前ら、本当にこれに出るのか?」

「勿論だよ」

「はい」

 異口同音に答えられ、それ以上ユヅルは何もいえなくなってしまう。なぜか、開催されているビーチバレー大会。これに二人とも突然参加するというのだから。

「まぁ、がんばってくれ」

 そして、このビーチバレー大会が終わるまで、どうやって時間をつぶそうか考え始めるユヅルだった。


 ビーチバレー大会。

 大会と銘打たれているだけあって、参加者にはプロも名を連ねている。そんな中、優勝しようというのだから、彼女たちのやる気は相当なものなのだろう。

「それにしても、これ」

 そう、彼が今見ているのは組み合わせ表。先ほどエントリーしたヒサノとカズキペアの初戦の対戦相手は、カナミとレベッカペア。

「あいつら、やっぱり着てやがったのか」

 ため息をつきながら、どっちが勝ってもろくなことにはならない。そう考えているユヅルの前に、まるで、海を割るように男性陣を二つに分けながら、大会のコートに向かう女性二人組が。

「なんで、この場所に、このタイミングで」

―今日は、厄日か?―

 ユヅルの視線の先にいる、女性二人組み。それに彼は見覚えがあった。っと、言うよりも完全に知り合いである。

 ブロンドの髪を風になびかせ、青のビキニを着たグラマラスな女性、そして、同じブロンドの髪に、ピンク色の、これまたビキニを着たスレンダーな女性。

 この二人に見つからないように、移動しようとしたユヅルだが、残念ながら、神様はサディスト。

「そこにいるのは、ダーリンね?」

「姉様、訂正してください。あの人は、私の旦那様です」

―どっちも違う―

 即座に否定したかったユヅルだが、その場の男性陣の殺意と嫉妬が入り混じった視線を一身に受け、ため息をつくだけ。

「イジーにマリー、文化祭は二週間後だ」

 そう、この二人が、彼が文化祭に招待した人物。イジーことイスカリオテと、マリーことマリーシャの双子。共に異端殲滅執行官であり、『軍神』と『戦乙女』の称号をもつ、異例尽くめの二人。ただ、彼の言葉を借りるなら、招待したのは、二週間後の文化祭であり、この時期にこの国にいるはずがない人物でもある。

「ええ、ちょっと急用があってね」

「なら、こんな場所で遊んでる余裕なんてないだろ」

 タバコに火をつけながら、ため息を一つつくユヅル。だが、その時、自分がどうしようもないほど油断していたことに気づく。先ほど、そう、一瞬前までいたはずのマリーの姿が、彼の視界から消えている。

―まさか、嘘だろ?―

 執行官は、執行官同士での戦闘を基本的には、禁止されている。これは、ユヅルという特例の『席次の十三』以外、すべての執行官が守らされているルール。だからこそ、彼は油断していたのかもしれない。戦闘とは、何も武器を用いて命を奪い合うことだけを呼ぶ言葉ではないことに。

 少し遅れて、彼の首に小さな痛みが走り、瞳だけ動かして確認。ユヅルの首には小さな注射器の針が刺さっており、それをマリーが持っている。

「すみません、旦那様、『アンブレラ』からの緊急要請です。お許しください」

 落ちていく意識の中、ユヅルは嫌な言葉を聞いた。そして、

―あいつらに、どう言い訳したものか―

 場違いなことを考えていた。

果たして、

彼は文化祭までに戻ってくることができるのか?

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