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裸体ノート

府川は何も悪くない。


ただ府川と言う存在がなんとなくうざかった。


だから体育が終わった後、あいつの筆箱とか、ノートとかをどっかに捨ててやろうと思った。


誰かに見られたって構わない。


篠原は学年の中でも屈指に入るほどの悪だった。


誰かになんか言われたらガンでもなんでもくれてやればいい。


授業が終わり早速篠原は府川の机に置いてあった筆箱を掴み取った。


「あれ?唯子何してんの?」


白石香奈しらいしかなが体育館シューズをぶらぶらしながら言ってきた。


「府川の筆箱をね…捨ててやろうかと。」


「え?」


「なに?」


「いや、やめといたほうがいいんじゃね?まだ同じクラスになってから全然経ってねーだろ。」


「知るか、うぜぇんだよこいつ。」


篠原は手に取った府川の筆箱を窓から落とした。


「うっわ、マジかよ。」


白石がわざと驚いた様子を見せた。


篠原の行為を見ていた他の女子たちは篠原と目を合わせないように見て見ぬふりをしていた。


「いいか、この事誰かに言ったらぶっ殺すからな。」


篠原はぐるりと教室を見渡し、1人1人睨んで言った。


その次に篠原は府川の机を漁った。


教科書はもちろんノートも数冊ある。


律儀にノートには教科名と名前とクラス、出席番号が書いてあった。


その中に一冊だけ表紙に何も書いてないノートがあった。


篠原はそれをなんとなくめくった。


適当に開いたページには絵が書いてあった。


裸の、女の人である。


裸の女の人がいろいろなポーズを取っている。


さらにペラペラめくるとさらにたくさんのポーズが描かれている。


中には、わかりやすく言えばエロイポーズの絵もたくさんあった。



「うっわ…。きっしょ…。ちょっとこれ見てよー。」


篠原が白石に向かって言った。


「なになに?…うわぁ…。」


いくつもの裸体が描かれているノートを見て顔をひきつらせる白石。


「ちょっとこれやばくない?」


「やばい。」


しかし、篠原にとってはこれが府川にとっての弱点だと感じた。


男子が戻ってくるまでもう時間はないので篠原はそのノートをひとまず自分の机の中にしまった。



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