暇なんだよ
「なんかさぁー、あたしの前の席の奴むかつくんだけどー。」
篠原は夜のコンビニの駐車場に友達とたむろしていた。
「前の席ってだれだっけ?」
「名前知らねぇ、メガネかけてるやつ。」
友達4人の内の1人が彼の名前を知っていた。
「府川でしょ、府川優大。」
「府川か、府川うぜ!」
「確か府川ってさぁ、キモオタだよ~。」
キモオタと言う言葉に篠原が一瞬「えっ」と言う顔になった。
でもその表情は友達に悟られる事はなかった。
次の日、物理の時間である。
篠原は寝ていた。
府川からプリントが回されてきたのだが篠原は気がつかなかった。
後ろに持っていった右手からなかなかプリントが受け取られないと思った府川は後ろを振り返った。
篠原が寝ている。
府川は激しく頭をはたきたいと言う衝動にかられた。
まぁ、別にかまわないだろ、気がつかないこいつが悪いんだし。
だから府川は篠原の頭を軽く手ではたいた。
しかし篠原は起きなかったので、もう2、3度はたいた。
そしたら篠原が超不機嫌な顔を上げた。
「なにすんだよ。」
「起きないお前が悪いんだ。」
「あぁ?」
篠原はプリントに気がつくとそのプリントを府川の前でわざとくしゃくしゃに握りつぶし府川の顔面に投げつけた。
「なんだお前。」
「…うぜぇんだよお前、死ねよ。」
「はぁ?」
そう言うと篠原は再び寝に入った。
俺が一体何をしたんだと言うんだ、まさか頭はたかれたことがそんなに嫌だったのか?
篠原に取って退屈な時間が過ぎて行った。
友達とは席が離れているし、そもそも授業自体全く受ける気がない。
ふと目が覚めたのでぼんやり黒板を眺めてしまった。
府川も他の奴らもせっせと板書している。
友達も板書していた。
何もやることがないのでクソメガネ府川の椅子の底をまた蹴りあげてみた。
昨日と同じように府川がこちらを振り向いた。
「だから何だお前。」
「別に、暇。」
「勉強しろ勉強。」
そう言って府川は姿勢をただした。
キモオタという篠原が最も毛嫌う人種に命令された、うざい。
もう一度椅子の底を蹴りあげた。
「しつこい。」
「死ね。」
「…おまえさぁ。」
その後府川は何も言わず溜息をついただけだった。