表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/54

花嫁選び④

「今日は疲れただろう。君の部屋ももう用意してある。そこで休みなよ」

『ありがとう』


 烏丸一族の屋敷は百済の屋敷よりもとても広く大きかった。

他の妖の侵入を防ぐために敷地に強力な結界が張られている。

 その結界に兄ちゃんの気配がするもので私は大層驚いた。


(鬼天狗のこと、私は知った気でいただけなんだな)


知らない一面がたくさんあることに付き合いが長いと言うのに気がついた。

 屋敷に通されると、兄ちゃん直々に自室に案内された。

恐る恐る入る。

いつだかに牢屋に監禁されていた記憶が思い起こさせる。

 首を軽く振ってそのことを忘れようとする。与えられた自室の中はシンプルな作りとなっており洋風だった。

屋敷全体は和風の造りだ。

ということはつまり、私のためにわざわざ作った部屋だということである。

そのことに気がついて嬉しくなった。


『洋風の方が好きなの覚えててくれてたんだ』

「もちろん、好きな子の事だからね。覚えてて当然さ」


恥ずかしいセリフをなんてことのないように言う兄ちゃん。

今までの態度と明らかに違うのは鈍感な私でも分かったので恥ずかしくなった。


『和風も悪くないと思うんだけどね。お城とか写真で見たらなんだか憧れちゃって』

「雫らしいよね」


(私らしいってなんだろう)


愛されてこなかった私にはその言葉の意味が分からなかった。


「休んでもらう前にこれからのことを話そうと思う」


ダブルベットの上に2人で座る。

シングルでも充分ではと思ったが、何か考えがあるのだろうと気にしないことにした。


「まずお披露目をしなくちゃならない。僕は鬼天狗。妖の主人だ。雫が僕の花嫁になるということをきちんと示しておく必要がある」

『うん』

「それは妖たちにも都合があるから話し合ってから決める。時間がかかるかもしれない。でも近々だとは一応思っておいて」

『分かった』

「それから陰陽寮に勤めていたい?」

『それは…』

「分かった。まだ考えていて良いよ。次の話に行こう」

『ありがとう』

「明日、烏丸一族全体にお披露目する。それはきちんと覚悟しておいて」

『分かった。頑張る』

「いや、気を楽にして臨んで。別に何も脅かすものはないから。話すべきことは以上。質問は?」

『特にないかな』


少し首を傾げながら考えてみたが特に質問すべきことは浮かばない。

大体、私は陰陽師の1人だ。

言っている意味はほとんど理解することができた。


「じゃあ、今日は僕はこれで失礼するよ。部屋でゆっくり休んで。夜ふかしはダメだからね?乙女の天敵だよ?」

『いや、女子かよ!』

「ううん。君の未来の旦那さん」


 サラッと言われる。

 顔が熱くなるのが分かった。

思わずベットの布団を見つめる形で俯く。


「こんなもんじゃないからね。じゃあ、また明日」


 これ以上何をしようと言うのだろうか。

これから先のことを考えると不安と緊張が混じり合った。

 ダブルベットに身体を預ける。

高いベットに違いないと考えた。全く変な音がしないからだ。

 フワフワとした感覚にすぐ眠ってしまいたくなったが風呂がまだったのを思い出す。

ゆっくりと起き上がり、風呂に入る準備をすることした。

クローゼットを開いてみると女物の服が沢山仕舞われていた。


この日の為に用意してくれたのだろうか。


嬉しさよりも戸惑いが先に来てしまった。

 ゴソゴソと服を探していると、寝巻きを見つけることができた。

必要なものを持って自室を出る。


(今日からここが私の部屋かぁ…夢なんじゃない?)


そんなことを思いながら廊下を歩いた。


 翌日。


「おはよう、雫。」

『おはよう、兄ちゃん』


起きてみたらベットに寝ていて、夢じゃなかった。

 このやりとりも当たり前になるのだろうか。

 もし、そうなら嬉しい。

私は今この瞬間の幸せを噛み締めていた。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ