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姉の策略②

翌日。

 今日は学校と陰陽寮の両方が珍しく休みの日だった。

私は屋敷の縁側でのんびりと日向ぼっこをしていた。

百済の屋敷ではこんな穏やかに住むことはできなかった。

 好きなことをしていいという兄ちゃんの言葉に甘えている。


「雫。ちょっと良いかな」

『んー?何?兄ちゃん』

「君に電話きてる」

『はい?私に?』

「うん。確か、志穂って子だっけ。あの子から。」


烏丸の電話番号なんて伝えただろうか。

確か伝えていなかったと思うけど、と思いながら受話器を受け取った。


『もしもし、雫だけど』

「あ、雫?急にごめんね。どうしても連絡したくて陰陽寮の人に連絡先聞いたの」

『何か困ったことでもあった?スマホに連絡じゃなくてこっちに連絡するなんて』

「困ったことはないよ。今日は雫も仕事が休みだって聞いたからさ、是非烏丸のお屋敷にお邪魔したいなって思ったの!だからこっちの電話番号にさせてもらったんだ。…だめかな。しばらく遊んでなかったじゃない、私たち」

『んー。ちょっと待って。家主に聞くから。すぐ終わるからこのままにするよ』

「聞こえてた。別にいいよ」

『良いらしいよー。こっちまで来れる?来れそうにないなら私が行くけど』

「大丈夫!行けるよ!ありがとうね。じゃあ、後で会おう!」


信用回復をしようと必死なのだろうか。

 そんなの普段の行動から示せば良いことなのに。

そう思いながら親友の到着をぼんやりお日様を見ながら私は待った。


「雫さ、僕に言ってないことあるよね?」

『何が?』

「君、いじめられていたんだろう。志穂って子たちに。僕からもお灸を据える為にも許可したわけだけど」

『さては式神を忍ばせてたな、兄ちゃん』

「ストーカーみたいに言わないでよ。護衛だよ護衛」


私にとっていじめなんてものはなんてことのないものだった。

 だから兄ちゃんに学校であったことを話すのを忘れるくらいだったのだ。

そんな忘れっぽい私に兄ちゃんは不満気な顔をした。


「未来のお嫁さんがいじめられてたらこういう反応になるのは当たり前でしょ?」

『あんなの慣れっこだし、脅したらなんてこともなかったよ。見てたんなら分かってるでしょ?』

「…君のその強さがたまに怖くなるよ。まるでガラスみたいだ」

『残念なことにガラスより私は頑丈だよ』


そんな会話を1時間ほどしていると、使用人の方が私たちの元へ来た。

 どうやら志穂が到着したらしい。

烏丸一族の屋敷は森の奥にある。

 侵入者防止の為に特殊な結界を張っているのが特徴だ。


「ご当主様。坂田志穂様という方がいらっしゃっています」

「通していい。ここまで案内しろ」

「畏まりました。」


恭しく使用人の方が兄ちゃんにそう返事した。



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