始まりの痛み
朝、目覚まし時計の音で目覚める。
起きて着替えて歯磨きして、ご飯を作りに行く。
何のことはない、私のいつもの生活。
ご飯を作って、食卓に並べる。
...兄さん、降りてこないな。いつもならこの時間には起きてるのに。
私は兄さんを起こしに行く事にした。
久しぶりだな、兄さんを起こすの...
そう思いながら、部屋をノックする。
「...兄さん?」
返事が無い。それどころか、物音すらしない。
突然思い出した。昨日の話の言葉、異世界。
何かを感じ、私は強くドアを開けた。
兄さんは、いなかった。
ベッドには、紙と寝間着しか無かった。
紙はよく見ると、文字が円状に集まり、魔法陣のような物を描き出している。
「兄、さん...?」
だれもいない。どこを見てもいない。紙は触ってみてもなにもない。
「...」
まだ、まだ違う可能性がある。
そうだ、先に学校に行ったんだ。よく見たら制服もない。カバンも無い。
そうだよ。そうだ。
疑念を振り払うように、自分を無理やり納得させ、私は学校に向かう事にした。
........
寒い。毛布を手繰り寄せようとする。無い...無い!?
起きる、地面を感じる。それも、土だ。
まさか...異世界!?
空は晴れている。見通しが良い。ここは平原だろうか。
起きることにして、自分の服装に気付く。
「制服?」
確かに寝る前に寝間着に着替えたはず...
わけわからないことが続く中、近くに自分のカバンを発見した。
「中身は...昨日と、変わってない?」
中身を確認したが、昨日と変わってない。変わってないのだ。ノートも、破った形跡が無かった。
不思議に思いながらも、アテも無いので歩くことにした。
ちなみに、頬はもうつねってある。
少し歩くと、村が見えてきた。
まるで、原始人のような藁の家などがある。
とりあえず、近づいてみることに...
「痛っっっ!!??」
右足に急激な痛み。制服と足を貫通するモノ。
矢.....!?
どこから...!?
方向を確認しようと見回す。
「ぉ....あっ...」
脇腹に矢が突き刺さる。血が滲む。
一瞬の事だった。脇腹を抑えて倒れこむ。
「------------」
何かがしゃべりながら近づいてくる。
人だった。村の人...か?
それは、子供だった。褐色肌で、赤い謎の紋様がついていた。まるで原始人に、謎の紋様を取り入れたような...
「------------」
何言ってるのか分からない。脇腹が痛い。
...ああ、僕、これ。
死ぬんだ。
全身が痛い。無理だ、ここで死ぬんだ。悟っちゃった。
声も出ない。でたところで通じない。
涙は出る。...僕が死んだら、凛花が一人に。
あの日、断っておけば、良かったな...
痛みが全身に来る。毒でも塗ってあったんじゃないかこの矢。
「くそぉ...」
絞りだした言葉を紡ぐ。意味がない。もう。ぼく、は。
こ、ども。に。魔法、もみれ、ずに。
......
そして、僕は痛みの中で命を落とした。
高松志奈は、死んだ。