第四話『光焔の御子』
俺は初めて魔術を使い戦闘を行い勝利した。
「そこで何をしているんだ」
俺らの戦闘を見ていたのだろうか。
優しい声色とは裏腹に、一切、手加減をしてくれそうな威圧感。
そして、聞く者にただ圧倒的な存在感だけを叩きつけ、従わせる。
「騎士殿、私たちは倒れている盗賊に襲われ身の危険を感じ抵抗をしていたところです」
「僕たちは何もしていないですよ騎士様」
ここは下手に嘘をつくと本当に切られそうだ。
勇者様のいるギルドに着く前に死ぬなんて嫌だからね。
「確かに、君たちは嘘ついていなそうだね。威圧感を与えてしまい申し訳ない。
実は、ここ最近、村人が盗賊に襲われているって情報が耳に入ってね、見回りしてたんだ」
「そうだったんですね、お疲れ様です」
「この盗賊たちは君たちがやったのかい」
「そうです!先ほど、襲われていて反撃をした次第です」
「そうだったんだね、僕の仕事を代わりにしてくれたありがとう。村人もこれで安心できるだろうし、君たちには感謝しても仕切れないよ」
「あ!?てか、あなたもしかして<光焔の御子>アーサー」
「これはこれは、エレノア様 じゃないですか」
え!?この<光焔の御子>アーサーとエレノアって知り合いなの?
どういう関係性だ?いまいち読めない展開だ。
「エレノア、この<光焔の御子>アーサーさんとはどういう関係性なの?」
「クロノ、アーサーでいいよ!君は僕たちの村人を盗賊から救ってくれた英雄だ」
「一気に距離近くなったな...いや、俺は1週間意識を失っている間に救って貰った恩を返しているだけだ。それより<光焔の御子>って呼ばれていた気がするけど」
「僕にはそんな代名詞はプレッシャーでしかないんだけど、家柄が特殊でね。光と焔の魔術を使う王国の騎士なんだよ」
「光と焔の両方使えるってチート過ぎないですか?もしかして、アーサー...実は異世界転生者だったりして出なければそのチートスキルの説明が付かないし」
「あはは、クロノは面白いこと言うね!そういえば、君の見た目...なんかここの人にしては珍しいけど、どこから来たんだい?」
「アーサー、この人は1週間前くらいに私が旅の最中に意識を失っていて、ここがどこかも分からないらしいの」
「そうだったんですね!そういえば、勇者がいる村まで行ってギルドに向かう最中に盗賊に襲われたって言ってたね!もしよければ何だけど、僕は空間転移の魔法も使える、僕の知っている目的地ならすぐに移動できる」
「アーサー、どんだけ万能なんだよ。その好意はありがたいんだが...その前にアーサーとエレノアの関係性を教えてくれ!気になって寝れなくなっちまう」
「クロノ、僕とエレノアの関係性はね...」
「アーサーだめ!クロノ、私とアーサーの関係性はまた後日話すから目的地まで空間転移してもらいましょ!このまま4時間以上歩いて、また盗賊に襲われても嫌だし」
エレノアは何故、アーサーとの関係性を隠したがるんだ?王国の騎士って言ってたよな。
もしかして、王族の血筋?いや、そんなわけないか。
俺たちはアーサーの空間転移魔法で一瞬で勇者のいる村まで移動した。
「クロノ、今回の盗賊討伐は本当に感謝している。盗賊は村人の脅威、治安を脅かす不安の対象でしかないんだよ。何かお礼をさせて欲しい」
「いやいや、当然のことしたまでだよ。てか、あそこでやらなければ俺たちも命危なかったと思うし」
「実は遠くからクロノ達が戦っているのを見ててね、本当に危なかったら助太刀する予定だったんだけどグランデさんとクロノが盗賊を討伐したから出る幕がなくてね」
「遠慮しなくても参戦していただいてよかったんですよ?」
「お礼と言っては何だけど、君にこのルーンを渡したい。このルーンは魔力を込めて僕を呼び出す気持ちが僕の魂とシンクロし一度だけどこにいても召喚できる。クロノは僕や村人の恩人だから常に一緒に行動してあげたいけど、仕事ややらないといけないことがあってね」
「いや、いいよ!てか、防犯ブザーみたいな形してんだな」
「防犯ぶ...ざー?は何かは知らないけど命の危機やピンチを感じた時、絶対絶命の時に魔力をこのルーンに注ぐんだ。後、この村の勇者は僕の弟子でね顔はよく知っているからクロノをギルドに入れたら絶対に役に立つって伝えておくよ」
「ありがとう、アーサー。いや友よ!次会った時は一緒に酒を飲もう」
「そうだね、クロノ。エミリア様、グランデ殿、僕はこれで」
アーサーとお別れし勇者のいるギルドへ向かう。
アーサーの推薦もあるし何とかなるか。
俺は気合を入れた。
もう逃げたりは決してしない。
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