激熱演出からの脳汁が止まらない
大きな騒音の中今日もまたここに金を垂れ流している。
俺は宮城 大輔 35歳職業ギャンブラー(フリーター)の底辺人間だ。
日払いのバイトをやっては給料をギャンブルに全ツッパ。
土木現場で稼いだ日当1万円はパチンコの玉と共に消えてしまった。
今日も残金0円の財布を握りしめ家へと帰る。
電気もガスも止まった部屋で煙草に火をつけながら明日の日雇いを探す。
しかし気づくとあたり一面真っ白な世界。
何が何やらわからないまま周りを見渡すと仙人のような見た目の爺さんが立っていた。
「また地球の神がろくでなしを送ってきおった」
そういうと爺さんは汚いような目でこちらをにらみつける。
「お前は地球では死んだ。よってこれからわしの管理する異世界へ転移してもらう」
何が何やら混乱していると爺さんは
「好きなスキル1つ早く選んでしまえ。説明するのも面倒くさいわ!」と苛立っている。
流石に言い返そうと思ったが面白そうだと思いスキル一覧を確認しながら尋ねる。
「俺は異世界で何をすればいいんだ?」
「ここに来るようなろくでなしには何も期待しとらん。好きに生きろ!お前の前に来たやつも、その前のやつもこちらの頼みも聞かず好き勝手やりおって。地球の神は自分の世界に必要ない人間ばかり送ってきおる」
爺さんは呆れたように答えてくれたが確かに俺も自由ならそれでいいと思ったしそれ以上何も聞かなかった。
そしてスキル一覧の中に興味を引くものを発見し停止した。
スキル名”ランダム”
根っからのギャンブル好きにはたまらない言葉である。
「爺さんも大変だな。スキル決まったから爺さんにも悪いから早く進めてくれ」
「ほい、じゃあの」別れの言葉もなしに爺さんは俺の意識を飛ばした。
目が覚めると辺りは真っ暗で何も見えない
(あの爺さんどこにとばしたんだ?)
自分の手すらも見えない中手探りでとりあえず前に進んでみる。
するといきなり“ガシャン“という音とともに腕に違和感が…
とりあえず痛みとかは無いので先を急ぐとうっすらと明かりが見えてきた。
明かりのほうへ進むと中央に噴水のある大きな部屋に辿り着いた。
幸いにも薄っすらではあるが明かりが点いていたので現状を確認する。
お待ちかねのステータスチェックの時間だ。
スキルをランダムにしたから何のスキルかは不明。祈りを込めて「ステータスオープン」と唱える。
予想通りステータス画面が目の前に出てきた。だてに漫画やアニメばかり見ていたわけではない。
そしてそこに書かれていたスキルは
”豪運”
俺は頭の中で脳汁(アドレナリン?)が噴き出るのが感じ取れた。
(ギャンブラーの俺にとっては最高のスキルだな)
1/319や1/8192、1/65536といったパチンコやスロットの当りを引くより脳汁が噴出している。
次にさっき違和感を感じた左腕を見てみる。
そこにはステータス画面と同じような画面が出ていた。
#リセットの腕輪#この腕輪は外すことができない。毎日0時を過ぎるとステータス値をリセットし再抽選する。追加スキル”鑑定””アイテムボックス”
(このアイテムはチートなのでは?)と思いつつもそこは”豪運”様に感謝し今日は噴水の横で眠りについた。
眠りから覚めると目の前に画面が出てきた。
『ステータスをリセットします。再抽選を行ってください。』
俺は期待を込めて再抽選のスイッチを押す。
『1/16384の抽選に当たりました。本日のステータスは大賢者並みになります。』
この確率は見たことがあるなと思いつつ当りの余韻に浸る。
(このステータスがどんなものかわからないがこのどこだかわからないとこからでたいよな)
そう思いおもむろに「近くの町まで転移」とつぶやいた。
まさかとは思ったが目の前には異世界の町が広がっていた。
(うん、フリーズ確率ってすごいな)