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☆第6回ESN大賞W受賞☆11/4④発売☆元貴族の四兄弟はくじけない! 〜追い出されちゃったけど、おっきいもふもふと一緒に家族を守るのだ!〜  作者: 撫羽
第2章 おともらちが増えたのら

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98ードルフ爺さん

 いつも思うけど、ディさんの『精霊眼』はいいなぁ。俺も欲しいなぁ。女神さん、聞いてる? 見ているかな?

 俺とディさんが綿密に立てた計画だったのだ。コッコちゃんが実際に卵を温めているところを見ようと。なのに、次の日起きてみると……


「ピ……ピヨピヨ」

「ピイ」

「え……?」


 畑の緑が青空に映えて、生き生きとして見える爽やかな朝の空気の中、何故か淡い黄色のひよこさんが2羽。

 コッコちゃんの後を付いて、ピヨピヨと鳴きながらヨタヨタと歩いている。俺は驚いちゃった。思わず呆然としたのだ。


「まりー、なんれ?」

「朝起きたらもういたんですよ」

「えぇー?」

「多分、当番の誰かが卵を回収し忘れたんでしょうね」

「あー」


 そうなのか。一体誰なのだ? あんな大きい卵をよく見過ごしたのだ。


「きっと、2軒隣のドルフ爺さんですよ。ちゃんと見ていないんですよ。丁度この1週間はドルフ爺さんの当番でしたから。藁が被さっていたりすると見落とすんですよ。ドルフ爺さん、前にも1個取り忘れていた事があったんです。その時はセルマお婆さんが気付いたのですけどね。今回は偶々見過ごしたのでしょう」

「しょうなんら」


 うちのご近所さんだ。うちを含めたご近所さんの何軒かが1週間交替で、コッコちゃんのお世話をして順に卵を回収している。その内の一人なのだ。

 マリーやビオ爺よりも年上のドルフ爺さん。

 いつもニット帽みたいな形の、布でできたワッチキャップをかぶっている。その下からクリンとした癖のある、白髪とグレーの混じった髪が見えている。噂では、頭の天辺に髪がないらしい。

 その奥さんが、セルマお婆さんだ。マロンブラウンに白髪の混じった髪を、シニヨンに纏めている。

 セルマお婆さんは、時々一緒にうちの前の軒下でウトウトとしている日向ぼっこ仲間なのだ。

 二人共、俺達を孫の様に可愛がってくれる。

 お隣は、ドルフ爺さんの長男夫婦の家だ。ドルフ爺さんと一緒にお野菜を育てている。次男夫婦は街の中心部で店を出している。その店で、畑で採れたお野菜を売ってもらっているのだ。

 ニコ兄は、このドルフ爺さんの畑も手伝っている。

 ちょっと忘れっぽい爺さんなのだけど、意外に博識なのだ。平民でこの年なのに読み書き計算ができる。そして、ニコ兄の良いアドバイザーになっている。

 以前、森から持って帰ってきた白いマッシュ。あの名前も知らなかったマッシュに、ドルフ爺さんは一目見るなり食いついたのだ。


「こ、こ、これはぁッ! リカバマッシュじゃねーかぁぁーッ! ぶゅひょッ」


 最後の『ぶゅひょッ』てのは、入れ歯が飛び出しそうになって慌てて出た声らしい。それくらい驚いていたのだ。

 そうか、ドルフ爺さんは入れ歯なのか。硬いものが苦手なのは知っていたけど。とにかく元気な爺さんなのだ。

 白い大きなマッシュは、リカバマッシュというらしい。ニコ兄はドルフ爺さんと一緒に、そのリカバマッシュを栽培しようと試行錯誤しているのだ。

 先ず、持って帰ってきたリカバマッシュが生えていた木だ。それを日陰で乾燥し始めた。


「マッシュってのは菌から生えてくんだ。その菌が育つのにこの木が大事だ。どの木でも良いって訳じゃない。よく持って帰ってきた!」


 そう言って、テンションマックスだったらしい。ニコ兄が、頭をクッシャクシャに撫で回されたと話していたのだ。

 それから何を思ったのか、ニコ兄と二人でドングリを拾ってきて粉々に潰し出した。その上に、マッシュを伏せて置いた。よくそんな事を思いついたよ。

 多分だけど、ドングリの粉にマッシュの菌を移していたりするのじゃないかな? 俺の予想なのだ。

 今は、そこまでなのだ。木の乾燥具合がまだ納得出来ないらしい。

 それよりも、コッコちゃんなのだ。雛が2羽、元気に歩き回っている。

 大きな白いコッコちゃんの足元を、ヨタヨタと歩く淡い黄色の雛。しかも、揃って俺を目指してくるのだ。

 黄色い雛が2羽、テケテケと歩いて来る。可愛いったらありゃしない。


「ひょぉ~! かわいいのら~!」

「ピヨ?」

「ピヨ」


 俺が外に出ると、親鳥と一緒にヨタヨタと近寄って来る。雛と言っても大きな魔鳥さんの雛だ。ひよこよりもずっと大きい。だって卵自体が大きいのだから。

 20センチ程はあるのかな? 俺の両手よりも大きい。でも、フワッフワなのだ。淡い黄色の雛の毛、幼羽と言うのだろうか? 大人のコッコちゃんと全然違うのだ。


「かぁわいいね~」


 思わず雛の頭をナデナデしてしまう。


「ピヨ」

「ピピ」


 うん、まだ何と言っているのか全然分からないぞぅ。誰か通訳して欲しいのだ。


「コッコッコ」

「しょうなの?」

「ココッ」


 まだ赤ちゃんだから、コッコちゃん達でも何を言っているのか分からないらしいのだ。それにしても、どのコッコちゃんの雛なのかな?


「クククッ」

「えぇー」

「コッコ」

「ほうほう」


 コッコちゃんも、どの親の雛なのか分からないらしい。そんな感じなの? とってもアバウト過ぎないですか? でも、みんなで一緒に育てるんだって。それは良かったのだ。

 そしてディさんがやって来て、コッコちゃんが実際に卵を温めているところを精霊眼で見たのだ。


「信じられないや。そうだったんだ」


 ディさんが一人で、驚いているのだ。どうした? 教えて欲しいのだ。

 もうみんな仕事に出ていて、俺とマリーしかいない。そのマリーと二人で、ディさんが説明してくれるのを待っているのだ。

 みんなで、コッコちゃんの柵を見つめてさ。ピカさんは、いつもの様に玄関の前で寝転んでいる。そのピカの上にチロが寝ている。いつもの定位置なのだ。


「でぃしゃん、しょれれ?」

「ああ、そうだね。説明しよう」


 ディさんが精霊眼で見た結果を話してくれたのだ。


お読みいただき有難うございます!

コッコちゃんの雛が孵りました〜!

まだコッコちゃんは続きます。^^;

明日も読むよ〜!と、応援して下さる方は、是非とも評価やブクマをして頂けると嬉しいです。

宜しくお願いします!

目指せランクイン☆です!ずっと言ってる。^^;

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