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☆第6回ESN大賞W受賞☆11/4④発売☆元貴族の四兄弟はくじけない! 〜追い出されちゃったけど、おっきいもふもふと一緒に家族を守るのだ!〜  作者: 撫羽
第2章 おともらちが増えたのら

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88ーコッコちゃんと教育事情

「それは、サルトゥルスル殿。良い案だ。子供達が出来る仕事として、領内で普及できれば餓えに苦しむ子供達が減るかも知れない」

「れも、でぃしゃん」


 俺は、ディさんに下ろしてもらって声を掛けた。


「なんだい、ロロ」

「ていむしなきゃらめら」

「そうだね、でもニルスでもできたんだ。大丈夫じゃない?」


 ああ、そうだった。ニコ兄より1歳年上のニルスがテイムできたのだった。

 それでも、ディさんの協力は必要だ。きっとディさんの、精霊眼は必要になるだろうと思うのだ。


「僕は協力を惜しまないよ」


 やっぱ、ディさんは良い人なのだ。コッコちゃんを、育てて卵を売る事も先を考えている。

 子供達が自分達の手でお金を稼ぐ事が出来る。それは、凄い事なのだ。


「それにね、子供達が集まるのだったら、教育だってついでにしてしまえば良いんだ」

「サルトゥルスル殿、教育ですか?」

「そうだよ。この国は平民の子供達の教育が成ってない。識字率だって低い。せめて、文字の読み書きを覚えて簡単な計算も出来るようになってほしい。それが子供達の、将来の武器になるんだ」


 ニコ兄や俺は、レオ兄に教えてもらっている。それも、レオ兄が元貴族で教育を受けていたから出来る事なのだ。

 そのお陰で、ニコ兄や俺も文字の読み書きや簡単な計算が出来る。まあ、俺は前世で大学を卒業しているのだ。この世界の文字さえ覚えたら、計算なんてお手の物なのだ。

 でも、この世界の子供達は違う。貴族なら、早いうちから家庭教師に教わる。そして、王都にある学園へ進学する。

 平民だとそうはいかない。子供だって立派な労働力なのだ。そんな時間があるなら仕事を手伝えという事だ。その親だって教育を受けていない。だから、当然といえば当然なのだろう。

 なら、平民はどこで学ぶのか? 領主が、無料で小さな学舎を開いてる領地もある。教会が担っていたりもする。

 例えば、ルルンデならビオ爺とハンナが教えている。でも、集まりは悪いらしい。

 それとは別に、裕福な平民だったら個人的に家庭教師を雇う。

 そして、姉達が通っていた学園だ。学園は貴族だけのものではない。入学試験に合格し、学費が払えるのなら平民だって通う事ができる。だが、なにしろ学費がお高い。実質的に貴族の子息子女しか通えない。

 国的には平民が気軽に通える学舎の様なものがないのだ。

 それを、ディさんは言っているのだ。教育が成っていないと、領主様の前で言い切ったのだ。


「サルトゥルスル殿、それは耳が痛い。だが、良い事だ」

「そうでしょう? フォリコッコを育てるという仕事をするんだ。その合間に読み書きと簡単な計算を教える。それなら、親だって文句はないだろう? それに、孤児院に入っていないけど両親のいない子達だっている。先ずはその子達の救済にならないかな? 孤児院に資金があれば、そんな子達も受け入れられるよね」


 なんだと? 両親がいないのに孤児院にも入っていないのか? そんなの、どうやって生きていくのだよ。それはいかん。何なのだ? この世界は、平民の命の扱いが軽すぎる。

 子供達には、とっても生き難い世界なのだ。俺はそう思うぞ。

 領主様とクラウス様は、ディさんと少し話をして帰って行った。


「ロロ、また来てもいいかな?」

「うん、くらうしゅしゃま」

「レオ、リア、いいだろうか?」

「平民なんかを、相手にしていてもいいんですか?」


 またぁ、リア姉は素直じゃないのだから。そんな嫌味を言うのはやめようね。


「姉上」

「私達は、ほとんど毎日クエストを受けているもの。家にはいないわ」

「毎日なのか?」

「はい。食べていかなければいけませんから」

「レオ君、貴族簿の閲覧希望の申請は出しておく。それを見てまた考えよう」

「はい、有難うございます」

「レオ、学園が休みになったらまた来るよ」

「はい」


 立派な馬車に乗り込むと、窓から顔を出してくれた。俺は、いつもの様に手をフリフリしておく。

 確かに、夫人とレベッカのした事で何人もの人が傷ついた。でも、こんな縁も良いじゃないか? そう俺は思ったのだ。


「ロロは優しいね」

「でぃしゃん、しょお?」

「そうだよ。あんなに酷い事をされたのに」

「らって、りょうしゅしゃまもくらうしゅしゃまも、ちゅらしょうなお顔をしてたのら」

「そうだね」

「わじゃわじゃ来てくれたし」

「うん」

「らから、もういいのら」

「ロロー!」


 ああ、まただ。またこの姉は、何かというと直ぐに抱き着いてくる。

 そして、俺のプニプニしたお腹を触りながらほっぺにスリスリする。俺は呆れてしまって、されるがまま棒立ちなのだ。


「りあねえ、やめれ」

「また、ロロ。冷たいわ」


 なんだか、ふと泣き虫女神を思い出してしまったのだ。似た様なやり取りをした気がするぞぅ。あの女神が抱きついてきたら、避けてやるが。


「りあねえ、きょうはもういかない?」

「行くわよ!」


 なんだ、行くのか。遅くなったから、もうギルドには行かないのかと思ったのだ。


「姉上、今日はもう遅くなったからいいんじゃない?」

「レオ、駄目よ。行かないなら特訓するわよ」

「えぇー」


 リア姉はあれなのか? じっとしていると、死んでしまう病でも罹っているのか?


お読みいただき有難うございます!

感想や誤字報告も有難うございます!

まだまだコッコちゃんは出てきます。^^;

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― 新着の感想 ―
『リア姉はあれなのか? じっとしていると、死んでしまう病でも罹っているのか?』  ってマグロ病?
[一言] 監督不行き届きはあるだろうけれど 家族だから家族を制御出来るとは限らないからなぁ 後天的(しつけ等の不充分)に問題児になる場合もあるけれど 先天的(サイコパス等)に問題児な場合もある …
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