80ーリア姉とレオ兄の特訓
「ぎるます、ありがと」
「おう、良かったよ。今日はあれか、フォリコッコか?」
「ギルマス、そうなんだ。うちのフォリコッコ、7羽分を登録したいんだ」
「7羽もか!? よくそんなにテイムしたな!」
「れおにいと、でぃしゃんとボク」
「なんだと、ディもか?」
「そうなんだよ。でも、大丈夫だよ。レオとロロがいるから」
「いやいや、ロロはまだギルドに登録できないじゃないか」
「ああ、そうだったね。じゃあ、レオでお願い」
「7羽ともか?」
そうなんだよ。レオ兄ったら凄い事になっているのだ。だって、ピカとチロもレオ兄で登録しているのだから。超凄腕テイマーなのだ。かっちょいい。
「ロロが登録できるようになったら、ピカとチロは変更しようね」
「え、しょう?」
「そうだよ。だって、本当はロロなんだから」
て、俺もテイムしていないのだ。
「まあ、ピカとチロは仕方ないよ」
「じゃあ、レオ。ギルドカードを出してくれ」
「はい、ギルマス」
「ねえ、その間にピカと解体場に行ってくるわ」
「ちょっと待て、リア。解体場って事はまた魔獣を持ってんのか?」
「ええ、沢山あるわよ」
「おいおい、本当にお前達姉弟はよぉ」
本当はピカがやっつけた魔獣なのだ。お魚も買い取ってもらわなきゃ。
ビオ爺とニルス、『うまいルルンデ』の奥さんの事も、ちゃんとディさんが頼んでいたのだ。
「そろそろ、ランクアップするか?」
「ギルマス、簡単に言うけどCランクに上がる時は、ランクアップ試験を受けないといけないんだろう?」
「そうだ。でも、2人なら大丈夫だろう?」
「そうかなぁ~?」
「レオ、何言ってんの? レオとリアなら大丈夫だよ」
お、ディさんのお墨付きなのだ。
「じゃあ、試験の申し込みもしとくか?」
「姉上、どうする?」
「そんなのチャレンジするに決まってるじゃない」
ああ、リア姉はやる気だよ。目がキラランとしたぞ。
「だってフィーネ達より上にいけるじゃない」
そこかよ、そこなのかよ。仲が良いと思っていたのだけど、そこは張り合うのだね。
「ああ、フィーネ達もDランクだったか」
「そうなのよ、この前の長期休暇にランクアップしたの。学生に負けてらんないわ」
いやいや、リア姉達の方が年下だし。1歳だけだけど。
「でも私達は学生じゃないもの。フィーネ達は長期休暇の間だけなのよ。なのに、同じランクなんて悔しいじゃない」
「姉上、別に気にしなくていいと思うよ」
「レオ、気にしなさいよ!」
あらら、対抗心を燃やしているのだ。リア姉は、負けず嫌いだからね。
「じゃあ、次の試験を受ける手続きしとくか?」
「もちろんよ!」
「よし、分かった!」
この日は、コッコちゃんを7羽無事に登録して、リア姉とレオ兄のランクアップ試験の申し込みをしたのだ。
ピカが持っていた、倒した魔獣や魔魚も買い取ってもらった。良い臨時収入になったみたいだよ。魔魚さんがとても良いお値段だったのだ。
これで、リア姉の剣帯も買い替えられるね。レオ兄の弓だって購入できるかも知れない。
そして、ランクアップの試験だ。ディさんは、リア姉達なら大丈夫だと言う。合格したらCランクだ。増々かっちょいいのだ。
その日からリア姉は、レオ兄に無理矢理相手をさせて特訓を始めた。家の前で、2人で鍛錬し始めたのだ。
俺がまだ眠っている様な、早朝から走り込みをしたりもしている。本格的なのだ。
今日も2人で、木でできた剣で打ち合いをしている。
それを見ている、俺とコッコちゃん。それにピカとチロだ。仲良く並んで見ているのだ。
あれ? 余りにも自然だったから気付くのが遅れたのだけど、コッコちゃんはどうして俺の隣にいるのだ? 柵から出てきているぞ、いいのか? どうやって出たのだ?
「クックックッ」
「コッコッコッ」
「わふ」
「キュルン」
賑やかだ。何を話しているのやら。コッコちゃん、勝手に柵から出たら駄目だぞぅ。
「わふ」
「うん、しょうらよね」
「キュル」
「しょう思う?」
ピカとチロが、2人は強いから楽勝だと言っている。俺も、そう思うのだ。
「ハァッ!」
「うわ、姉上! 待ってよ!」
リア姉が、容赦なくレオ兄に切り掛かる。木剣なんだけど、当たったら痛そうなのだ。
リア姉に合わせて、剣で対戦しているからレオ兄は不利だ。レオ兄は槍の方が得意だから。
「うわぁ……」
「コッコッコッ」
「わふッ」
なんだろう。コッコちゃんが、自然に会話に入ってくるのだ。凄い切り込みだと言っている。コッコちゃんに分かるのか?
「クックックッコケッ」
「へぇ〜、しょうなんら」
冒険者に追いかけられて、切り付けられた事があるんだって。その時の冒険者より、リア姉の方がずっと早いらしい。
「んん……?」
ここで俺はまた気が付いたのだ。
「ピカ、ボクはどうしてこっこちゃんの言う事がわかるのら?」
「わふ」
「え……」
何故かコッコちゃんが、何を話しているのか分かるのだ。ピカが言うには、テイマーのスキルが生えたからだとか。
そうなのか? そんなものなのか?
「ロロー! 来ちゃったー!」
キラキラした髪を靡かせて、手を振りながら爽やかにディさんの登場なのだ。
最近、よく来るよね。いいんだけど。きっとお目当ては、ニコ兄のお野菜なのだ。
「でぃしゃん、こんちは〜」
いつもの様に、お手々をフリフリする。
「何? ピカとチロやコッコちゃんまで並んで何してんの?」
「りあねえとれおにいの、とっくんを見てるのら」
「ああ、頑張ってるねー」
その時、ディさんに気を取られてしまったのか、リア姉の木剣がレオ兄の手首へまともに入ってしまった。
お読みいただき有難うございます!
どんどんコッコちゃんが前に出てきています。^^;
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