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☆第6回ESN大賞W受賞☆11/4④発売☆元貴族の四兄弟はくじけない! 〜追い出されちゃったけど、おっきいもふもふと一緒に家族を守るのだ!〜  作者: 撫羽
第1章 ルルンデで生活するのら

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73ー心配性

 それからも、コッコちゃんは次から次へと出て来た。ディさんやレオ兄の『お座り』と言う声が聞こえた。

 俺はまだ寝起きだからね、お喉が渇いたのだ。マリーが持たせてくれた果実水を飲もう。


「お座りッ!」

「ん……?」


 おやおや? この声は……?


「ロロ、リア姉だ。ダメだったな」

「え……」


 リア姉が張り切って『お座り』と言った。なのにコッコちゃんは知らんぷりなのだ。ププーの実しか目に入っていない。


「ロロォ……」


 リア姉が、お顔を真っ赤にして俺に抱きついてきたのだ。半泣きなのだ。おしおし、頭をナデナデしてあげよう。


「りあねえ、じゃんねんなのら」

「なんで? なんでなの? レオはできるじゃない」

「アハハハ。レオの方が魔力量は多いし、魔力操作も上手だからだね」


 ディさんが冷静に分析したのだ。でも、余計にリア姉を追い込んでいるぞ。


「りあねえ、ポカポカぐるぐるしゅるのら」

「分かったわよぅ」


 残念だったね。リア姉がテイムできなかったコッコちゃんは、レオ兄が無事にテイムした。

 この日は結局、コッコちゃんを10羽も捕まえた。コッコちゃんも、もうププーの実が残り僅かなのを知っているのかな? 前より多く捕まえられたのだ。

 そしてコッコちゃんは、リア姉にププーの実を強請り捥いでもらって食べていた。どうして、リア姉なのだろう? お座りしないのに。

 リア姉に捥いでもらったププーの実を、コッコちゃんは足でバキィッと割ってから食べるのだ。

 何も足で割らなくても、嘴で突けば良いのじゃないか? その方が早くないか?


「ロロ、駄目なんだよ」

「れおにい、どうして?」

「フォリコッコの嘴をよく見てごらん。細くなっている嘴の先端が丸くなっているだろう?」


 本当なのだ。鶏さんみたいに尖ってないのだ。嘴自体の形はよく似ているのに、先端は微妙に丸くなっている。


「だからね、突かれても痛くないんだ。だから多分、力も弱いんだろうね。ププーの実を、割ったりできないのだと思うよ」

「なるほろ〜」


 あらら、本当に弱っちいのだ。


「れも、きっくはべちゅ?」

「アハハハ、そうだね。意外に足癖が悪かったね」


 そうなのだ。だって、ププーの実を取るのも、木に蹴りを入れて実を落とすのだ。

 その上、実をバキィッと踏み付けて割る。とっても足癖が悪いのだ。


「レオ、どうやって連れて帰ったの?」

「首に縄を掛けて、歩かせるんです」

「アハハハ! フォリコッコをお散歩させてるみたいじゃない!」

「しょうなのら」

「でも、お利口ですよ。普通に付いて来ます」

「そうなんだ〜」


 またまたレオ兄が、バッグから縄を出してコッコちゃんの首に括り付ける。合計10羽のコッコちゃんにだ。

 今日はピカが、バインドしている訳でもないのにとっても大人しいのだ。


「コッコッコッ」

「クックックッ」


 何かコッコちゃん同士で、話しているのだ。


「ぴか、わかる?」

「わふわふ」


 まただ。とっても打算的なコッコちゃんなのだ。『付いて行ったら餌を貰えるかも知れない』と、話しているそうだ。コッコちゃんは、みんなこうなのか? それ程この森で生きていくのは大変なのだろうか? コッコちゃんにとっては厳しい環境なのだね。


「そろそろ帰ろう」


 お魚も沢山捕ったし、ププーの実も採れた。コッコちゃんなんて10羽も捕まえた。

 不思議な白いマッシュも採った。育てられるかも知れないと、生えていた木を少しだけ切って持って帰る。

 ニコ兄は、育てる気満々だ。うちの薬草畑がどんどんバージョンアップするのだ。

 帰りもピカに乗せてもらおう。よいしょっと……おや、ピカの背中の向こう側まで足が届かないぞ。ピカが伏せてくれているのだけど、伏せていても大きいものは大きい。


「ほら、ロロ」


 レオ兄にヒョイと抱き上げられて乗せられた。


「ありがと」

「怖くない?」

「うん、へいきら」

「そう、良かった」


 レオ兄は、俺がピカに乗っていて攫われたからそう言うのだろう。確かに、トラウマになっているかな? と、俺も考えたりしたのだ。

 全然大丈夫だったのだ。女神が癒してくれたからなのかな?

 でも、周りはそうじゃない。

 ピカに乗っている俺の両側に、レオ兄とニコ兄が付く。その後をリア姉が歩く。

 必ずなのだ。森の中で、ピカに乗っている間はずっとそうだった。

 俺より、リア姉達の方がトラウマになっていそうなのだ。


「だいじょぶなのら。もうへいきなのら」

「そうだね」


 レオ兄が、優しく撫でてくれる。

 心配掛けちゃったのだ。


 今日捕まえたコッコちゃん達は、教会に3羽と『うまいルルンデ』に4羽を連れて行く事になった。残3羽をうちで飼う。

 うちには既に4羽いる。今コッコちゃんのいる柵を大きくして、近所の数軒で一緒に面倒を見る事になった。卵は順に食べるのだそうだ。


「明日にでも教会と『うまいルルンデ』に連れて行こう。僕も一緒に行くよ」


 何故なら、テイムの素養のある人がいるのか見たいそうなのだ。

 でも、コッコちゃんはお利口さんだから大丈夫ではないかな?

 ディさんは10羽のコッコちゃんを繋いだ縄を持って先頭を歩いている。コッコちゃん、お利口さんなのだ。『コッコッコッ』と鳴きながらちゃんと縄が絡まない様に並んで歩いている。これって何かの行事ですか? みたいな感じなのだ。


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[一言] コッコちゃんの行進、かわいいw
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