表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
☆第6回ESN大賞W受賞☆11/4④発売☆元貴族の四兄弟はくじけない! 〜追い出されちゃったけど、おっきいもふもふと一緒に家族を守るのだ!〜  作者: 撫羽
第1章 ルルンデで生活するのら

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

64/470

64ーその後 1

(ディさん視点です)



 裏口の方に周り、階段を降りて行く。すると、ピカが教えてくれた通り檻の前に転がっていた。

 男が2人。こいつ等が実行犯か。さっさと眠ってもらおう。男達に向かって、僕は指をヒョイと動かして眠らせた。

 あ、少し位痛い思いをさせた方が良かったかな? まあ、いいや。

 そして、領主夫人とその令嬢。


「あ! あなた! 見てないで助けなさいよ!」


 令嬢がギャンギャン喚いている。本当に耳が痛い。

 地面に転がりながら、なんとか起きようと体を動かしている。

 だけど、ピカのバインドから抜け出せる訳がない。


「どうして僕が、君達を助けなきゃいけないんだ?」

「どうしてって、あたしは領主の娘なのよ! 伯爵令嬢なのよ! 早く助けなさいよ!」

「レベッカ、無駄よ。この方はエルフのディディエ・サルトゥルスル様よ」

「お母さま、それがどうしたのよ! 関係ないわ!」

「関係あるのよ。この方にはこの国の王でも命令できないわ」

「お母さま、何を言ってるの!?」

「アハハハ。流石に領主夫人は僕の事を知っているんだね。そうだよ、僕にはこの国の誰であっても命令できない。たとえ、王でもね。先代の王との約束なんだ。僕に命令できるのはエルフの長老夫婦位だよ。ああ、皇帝もだ。僕はエルフの中でも、少し変わり者らしいからね。アハハハ」


 さて、どうしてやろうか。このまま城に連れて行こうか。また、有耶無耶にされたら面倒だ。

 それに、そんな事になったら任せてくれたレオ達に顔向けできないよ。


「サルトゥルスル様、どうかお助けください!」

「嫌だね」

「お願いします!」

「嫌だ。前に君達が、ピカを狙った時に忠告した筈だよね。2度と手を出すなと言った筈だ。それに、もうあの時に1度助けているんだ。2度目はないね」

「可愛い娘なのです。子供の我儘です。どうか」

「違うだろう。夫人も一緒にやってるじゃないか。我儘の範疇を超えている。これは犯罪だ」

「サルトゥルスル様、どうか今回だけは!」

「嫌だと言っただろう。君達はロロをどうするつもりだったんだ? ピカが手に入ったら、あのまま殺すつもりだったんだろう?」

「そ、そんな事は……」


 図星じゃないか。目が物を言うとはこの事だね。

 この母親は、人の命を何だと思っているんだよ。なんて、考えるだけ無駄か。


「ああ、言い訳はいいよ。あんな小さな子に酷い事をして、君達はもう終わりだ。覚悟するといいよ」

「何よ、偉そうに! あたしが誰だか知らないの!?」

「知ってるよ。レベッカ・フォーゲル。少し前に、僕の事も連れて帰るとか言っていたよね。興味がなくなったら、もう忘れちゃったかな? 我儘で常識を知らない大馬鹿娘だ」

「何ですって!?」

「レベッカ、黙りなさい!」

「だってお母さま!」

「ああ、もう煩いね」


 僕はヒョイと指を振った。もう黙ってもらおう。不愉快だ。レベッカも眠らせたんだ。

 この子にも将来があるだろうに。ちゃんと教育されていたら、また違ったかも知れない。

 

「サルトゥルスル様!」

「殺してないよ。眠ってもらっただけだ。さて、君達だけどね。もう面倒だから、城に直接連れて行く事にするよ。そこで罰を受けるといい」

「そ、そんな!」


 僕は魔法杖を出した。エルフなら皆が持っている魔法杖だ。魔法杖を使うと、普段よりも強力な魔法を使う事ができるんだ。

 その魔法杖で、夫人と令嬢、男達が入る様に半円を描いて……転移だ。


 その後、直ぐに王命が出て彼女達が調べられた。

 エルフの僕が、城にいる王の執務室へ突然転移で現れたものだから驚いていた。

 何事だと、手に持っていたペンを思わず落としていた位だ。

 僕がこれまでの全てを説明をすると、目を吊り上がらせ真っ赤になりながら怒りを露わにしていた。そして、最速で対応してくれたんだ。

 調べて直ぐに、余罪が次から次へと出てきた。

 外では、善良な領主夫人を装っていた夫人。この夫人がレベッカを増長させていた張本人だった。

 猫可愛がりどころの騒ぎじゃなかった。主人である領主の前では「ちゃんと教育しているのだけど」と、話していたらしい。

 だが、実際は令嬢の我儘に手を貸し、事実を隠蔽していたんだ。

 伯爵令嬢なのだから、領主の娘だから、可愛い娘だからと甘やかし放題だった。令嬢が欲しがるものは何でも与えていたらしい。

 あまり家にいない父である領主と兄が厳しく言った所で、いつも側にいる母の夫人が甘やかしまくっていたら、なんの意味もない。甘やかすどころか、手を貸していたのだ。

 令嬢は、そんな風に育ったんだ。何が悪い事なのか、理解できない子供に育ったのだろう。

 自分の気持ちや、欲望を押さえたり我慢したりできないんだ。別の意味で、被害者なのかも知れない。


「あたしは悪くないわ! あの犬が欲しかっただけよ!」


 と、令嬢は性懲りもなく訴えていた。

 夫人は諦めたのか、ただただ項垂れていたそうだ。


 以前、ピカを狙ってやって来た男も、夫人が手配した者だった。

 令嬢付きの侍女も、何人か行方不明になっていた。夫人が、人身売買に加担していた可能性が出てきたんだ。

 言う事を聞かない平民を、鞭で打って瀕死の状態にさせていた事まで分かった。

 ロロの事件は、街の人達が何人も目撃していた。それを、みんな証言してくれたんだ。余程、嫌われていたんだね。

 街を守る衛兵まで、あの娘には手を焼いていたらしくて証言してくれたんだ。


お読みいただき有難うございます!

ディさん大活躍です。

感想や誤字報告を有難うございます。

こちらでは、あまり感想を頂けないので嬉しく思っています!

続けて読むよー!と、思って下さる方は是非、評価やブクマをして頂けると嬉しいです。

毎日投稿する励みになります。

宜しくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] ランキングを見て読み始めました。 ロロが可愛くて癒されます。 女神には塩対応で毒舌なところがお茶目ですね。 [気になる点] いきなり国王の執務室に突撃って、ディさんもなかなかやりますね。 …
[一言] 夫人にとって娘はなれなかった自分かな? 他人より強い欲望を抑えられて抑えられて今の地位についたのかも 不満を自分にそっくりな娘に転化したのですね
[一言] 一家全員黒じゃなかったのが唯一の救い。全員黒だったらロロも貴族不信に陥ってただろうな。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ