56ープリンパーティー
「まりー、だいせいこうなのら」
「ね、大成功ですね」
それを見たディさん。
「えぇーッ! 超おっきいんだけどー! アハハハ!」
ウケていた。お腹を抱えて大爆笑だ。バケツとまではいかないけど、お鍋でそのまま冷やしたプリン。
さあ、食べよう。早く食べよう。
「ロロ、待ちな。姉上を呼んでくるよ」
「あい」
今日はコッコちゃんの小屋を作るから、リア姉とレオ兄はギルドに行かなかったのだ。リア姉は上で、お昼寝中なのだ。
朝は、張り切って……
「時間が出来たから、魔法の勉強をするわッ!」
と、言っていたのに。いつの間にか、ベッドに入っていた。ぐっすりなのだ。
偶にはいいよね。いつも、頑張ってくれているのだ。
寝惚け眼のリア姉が、下りてきた。
「ディさん。こんにちは」
「お邪魔しているよ」
「あら! 本当に作ったのね、大きなプリン!」
「りあねえ、食べるのら」
「凄いわ、美味しそう! 朝食のオムレツもとっても美味しかったものね」
そうなのだ。ニコ兄とユーリア、エルザの分は残しておこう。
「せっかくですから、畑のみんなも一緒に庭でオヤツにしましょう」
それは、いい考えなのだ。
朝早くから、コケッコーと元気よく鳴いていたコッコちゃん。近所の人達は、何事かと見に出て来ていたのだ。
そこにいた鳴き声の主は、コッコちゃん。歴とした魔鳥さんだ。
それで、驚いたご近所さんにレオ兄が事情を説明したのだ。
卵が美味しいらしい。上手く飼える様なら、また捕まえてきてみんなで飼おうという事になった。
だって、目の前に大きな卵が8個もあったのだ。みんな食べたいよね〜。
毎日産むらしいから、明日から順にお裾分けコースなのだ。
「みんなフォリコッコが、卵を産んだ事を知っているから」
「そうね、きっとニコは楽しみにしているわよ」
「声を掛けてくるよ」
「はいはい、お願いしますね」
俺達は庭に簡易テーブルと椅子を出してプリンをセッティングする。いや、俺は何もできないけど。スプーンを片手に、ウロウロしているだけなのだ。
「たのしみなのら」
「はいはい、お茶どうぞ〜」
マリーのティータイム……いや、プリンパーティーの開催なのだ。
直ぐにニコ兄がユーリアと一緒に走ってきた。やっぱ楽しみだったのだ。
「スゲー! なんでこんなにデカイんだよ!」
「らって、まりーが」
「ああ、なるほどな」
ニコ兄も分かっている。マリーが大雑把だという事を。
「はいはい、取り分けますよ〜」
マリーがオタマで、プリンを掬う。うん、何か違うのだ。
「はい、ディさんどうぞ」
「ありがとう! アハハハ、大きいね〜」
そうなのだ。笑っちゃうくらい大きいのだ。俺が想像していたプリンとは違うのだ。
お構い無しに、マリーはどんどん取り分けていく。
「ロロ坊ちゃま、ニコ坊ちゃま座ってください」
テーブルに、オタマで盛ったプリンのお皿がどんどん並べられる。やっぱ、なんか違う。
まあ、いいや。とにかく、食べよう。
「いたらきましゅ」
「いただきー!」
俺とニコ兄はスプーンでプリンを掬う。お皿にボテッと盛られたプリン。見た目は全然いけてない。でも、プルプルしているのだ。
お口に入れると……芳醇とでも言うのだろうか。お口に広がる卵の風味。お砂糖を控えめにして正解だったのだ。
卵の味が濃いから、ほんのりと甘いくらいで丁度良い。
「うまうま!」
「超美味いな!」
「本当だよ、こんなプリンは初めてだ。まろやかな卵の風味がとってもいいね」
ニコ兄やディさんも絶賛している。ワラワラと畑からやって来たご近所のおじさんにおばさん。
みんな、あの卵のプリンだ。て、分かっている。あっという間に、プリンの試食会なのだ。
「皆さんもどうぞ〜。お茶もありますよ〜」
マリーはもしかして、こういうのが好きなのか? 前もそうだった。ピカを狙ってきた男を見張っていた時だ。
あの時も、張り切ってお茶を出していた。今日も、張り切っているのだ。
「わふん」
「キュルン」
「ぴかとちろも、たべる?」
「わふ」
「キュル」
当たり前じゃん。て、言われてしまったのだ。
「あい」
ピカとチロの前に、プリンの盛られたお皿を置いた。
「わふぅ」
「キュルン」
「ね〜、うまうまらね」
ピカとチロも気に入ったみたいなのだ。
ピカさん、お鼻にプリンが付いてるぞ。
「わふッ」
アハハハ、舌でペロンと舐めちゃった。こんなピカはとっても可愛い。よし、もふもふしてあげるのだ。
コッコちゃんのプリンは大好評だった。
と、いうかプリン自体を家で作らないらしいのだ。
お店には売っているので、無い訳ではない。珍しい訳でもない。でも、卵をプリンにする位なら普通に食べるらしい。ちょっと贅沢品なのかもね。
美味しいクリームチーズが手に入ったら、スフレチーズケーキも作ってみたいのだ。
いやいや、元日本人としては茶碗蒸しもいいなぁ。
「ロロ、色々考えているのか?」
「れおにい、うまうまらから」
「うん、美味しいね」
「らから、色々ちゅくれるのら」
「アハハハ、そうだね」
実はプリンはもう1つあったのだ。1つというか、1鍋というか。
「まりー、びおじいにもっていく」
「そうですね。明日、早速教会に行きましょうね」
「うん」
そうなのだ、びおじいに持って行こう。教会の孤児院に持っていくのだ。みんなきっと喜ぶぞぅ。
「まりー、おさかなもププーの実ももっていくのら」
「はいはい、ピカちゃんを連れて持っていきましょうね」
ピカに収納してもらってある。そしたらいつでも新鮮なのだ。
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