464ー魔鳥オンパレード
「ロロ! 何落ち着いてんだ! 攻撃するんだ!」
「あ! にこにい、わしゅれてたのら!」
いかん、いかん。今は魔鳥を落とさなきゃ。我に返った俺は、大きく魔法杖を振る。
「たぁーッ!」
ビュンッと風の刃が魔鳥の群れの中に飛ぶと、ヒューッと魔鳥が落ちてくる。それを待ち構えていた、リア姉やロッテ姉がぶった斬る。
「アハハハ! 相変わらずロロは予想以上のことをするな!」
「テオ様! 感心してないで、手を動かしてください!」
「ジル! やってるっての! けど、キリがねーよ!」
かなり数を減らしたのだけど、それでもまだまだ多い魔鳥さん。これって、一度にもっとたくさん落とせないかなぁ? ピカさんや、どう思う?
「わふ?」
焼いちゃう? なんて物騒なことをピカが言った。でもそうか、何も風でしか攻撃したら駄目とは決まってないじゃないか。炎と言えば、リア姉だ。俺はバルコニーから大きな声でリア姉に言った。
「りあねえ! やくのら!」
「えぇ!? ロロ、何言ってんの!?」
「そうか! 姉上、炎を飛ばせただろう!?」
「そうだったわ!」
なんだよ、リア姉ったら忘れていたのか?
リア姉が剣を構える。魔法を付与したのだろう。それまで普通の剣だったのに、炎を帯びて剣身が伸びているように見える。それをリア姉が思いきり魔鳥目掛けて振り切った。
青い炎が空を切り裂いて飛び、大きな炎が魔鳥に襲い掛かる。焼かれた魔鳥がボトボトと落ちてくる。
「ええ!? リアったらそんなことができるの!?」
「ワッハッハッハ! リア! いいぞぉッ! どんどん飛ばすんだぁッ!」
ロッテ姉は驚いているけど、お祖父様ったら楽しんでないか? さっきから笑いながら魔鳥を切っている。こんなにたくさんの魔鳥なのに、お祖父様からは余裕が感じられる。
「踏ん張れぇーッ! このまま攻撃を続けるんだーッ!」
時々大きな声で、兵士さんたちを鼓舞したりもする。その度に、兵士さんたちの雄叫びが響く。それに紛れてあの子たちの鳴き声も聞こえる。
「ピヨピヨ!」
「アンアン!」
やっつけるアルね! 一網打尽アルよ! と、物騒なことを叫んでいる。あの子たちのあのイケイケ感は誰に似たのだろう? 絶対に俺ではないぞぅ。
「ロロ! もう少しだ! 頑張れ!」
「にこにい!」
いかん、ついボーッとしてしまった。見るのも忙しいし、色々考えることがあるのだよ。
「とぉッ!」
――きゅぽぽんぽん!
エルもピコピコハンマーを使い熟している。よし! 俺も頑張るぞ!
「えいやーッ!」
風の刃を飛ばす。もっといっぱい魔力を込めたらどうなるだろう? そう思ってやってみる。
「たぁーッ!」
すると、とんでもなく大きな風の刃が飛び、グイングインと回りながら魔鳥の群れの中を大きく一周した。
「ろろ、しゅげー!」
「でっけーな!」
「え……」
あんなに大きな刃になるとは思わなかったよね。自分でやっておいて、ちょっと引いちゃった。容赦ないじゃないか。
「ロローッ! いいぞーッ!」
お祖父様が下から叫んでいる。いいなら、いいか。じゃあ、もう一度だ。
「とぉーッ!」
この魔法杖は凄いのだ。俺の魔力をしっかり溜め込み、そして増幅して放ってくれる。さすがディさんが作った杖だ。
あれれ? なんだっけ? たしかこの杖を貰った時に炎も出せなかったっけ?
「ロロ! またボーッとしてるぞ!」
「にこにい、ほのおもだしぇるかも」
「えッ!?」
確かあの時出せたのだ。よし! 俺はチャレンジャーなのだ!
「たぁーッ!」
大きな炎よ出ろー! て思いながら杖を振ると、ほら、ほぉ〜ら。やっぱ出たよ、炎が。炎を纏った刃が魔鳥をボォーッと焼いていく。おー、これは凄いと自分で感心してしまった。
でもリア姉みたいに青い炎は出せなかったのだけど。きっと芯に、フェニックスの羽を使っているこの杖だから出せたのだろう。やっぱディさんは凄い。
「ろろ、しゅげーな!」
「ちがうのら。このちゅえが、しゅごいのら」
「しょうなのか?」
そうそう、そうなのだよ。俺の魔力を増幅してくれているし、炎まで出せちゃった。
俺ってば無敵じゃない? なんて思いながら胸を張る。
「ロロ! だから他のこと考えてないで飛ばせって!」
ニコ兄に言われちゃった。ついつい忘れてしまう。こんな緊迫した場面なのに、俺ってば呑気すぎる。
やるぞ! と杖を構え、思い切り振って魔鳥に炎の刃を飛ばす。下からはリア姉も剣から炎を飛ばしている。そして、レオ兄とピカは風の刃を飛ばす。
「これで最後よ!」
リア姉が青い炎を飛ばし、とうとう魔鳥の群れをやっつけちゃった。
「ニコ! ロロ! よくやったぁッ!」
下から大きな声でお祖父様が褒めてくれた。
「おおじいじ! ぼくもやったんらじょ!」
「ワッハッハッハ! そうか! エルもよくやったーッ!」
ふふふ、三人とも誉められちゃった。良かったね。
これで魔鳥騒ぎは一段落だ。街に被害が出なくて良かった。だけどね。
「なんで魔鳥があんなに襲ってきたんだろうな?」
そう、ニコ兄の言うとおりだ。俺とエルが洞窟へ行った時にも魔鳥が出てきた。ここにくる道中にも魔鳥が出た。なんだか魔鳥のオンパレードって感じではないか? 魔鳥特集でも開催中なのか?
「ロロ、何考えてんだ?」
「なんれもないのら」
いかんいかん、ちょっぴりおバカなことを考えてしまった。
お読みいただき有難うございます!
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宜しくお願いします。
カッコよく決まらないのがロロです。ちょっと惚けた感じで力が抜けてるのです。
今日も投稿できて良かった(^◇^;)
ココちゃんのイラストが続々と上がってきています。
ココ、咲、隆の…おっと!まだ秘密でした。
コミカライズの方も色々進んでます。
12月にはロロの2巻が発売になるそうですよ。現在、担当さんが表紙を吟味中です。
楽しみです。
ノベルは11月のロロ④とココちゃんが年内最後になります。もう来年の初稿を一つ出していて、これから二つ作ります。頑張らねば!
動物病院代を稼がないと!(๑•̀ •́)و✧
投稿も頑張りますよ〜!
よろしくお願いいたします。٩(๑˃ ᵕ ˂ )و
4巻の書影はまだなので、久しぶりに1巻の書影を!
ロロはここから始まりました。




