462ーボクのちゅえ!
俺とニコ兄とエルは、大きな窓に張り付いてお外を見ていた。そこにエルザとユーリアがバタバタと入ってきた。
「おばあちゃん! エル坊ちゃま!」
「おばあちゃん! ニコ! ロロ坊ちゃま!」
二人とも心配して来てくれたのだろう。
「あらあら、エルザ、ユーリア、落ち着きなさい」
「おー、大丈夫だぞ」
「大丈夫なのは分かっているわよ。またニコとロロ坊ちゃまが危ないことしないかと思って!」
おや、俺たちなのか? 危ないことなんてしないのだ。と、ニコ兄とお顔を見る。
「なんだよ、俺たちかよ」
「だってニコったら、お祭りの夜に河原でも飛び出したじゃない」
おっと! 確かにニコ兄はあの時、王弟殿下の孫娘を助けに飛び出していた。それを覚えていたなんて。
「にこにい、じごうじとくなのら」
「ロロ、何言ってんだよ」
それは仕方ないね。でも今日は大丈夫だ。あんな無謀なことをする人がいないもの。
みんなで大きな窓に張り付いてお外を見る。
お邸の広い前庭から、レオ兄や伯父様たちだけじゃなく、兵士たちも風の刃を飛ばしているのが見えた。
それで翼が傷付いた魔鳥が、ピューッと落ちてくる。そこに待ち構えていたのが、お祖父様やリア姉だ。あ、ロッテ姉やテオさんたちもいるぞ。
クルクルと回転しながら落ちてくる魔鳥を、バッサバッサと切っている。
その連携の見事なこと。めっちゃカッコいい。なのに下でうるさい子たちがいた。
「アンアン!」
「ピヨヨ!」
鳴きながら、みんなと一緒になって落ちてくる魔鳥を蹴り倒している。
ああ、あの子たちを忘れていたよ。そうだ、みんなお外にいたんだ。新しい子たちと訓練するとか言って張り切って毎日走り回っていた。
けど、俺も魔法で風の刃を飛ばしたい。その時俺はピコーンと閃いた。
「あぁ! しょうら!」
「ろろ、ろうした?」
「えっちょ、えっちょぉ」
お出掛けに使っている俺のポシェットの中を探る。とっても小さくして入れてあるから。
「これはぽーしょんれ、えっちょぉ……あった!」
ジャジャジャーンと出したのは、ディさんに作ってもらった俺の魔法杖だ。まだティースプーンくらいの大きさなのだけど。
「ろろ、しょれなんら?」
「ボクのちゅえ!」
杖を握りしめて魔力を流す。
「おおきくなぁ〜れ!」
杖がグググンと伸びて、俺の手に丁度いい大きさになった。
ディさんが作ってくれた俺専用の、特別な魔法杖だ。持つところが世界樹の枝でできていて、その先はユニコーンの角だ。アイボリーの角に螺旋状の筋が入っている。見た目には分からないけど、芯にフェニックスの羽根を使ってあるらしい。
そしてユニコーンの角の先端に、緑色の小さな魔石が嵌めてある。
俺はそれを掲げ、もう片方の手は腰だ。お腹がいつもよりポヨンとしているけど、夕ご飯を食べた後だから仕方ない。
「おー! ろろ、かっけーじょ!」
「ふふふん」
「ロロ、何するんだ?」
「にこにい、ここからえんごしゅるのら!」
「ここからか!?」
「しょうなのら! おしょとにでるのら!」
大きな窓を開けるとバルコニーになっている。そこから魔法を飛ばして援護するぞ!
「ロロ坊ちゃま、危険ですよ!」
「まりー、はなれてるから、らいじょぶなのら」
「おう! 俺が守るぞ!」
「ろろがちゅえをちゅかうなら、ぼくにぴこぴこはんまー、かしてほしいじょ!」
「うん! える、ちゅかえる?」
「まかしぇろ!」
よし! ちびっ子討伐隊の結成だ!
「やるのら!」
「おー!」
思わずエルと一緒に片手は腰にやり、杖やピコピコハンマーを高く掲げる。めっちゃやる気だ。
「ロロ、エル、あんまり前に出たら駄目だからな! 約束だ!」
「わかったのら!」
「おー!」
三人でバタバタとバルコニーに出る。ここは3階だから、前庭から風の刃を飛ばしているよりきっとたくさん届くはずだ。
よし、やるぞ! 魔法杖を両手で持ち、頭の上に上げる。そこから思い切り魔鳥目掛けて勢いよく杖を振った。
「たぁーッ!」
ビュンビュンと幾つもの風の刃が魔鳥の翼を掠める。けど、魔鳥は落ちてこない。どうしてだ?
「あれれ?」
「わふぅ」
ダメダメ、こうするんだよ。なんて言いながらピカが鳴いた。
「わぉーん!」
すると無数の風の刃が飛び、魔鳥の大きな翼を真っ二つに切り裂いた。
「え、ぴか。どうちがうのら?」
「わふ」
ロロのは魔力が薄いんだ。と言われても、ならどうすれば良いのかな?
「わふわふ」
もっと魔力を杖に込めて振ってみて。と、ピカさん。なるほど、魔力が足らないから強度がないということかな? なら、遠慮なくいっぱい込めよう。
「むむむむ」
思わず眉を寄せてしまう。しっかり体の中に感じる魔力を、手を伝って魔法杖に込める。よし、今度こそ。
「えいやぁーッ!」
ビュンッ! と大きな刃が二つだけ飛んだ。あれれ? たくさん込めたのに数が減っているじゃないか。ピカさん、どうして?
「わふ」
見ていて。とピカが言った。俺が飛ばした大きな風の刃二つがグリングリンと回転しながら魔鳥の群れの中を一周した。
「おー! ろろ、しゅげー!」
「ロロ、なんだあれ!?」
「わからないのら!」
ボタボタと落ちてくる魔鳥。やったね、何が何だか分からないけど、とにかくやっつけたぞ。
「ロロかぁッ!?」
お祖父様が下で叫んでいる。その声に反応してレオ兄がこっちを見た。あ、バレちゃうぞ。
お読みいただき有難うございます!
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宜しくお願いします。
今日は動物病院から帰ってきて、ココちゃんのカバーイラスト公開にウホウホしてロロの投稿が遅くなってしまいました(^◇^;)
申し訳ありません!
ま、ロロはじっとしてないですよね〜
今書店様によってはハルちゃん③を平積みしてくださっているところがあります。
1日にロロ④が発売になります。
17日にココちゃんです。
もしかしたら3冊並ぶかも!?なんて期待したりして(^◇^;)
今年はココちゃんがラストになります。
もう来年発売予定の書籍化作業もしてます。
まだまだ頑張りますよ〜!
よろしくお願いいたします(*ᵕᴗᵕㅅ)
この場をお借りしてご報告を。
入院していた母が明日退院することになりました。
うちの老犬は、断脚手術のあと貧血が悪化して輸血をしました。その後、まだ自分で食べることはできませんが、安定してます。
片足がないのに歩こうとして倒れるを繰り返してます。
皆様から温かい励ましのお言葉をいただき、励まされました。また、ご心配をおかけしました。
ありがとうございました(*-ω人)




