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454/459

454ー遅くなってしまった

 みんなの温かい思いが、新鮮でとてもくすぐったいような心地良いような。


「クロエもこうして貴方たちと暮らしたかったでしょうね。幸せだったクロエとアルを見たかったわ」


 お祖母様が瞳を潤ませながらそう言った。

 俺もこんな優しい時間を母さまや父さまと一緒に過ごしたかったな。


「あ、レオ。忘れていたわね」

「姉上、何が?」

「もう、レオったら。笑いすぎて忘れちゃったんじゃない? あれよ、あれ。魔道具よ」

「ああ、そっか。ロロが元気になったらと思っていたら、色々あってうっかりしてたよ」

「レオがうっかりなんて、珍しいわね」


 何かな? 俺は何のことなのか全然分からなくてポカンとしていた。


「ロロが元気になったら、お母様の映像をお祖母様と一緒に見ましょうと言っていたの」


 ああ、だから魔道具か。あの映像が保存された魔道具、あれはお祖母様にも見てほしい。


「いいかんがえなのら!」

「そうでしょう? なのにすっかり遅くなっちゃって」

「みるのら! れおにい、はやくみよう!」

「ロロ、待って。お祖父様やみんなが一緒の方が良いだろう?」


 それもそうだ。お祖母様もその話を知っていたらしくて。


「あら、そうね。ロロが寝込んでいる時に聞いたの。ロロが元気になったらと思っていたら、魔鳥騒ぎとかあったでしょう?」


 あ、エルと俺の冒険の時だ。あれも大騒ぎになったもの。あの後、お祖父様や伯父様が大忙しだった。あの洞窟へ兵を向かわせて検証したり、各部署に伝達したり街の警備を強化したり、フリード爺の家に文を書いたりしていたらしい。

 なにより、俺がディさんを呼んだものだからそれだけでも大騒ぎだった。その後ウォルターの体を治してと、ちょっと色々やっちゃったかな?


「ロロは自覚ないよね」

「れおにい、しょんなに?」

「そうだね、ディさんには驚いたかな。ウォルターのことは、もしかしたら治しちゃうかもって実は思ってたんだ」


 そう言ってレオ兄が笑う。なんだ、予想していたのか。だって治したいじゃないか。


「チロって凄いんだね。いつも寝ているけど」

「しょうなのら」


 そうそう、いつも寝ているの。だから存在感が薄いよね。


「今日、夕食のあとにみんなで見ましょう。ね、レオ」

「はい、お祖母様」


 その夕食の時にお祖母様がおっしゃった。


「あなた、遅くなってしまいましたけど、この後あの映像を見せてもらいましょう」

「おお、色々あって遅くなってしまったな。それは楽しみだ」

「なんですか? なんの話なのですか?」


 ロッテ姉だけ遅れてきたから知らなかったらしい。俺たちの両親の映像が残っているのだとレオ兄が説明した。


「まあ! なんて素敵なんでしょう!」


 そういうロッテ姉を優しい目で見つめているレオ兄。あれれ? いつの間にかこの二人の距離が近くなってないか? 物理的な距離じゃないよ。二人の間の雰囲気が、違う気がするのは俺の思い過ごしなのかな?

 夕食の後、談話室にみんなで移動した。大家族だから人数が多いけど全員だ。エルもチョコンとソファーに座っている。それに昔から仕えているという使用人たちも集まってきた。みんな楽しみにしている。


「ピカ、出してくれる?」

「わふん」


 ピカがコロンと魔道具を出した。真ん中に宝石のような魔石がついている魔道具だ。


「良いですか? 魔力を流しますね」

「ええ。レオ、お願い」


 お祖母様が少し構えてそう言った。どんな映像が出て来るのか楽しみ半分、不安も少しあるみたいだ。

 レオ兄が魔力を流すと、何もない空間に映像が現れた。すると、おおーと声が漏れた。

 あの俺たちのお邸のお庭が映し出された。母さまが育てていた色とりどりの花が移るとお祖母様が声を上げた。


「クロエったら花を育てていたのね。クロエの好きだった花ばかりだわ」


 思わず零れてしまったといった感じで、お祖母様がそう呟いた。お祖母様の隣でお祖父様が静かにうなずいている。


「アネモネにスノードロップ、フリージア……それにネモフィラか。クロエの好きな花だ」


 伯父様も知っているらしい。懐かしそうな目をして映像を見ている。


「ラベンダーもあるわね」


 伯母様がそう言った。伯母様も母さまと会ったことあるのかな?


「何度もお会いしたことがあるのよ。私たちは早くに婚約していたから、一緒にお茶をしたことだってあるわ」


 一緒に花を育てようと話していたのに……と少し涙ぐんでいる。

 映像はゆっくりと庭を映し、そのまま庭の四阿に移動した。そこにはまだ赤ちゃんだった俺を大事そうに抱っこした母さまとまだ小さなニコ兄が移った。


「ああ……クロエ」


 見るといつの間にかお祖母様の目から涙がポロポロと流している。そのお祖母様の肩を大きな手で抱き寄せているお祖父様。お祖父様の目も懐かしそうに見ている。


「こんな小さな子たちを残して逝くのは心残りだっただろうに……」


 お祖父様が呟いた言葉が、少し震えているように思えた。両親の事故はきっとディさんが調べてくれている。普通の馬車の事故ではなかったかも知れないと言っていた。俺はよく分からないけど。


「まあ、ニコもまだ小さいわね」

「だってお祖母様、ロロがまだ赤ちゃんだからな」

「ふふふ、そうね」


 俺は覚えていない。だって赤ちゃんだったのだもの。


お読みいただき有難うございます!

応援して下さる方、続けて読んで下さる方は是非とも下部↓の☆マークで評価をして頂けると嬉しいです!

宜しくお願いします。


あの映像の魔道具です。見せないのか? と思っていた方もおられるかと思います。感想をくださった方もおられました。ああ、今それを言わないで!の気分でした。

お待たせしました?(^◇^;)

引っ張りすぎたかなぁと思いつつ、ロロの出来事を優先させたかったのでこのタイミングになりました。

さて、泣く準備はできてますか? なんて自分でハードルを上げてしまいました!( ˶°ㅁ°)ᵎᵎ

そんな大層なことにはなりません。


ロロ3巻の巻末にありましたが、4巻の発売が決まっています。初稿も作りました。

これから担当さんの鬼改稿が待ってます(||゜Д゜)ヒィィィ!

4巻も頑張ります!続刊を出せるのは購入していただけるからです。皆様のお力なのです!

ありがとうございます!

これからもロロをよろしくお願いします(*ᴗˬᴗ)


3巻好評発売中です!

挿絵(By みてみん)

コミック①もよろしくです!

挿絵(By みてみん)

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― 新着の感想 ―
で、見せようとしたら既に壊れていたとかあるのが、なろう系にあるあるでふね。わかります(やめたげて
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