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☆第6回ESN大賞W受賞☆11/4④発売☆元貴族の四兄弟はくじけない! 〜追い出されちゃったけど、おっきいもふもふと一緒に家族を守るのだ!〜  作者: 撫羽
第1章 ルルンデで生活するのら

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45ー魔魚

 もうニコ兄は、川やププーの実はそっちのけで、薬草を丁寧に根から掘り起こそうとしている。スコップを持って来ていたのだな。


「だって、折角森に行くんだ。何があるか分からないだろう? 念のため、持って来てたんだ。これ採ったら、ピカが収納しといてくれるか?」

「わふッ」

「にこにい、もちろんだって」

「おう、ありがとな!」


 薬草はニコ兄に任せよう。専門だしね。


「れおにい、おさかな」

「うん、いっぱいいるね」

「ね~」

「これなら、レオでも捕れるわよ」


 リア姉『レオ兄でも』って何だよ。レオ兄なら絶対に捕れると思うのだ。

 川の水面に、段差を登ろうと泳ぐ魚の尻尾がパシャパシャと跳ねていた。これは大漁の予感しかないのだ。

 レオ兄とマティが早速釣り竿を振り糸を川に投げ入れた。

 針先にはなにも付いていない。釣り針に餌をつけていないのだ。


「うわッ! 姉上、もう掛かりましたよ!」


 これは、残念ながらレオ兄じゃない。マティだ。


「おぉッ! 入れ食いだ!」


 これが、レオ兄だね。無事にレオ兄も釣れたらしい。


「ほら、早く締めなきゃ!」

「こっちよ!」


 リア姉とフィーネは締めて血抜きをする担当らしい。リア姉は大きなピックの様な物を、フィーネはナイフを手にして待っている。

 レオ兄とマティが釣っては、リア姉が締めてフィーネが血抜きをする。その繰り返しだ。流れ作業みたいになっているのだ。

 俺は何もする事がない。だから、もう少し川の近くに行って見てみようかな。


「ロロ、駄目よ。飛んでくるから危ないわ」

「え……」

「魚が食いつこうとして飛び跳ねるのよ」

「え……こわわ」

「わふ」


 なんて狂暴なお魚さんなのだ。だって魔魚だから仕方がない。

 ピカまで、近寄るなと言っている。うん、止めておこう。


「スゲーな! な、ロロ!」

「うん、にこにい」

「これは、ご近所にお裾分けコースだな」

「うんうん」


 それくらい、沢山釣れたのだ。


「そろそろ、お昼にしようか?」

「うん、お腹空いたぞ」

「うん、しゅいたのら」


 なにもしてないんだけど、お腹は空く。


 ――キュルルル……


 おっとぉ、お腹が鳴ってしまったのだ。


「アハハハ、ロロお腹鳴ってるぞ」

「らって、にこにい。おなかしゅいたのら」

「だな! マリーのお弁当食べようぜ」

「そうね、食べましょう。レオ」

「うん、分かった」


 レオ兄が、自分の鞄から何かを取り出した。何だ?

 俺は気になって、トコトコとそばに行って見る。


「これは魔石だよ。これを地面に置いて魔力を流すと、シールドが張られて魔物が入れなくなるんだ」

「おぉー!」


 そんなものがあるのか? とってもファンタジーなのだ。いやいや、魔獣や魔魚がいる時点でファンタジーなんだけど。

 しゃがんで魔石を地面に置いているレオ兄に、ピトッとくっついて俺も一緒に見る。

 レオ兄が取り出したのは、薄っすらと黄色くて菱形にカットされた魔石だ。俺の手より少し大きい。それを皆がお弁当を広げている場所を、四角に囲むように地面に4つ置いた。

 そして、レオ兄が魔力を流す。あら、不思議。て、なんにも見えないぞ。空中を見るけど、なにも変わってないのだ。


「大丈夫だよ。ちゃんとシールドが展開されているから」

「しゅごい。れおにい、これちゅくれない?」

「え? ロロ、魔石に付与するのかい?」

「ふ、ふよ? わかんない」


 魔石は、ダンジョンで魔物を倒したら出て来る。死体がダンジョンに吸収され消えて、代わりに魔石がポコンと何もない空間から出て来るらしい。俺は知らないけど。

 その魔石に、シールドの効果を付与した物をレオ兄が持っているんだ。

 そっか、付与か。ディさんが、俺は付与ができると言っていたぞ。できるんじゃないか?


「どうだろうね~。ロロはまだちびっ子だからね」

「しょう?」

「うん、もっと大きくなってからじゃないかな? さ、お弁当を食べよう」

「うん」


 ん~、ディさんに聞きたいなぁ。もしできたら、良い収入になるのではないか?


「ロロ、手を出して」

「あい」

「クリーン」

「ありがと」


 そうか、これも魔法なのだ。俺はまだ自分でクリーンさえもしたことがないぞ。いつも、レオ兄やマリーにしてもらう。

 『クリーン』というのは、ごく僅かな魔力で使える手や体を綺麗にできる魔法だ。

 この世界では、生活魔法と呼ばれていて汎用性の高い魔法なのだ。

 便利で衛生的なので、国も使用を推奨しているそうだ。俺は使った事ないけど。


「れおにい、ボクもくりーんできる?」

「ん? できるんじゃないかな」

「しょっか」


 よし、家に帰ったら特訓なのだ。


「わふ」

「ぴか、あい。ちろ、ごはんらよ」


 ピカにマリーの作った大きなサンドイッチをあげる。マリーのサンドイッチはいつも大きいのだ。大雑把だから。

 パンをザックリと大きく切ってあって、中に挟んである具も大きいのだ。

 俺なんて、1個食べたらお腹いっぱいになってしまう。色んな具が食べたいのに。


「ちろ」

「キュルン」

「あい」

「キュ」


 チロには胸肉を薄く切って茹でたものだ。ブチッて嚙みちぎって食べる。ちょっと、野性的なのだ。

 お弁当を食べたら、今度はププーの実だ。

 たわわに生っているぞ。美味しそうな甘い匂いをさせているのだ。


お読みいただき有難うございます。

誤字報告も有難うございます。助かります。

宜しければ、評価やブクマをして頂けると嬉しいです。

宜しくお願いします!

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