表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

425/425

425ー怖かった

 そんなことを考えていられるのは、ピカが俺たちを庇ってくれているからだ。

 俺たちに攻撃が当たらないように体で庇ってくれているし、魔法の風を飛ばして魔鳥の落下地点を変えている。

 でもそのせいで、なかなか攻撃できないでいる。

 これは、ジリ貧というのではないか? どうする? 魔法杖なしで魔法を使ってみるか?

 ピンチなのだ。まさかこんな場所で魔鳥の攻撃に遭うなんて。

 ピカは俺たち二人を体で庇いながら攻撃するけど、魔鳥は次から次へと突撃してくる。その内、魔鳥がピカの体を掠めだした。


「ぴか!」

「わふッ!」


 大丈夫、僕が落としてみんなが攻撃するからやっつけられるよ。ピカはそう言うけれど。ピカのピカピカしたプラチナブロンドの体毛に、真っ赤なものが滲んできた。

 大丈夫かも知れないけど、ピカが傷付くのは嫌だ。

 ああ、俺たちはとっても足手まといではないか。どうしよう、考えろ。何か良い手はないか?

 俺は必死で考えた。どうしたらいい? 頭の中が爆発しそうなくらいに、フル回転して色んなことが浮かび駆け巡る。


「えっちょぉ……えっちょぉ……あぁッ! しょうら!」


 そこで俺は思い出した。ピコンと一つの言葉が頭の中で閃いたのだ。これぞ天啓! それくらいの気持ちだ。


『もしも、僕の助けが必要になったら、アミュレットを握りながら思うんだ。ディさん、助けてって』


 俺にそう言いながら、バシコーンとウインクをするディさんのキラキラとしたお顔が浮かんだ。


「しょうら! あみゅ、あみゅれっちょ」

「ロロ、なんら!?」


 ゴソゴソと服の中からアミュレットを引っ張り出して、ギュッと両手で握る。


「でぃしゃん、でぃしゃん! たしゅけてぇッ!」


 俺はそう大きな声でディさんを呼んだ。

 ブワッと風が吹いたかと思ったら目の前の空間がグニャリと歪み、次の瞬間にはそこにディさんが立っていた。キラッキラでサラッサラの長いグリーンブロンドの髪を靡かせて、ヒーローの登場シーンみたいだ。

 ディさんのエメラルドの宝石のような綺麗な瞳が、驚きで大きく見開いている。


「ロロ! どうしたの!?」

「でぃしゃん! ぴかをたしゅけて!」


 ディさんがその場の状況をすぐに理解し、ニコリと微笑んだ。


「ロロ、よくアミュレットを思い出したね。このディさんに任せなさい!」

「でぃしゃん!」


 おおー! かっちょいい! なんて頼もしいのだ! ディさんは慌てもしないで、俺たちを庇っているピカの隣に立った。そして、ピカの首筋を撫でた。


「ピカ、よく守ってくれた」

「わふん」


 守るのは当然だよ。でも、なかなか攻撃できなくてごめん。なんて、俺たちを庇っているからなのにピカさんったら。


「もう大丈夫だ。僕に任せて」


 そう言うと、ディさんはスッと片手を掲げた。それだけだ。魔法杖も持っていないし、詠唱もしていない。

 ただ手を掲げただけで、ディさんの周りに風が巻き起こり長い髪がフワリと舞い、襲ってきていた魔鳥目掛けて無数の風の刃が一斉に飛んだ。

 それはまるで意思を持っているかのように、魔鳥を切り裂き上空で待機していた魔鳥にまで襲い掛かる。

 空中に魔鳥の羽根が舞い散る様が、まるで映画のワンシーンか何かのように見えた。

 そして、ボトボトと落ちてくる魔鳥。一体何羽いたのだろう? 数十羽の魔鳥が次々と落ちてくる。

 落ちてもまだ動こうとしている魔鳥には、当然のようにリーダーたちとプチゴーレムがしっかり蹴りを入れてやっつけていた。


「もう大丈夫だよ」


 そう言いながら微笑むディさんを見た途端に、俺は安心してドバーッと涙が出てしまった。

 汗なのか涙なのか分からない。顔をクシャクシャにして泣きながら、ディさんに抱きついた。


「でぃしゃん……でぃしゃん! あ、あ、ありがと! ピカ! ごめんなのら! ええーん! うわぁーん!」

「ろろー! なくなよ! ええーん!」

「おやおや、二人とも怖かったね」

「わふん」


 ディさんに抱き着いて泣いてしまった俺に、ピカが体を擦り付けてくる。エルも俺の腕を掴みながら泣いている。

 エルは怖かったのだ。俺だって怖かった。魔鳥が怖いのではなくて、エルやピカに何かあったらと思うと怖くて仕方がなかった。


「二人とも、もう大丈夫だよ」

「うぇッ……うん、でぃしゃん」

「ろろー!」

「える、もうらいじょぶなのら……ぐしゅ」

「ぼ、ぼく……ろろがけが(怪我)したら、ろーしようって! ごめんー! ええーん!」


 ディさんが背中を優しく擦りながら、俺たち二人をそっと抱きしめてくれた。

 思い出して良かった。本当によく思い出したよ。ディさんの温かい体温がとっても安心する。

 自分でも気付いていなかったのだけど、身体が強張って緊張していた。当然だ、とってもピンチだったのだから。俺たちを庇わなければ、ピカだって魔鳥なんか瞬殺だっただろうに。ピカもごめんね。


「落ち着いたかな? それでロロと君は二人だけで、どうしてこんな場所にいるのかな?」


 ニッコリとして優しい口調だけど、ちょっぴりディさんの蟀谷がピキッと音をたてた気がした。しかも眼が笑っていない。これは怒っているぞ。


お読みいただき有難うございます!

応援して下さる方、続けて読んで下さる方は是非とも下部↓の☆マークで評価をして頂けると嬉しいです!

宜しくお願いします。


ディさんの登場は予想されていた方もいらしたのですが、やっぱり登場しました!

だってディさん人気者なので。


今週は締切が迫ってまして(^◇^;)

明日の投稿はお休みさせていただきます!

申し訳ありません(*>ㅅ<)՞՞

挿絵(By みてみん)

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
♪ディさんや、ディさん~ ♪優しささえ忘れ、時を越えて海を越えてやってきた、守りエルフ~ (モ○ラの歌に合わせて歌おう!) さて、怒られることは確定しましたが、魔鳥を使役する側をピンチにするチャ…
さすがでぃしゃん!よかった~! 泣いちゃったちびっ子ふたり。これは怒られるぞう~(*´▽`*)
いつも楽しく読ませていただいてます! ディさんカッチョい〜(⌒▽⌒) 頑張って下さい。 更新楽しみに来ています。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ