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41ー武官家系

 お付きの人が出してきた袋にはお金が入っているらしい。


「お礼の気持ちです。受け取って下さい」

「いえ、僕達はギルマスからもうポーションの代金はもらっているので」

「命を助けてもらったのだもの。これ位じゃあ、お礼にもならないわ。どうか、受け取ってちょうだい」

「姉上、どうする?」

「いいんじゃない? 受け取らない方が失礼になるんでしょう?」

「そうだぞ、貰っとけ。本当にロロが、ポーションを持っていなかったら危なかったんだ」


 ギルマスもそう言う。そんなに酷い怪我だったんだ。

 でも、もう元気そうだね。良かった良かった。


「じゃあ、遠慮なく」


 レオ兄が、袋に入ったお金を貰った。うん、良い臨時収入なのだ。

 ピカにお肉を買ってあげたい。お利口にお留守番してるかなぁ? 今日はチロと一緒にお留守番なのだ。出てくる時に、ちょっぴり拗ねていたのだ。


「え? マジで? お留守番なの? なんなら乗せて行くよ?」


 て、顔をしていたのだ。


「本当に助かったわ。よくあんなに効果の高いポーションを持っていたわね」

「ああ、あれはこのロロがいつも持っているんです。まだ転けたりするから……」

「な、なんですって!? 転けた時に使うの!?」

「アハハハ! あのポーションはレオとロロが作ったものなんだ」

「「えッ!?」」

「姉上……驚きました」

「本当だわ」


 目をまん丸にして、驚いている。え? そんなに珍しい事なのか?

 俺はレオ兄に教わって作っているだけなのだ。もしかして、他の人はポーションを作らないのか?


「まだあと1人弟がいるんです。その弟が薬草を育てているので、買うより作る方がお金が掛からないんですよ。それだけです」


 なるほど、他の人達は買うんだ。ほぉ〜。薬草さえあれば作れるのに。て、違う? 作れない人もいるのかな?


「ロロ、普通は買うんだよ。薬草があっても作れない人の方が多いんだ」


 そうなのか。知らなかったのだ。俺は作れて良かったのだ。リア姉とレオ兄の役に立てる。


「普通じゃないわね、マティ」

「はい、姉上。だって中級ポーションだと聞きました」

「中級なのは鑑定済みだぞ。エルフのディディエ・サルトゥルスルが鑑定したから確実だ」

「あのサルトゥルスル様が!?」

「ああ、そうだ」


 さ、さ、さるとぅ……言い難い。ディさんでいいや。

 ディさんのお墨付きなのだ。材料の薬草なんて、ディさんが頬擦りする勢いだったぞ。


「ふふふん」

「ぶふッ」


 またギルマスが吹き出している。何故に?


「ロロ、ちょっと自慢気だね」

「らって、れおにい。でぃしゃんがしゅごいっていってた」

「うん、そうだね。ロロ、凄いね」

「えへへ〜」


 俺は益々得意気でニッコニコだ。ちょっと足をぷらんぷらんして体を揺らしちゃうよ。


「……か、か……」

「姉上、何です?」

「可愛い……!」


 お? ちびっ子は周りにいないのか? 珍しいのかもね。


「アハハハ! ロロ、可愛いってよ!」

「ぎるます、なんれわらうんら?」


 思わずほっぺを膨らましてしまうぞ。


「いやいや、すまんな。微笑ましいじゃねーか」

「まさか、こんなに小さな子が作っていたなんて」

「本当に、驚きだわ。ロロは何歳かしら?」

「ん、3しゃいら」


 むむむ、と指を3本立てる。知ってるか? 指を3本立てるのって難しいのだよ。


「偉いわね〜」

「失礼ですけど、まだEランクだと聞きました」


 横に座っているリア姉が、ちょっと厳しい声で聞いた。そうだ、無茶をするから大怪我をするのだぞ。それは、メッ! なのだ。


「ええ、そうよ」

「Eランクでダンジョン攻略なんて無茶です。そんなのポーションが何本あったって足りません」

「ええ、無謀だったと反省しているわ。どうしても学園を卒業するまでに攻略したかったの」

「姉上……」


 2人の話だと、やはりお家の方針らしい。武官家系だから、学生時代にダンジョンに潜るのは当然なのだそうだ。

 でも、必ず攻略しないといけない訳じゃない。学生に誰もそこまで望んではいないのだ。


「学園がお休みの時しか来られないし……それに、学園を卒業したら婚姻するの。婚姻したら、もう剣なんて持てないもの。今のうちにと思ったのよ」

「だからって……」

「そうね、本当に反省しているわ」


 もしかして、お姉さんは婚姻したくないのかな? て、思ったのだ。

 お姉さん達の家、所謂武官家系。

 この街を守ってくれているのは、領主様が管理している衛兵さんといわれる人達だ。庶民の人達が多い。

 衛兵でもトップで纏める人とかだと、下級貴族だったりするらしい。

 貴族の武官家系というのは、この国の王様が頂点の騎士団や近衛兵に代々仕官している貴族の事をいうそうだ。

 お姉さん達の親もそうだ。父親が騎士団の団長さんらしい。

 騎士団といってもこの国には3つある。

 第1騎士団から第3騎士団まで。その3つを纏める総団長と総副団長が上にいるらしい。3つの騎士団には役割があるのだそうだけど、俺は詳しい事は知らない。

 その1つの騎士団で、代々団長さんを拝命しているそうなのだ。


「兄は騎士団に入っています。だから、僕も学園を卒業したら騎士団の入団試験を受けるのです」

「私は女だから……」

「お家同士の結びつきや、利益の為の婚姻なのね?」

「そうなの。だからといって、嫌いな人でもないし真面目で優しいとっても良い人なのよ。でも……」


 でも? なにやら不満があるのだろうか?


お読みいただき有難うございます。

ポーションの作り方です。

ロロくんは、現在ゴリゴリすり潰して作ってます。

ハルちゃんは、魔法で一気に成分を抽出しています。

この作り方の差が、薬師と錬金術の違いなのだと、つい昨日知りました。^^;

いや、ハルの作り方も錬金術とは少し違うかも?

エルフ特有の作り方という事で。

リリは完璧に錬金術ですね。

宜しければ、評価やブクマをして頂けると嬉しいです。

宜しくお願いします!


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