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☆第6回ESN大賞W受賞☆11/4④発売☆元貴族の四兄弟はくじけない! 〜追い出されちゃったけど、おっきいもふもふと一緒に家族を守るのだ!〜  作者: 撫羽
第1章 ルルンデで生活するのら

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40ー姉弟

「ロロ、僕達の両親はそんな事を言わない人だったよ」

「しょう……」


 そうなのか。俺は全然覚えていないのだ。


「穏やかで優しい人だったよ。武官じゃなかったしね」


 そんな話をしていたら、おねえさんがポーションの代金を持って来てくれた。

 だから、有り難く頂いて帰ったのだ。

 途中から、俺はピカやチロと一緒にクッキーに夢中だったのだ。


「ロロ、抱っこしましょう!」

「りあねえ、あるくのら」

「えぇー! いいじゃないぃー!」


 もう、リア姉は外でも何処でもほっぺにスリスリするから恥ずかしいのだ。


「あ、れおにい。お肉ある?」

「兎じゃないけどね。あるよ」


 手に持っていた大きな袋を見せる。きっと、夕食用に態々狩ってきてくれたのだ。


「今日は鳥だよ。僕が弓で仕留めたんだ」


 おぉー、レオ兄はやっぱ弓が上手なのだな。


「まあまあ、モモ肉をソテーしましょうね」

「うん」

「美味しそう! お腹空いてきちゃったわ」


 リア姉はきっとモモ肉のソテーを想像しちゃったのだ。


「わふぅ」


 あ、ピカも想像したらしい。

 みんなで家に帰ったら、もうニコ兄とユーリアが戻っていた。


「誰もいないから心配したぞ」

「あらあら、すぐにご飯にしますね」

「ロロ、寄り道してたのか?」

「ぎるますによばれてたのら」

「またギルマスなのか?」


 レオ兄がニコ兄に少し話した。


「ちょっと用事があったんだよ。急に必要になったみたいでね、ポーションを売ったんだ」

「へぇ〜。じゃあ良い小遣いになったな!」

「うん」


 怪我人の事は言わなかった。余計な心配かけちゃいそうだし。


「おばあちゃん、手伝うわ」

「はいはい、ありがとうね」


 マリーとユーリアが夕食の準備を始めた。 俺もマリーを手伝う。

 鳥肉はマリーに任せて、俺はお野菜を洗ったりしている。

 サラダを作るのだ。ちゃんと盛り付けて、ニコ兄が育てたプチトマトものっけて。マリー特製の、玉ねぎを磨り下ろしたのが入っているドレッシングをかける。

 あとはパンだ。少し温めよう。そしたらフワフワになるから。

 ピカが自分のお皿を出してきて、その前でお座りをして尻尾を振っている。スタンバイオッケーだ。余程お腹が空いてたのだね。


「はいはい、お待たせしました。皆で食べましょうね」

「ピカ、おまたしぇ」

「わふッ」


 ピカは豪快に骨付きのお肉だ。チロには、たんぱくな胸肉を薄くスライスしてある。


「ちろ」

「キュル」


 ブチッて噛みちぎって食べる。小さいのに、ワイルドなのだ。


「ロロ、食べよう」

「うん、れおにい」


 バターでソテーして、塩で味付けただけなのに美味しい。ナイフで切ったら、透明な肉汁が溢れてくる。パクッと食べる。


「うまうま」

「な、うまいな」

「にこにいの、プチトマトめちゃあまい」

「そうだろー。美味いよな」

「うん。きゅうりもシャキシャキら」

「そうだろそうだろ。ディさんが超美味いって言ってたからな」

「うん、うまうま」


 みんなで食べる夕食は美味しかった。


 怪我人騒動から数日して、俺とピカはまたギルマスに呼ばれた。

 だから、レオ兄とリア姉も一緒にギルドまで来ている。前に案内された、2階にあるギルマスの部屋だ。


「おう! 度々すまねーな!」


 1番奥にある大きなデスクから、ギルマスは声を掛けてきた。

 テーブル席には、先客がいたのだ。

 女の人と、男の人。2人共顔が似ている。髪色も一緒だ。サラッサラで艶々な、くるみ色の髪だ。

 女の人はそのまま下ろしていて、カチューシャみたいにリボンを結んでいる。男の人は、後ろで一つに結んでいる。

 でも、冒険者って服装じゃない。貴族らしい格好をしている。

 2人の後ろにはお付きの人が立っていた。


「覚えてねーか。ポーションを使った2人だ」

「あー……」


 あの血が沢山出ていた人だ。綺麗な淡いブルーの瞳だったのだな。


「ロロ、こっちに来なさい」

「りあねえ」

「大丈夫だよ、ロロ」

「うん」


 待っていた2人が、とっても真剣な顔をしているから俺はちょっぴり緊張してしまったのだ。


「紹介しよう。こっちから、レオ、ロロ、リアだ。あのポーションはロロが持っていたんだ」

「あい、こんちは〜」


 と、ペコリとする。いつもは、手をふりふりするのだけど、今日はそんな空気でもないからペコリとした。俺なりに考えているのだよ。

 なのにどうしてなのだ? なんか俺、場違いな感じなのかな? 部屋に案内してくれたギルドのお姉さんが肩を振るわせて笑いを堪えているのだ。


「ぶはッ!」


 ギルマスも吹き出しているのだ。何故に? 挨拶をしただけなのに。

 先に来ていた女の人が、セラフィーネ・アウグストと、その弟でマティアス・アウグストさん。

 姉弟で、ダンジョンに挑んでいたのだね。王都側にある隣領の領主、伯爵家の長女と次男らしい。

 ギルマスが話していたように、この休み中にダンジョンを攻略しようとして先を焦ったのだって。


「あなた方がポーションを下さったのね?」

「はい」

「本当に有難う。あのポーションが無ければ私達は今頃生きていなかったわ」

「有難う」


 とってもしっかりと頭を下げられた。どうやら、悪い人達じゃなさそうなのだ。

 同じ伯爵家の令嬢でも、あの迷惑令嬢とは大違いなのだ。

 後ろに控えていたお付きの人が袋を出してきた。そして姉のセラフィーネさんが、ズズイと俺達の方へ出してきたのだ。


お読みいただき有難うございます。

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