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☆第6回ESN大賞W受賞☆④発売中☆元貴族の四兄弟はくじけない! 〜追い出されちゃったけど、おっきいもふもふと一緒に家族を守るのだ!〜  作者: 撫羽
第1章 ルルンデで生活するのら

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34ー貴族嫌い(レオ視点)

 クエストを終えて姉上と一緒にギルドに帰ってきたら、ギルマスが大きな声で僕達を呼んだ。どうしたのかと姉上と驚いたんだ。


「今日、ピカが狙われたんだ」

「ピカが!?」

「レオ、早く帰りましょう!」

「まあ待て。ディが家にいてくれているから安心だ」


 ディってあのエルフのディさんが? どうしてそんな事になっているんだ?

 ギルマスから一部始終を聞いてまた驚いた。


「信じらんないわ!」

「姉上、落ち着いて」

「これが落ち着いていられるかっていうのよ!」


 姉上はもう座っていたソファーから立ち上がっている。


 僕達が家を追い出されてから、姉は貴族が嫌いになった。自分だって貴族だったのに。まあ、無理もないんだけど。

 姉には幼い頃に、相手の家から望まれて婚約した婚約者がいた。同じ伯爵家だったから、家格も同じで領地も近かった。

 幼い頃に一緒に遊んだ事もあり、相手が望んで決まった婚約だった。

 それが、僕達が家を追い出されると手のひらを反して婚約を解消してきたんだ。

 僕達が貴族簿を見たいと頼んだ時も、全く相手にしてくれなかった。

 それだけじゃない。姉上に愛人になれと迫ってきたんだ。そうしたら養ってやると。


「お前達はもう平民なんだろう?」


 と、言われたんだ。あの時の姉上の顔は忘れられない。どれだけ悔しかった事だろう。

 それを、姉上は我慢した。文句を言わず、黙って我慢したんだ。

 一切を表情に出す事なく、背筋を伸ばし毅然とした態度を通したんだ。

 姉上のあんな表情を見たのは初めてだった。『凛とした』という表現がこれほど似合う人がいるのかと思った。

 元婚約者だけじゃない。学園で仲の良かった人達も、蔑んだ目で僕達を見ていた。

 あれからだ。姉上が貴族を毛嫌いするようになったのは。

 両親が生きていた頃は、多少お転婆でも令嬢らしくしようとしていたんだと思う。

 それが、一気に吹っ切れたのだろう。

 ある日突然、僕に聞いてきたんだ。


「レオ、どこか働く当てはあるの?」

「別にないけど。どこか探さなきゃ」

「じゃあ、一緒に冒険者にならない? 私達ならいけると思うのよ!」


 と、言い出したんだ。しかも、目をキラキラさせながらだ。


「だって私達は、幼い頃からお父様に剣や槍を教わっていたじゃない。絶対に大丈夫だと思うのよ!」


 その目を見て、もう姉を止められないと思った。こうなったら姉のそばで守るしかないと、僕も心を決めたんだ。

 結局、冒険者は姉の性格にも合っていたんだと思う。2人して冒険者登録する為の簡単な実技試験も難なくパスした。

 この試験にパスしなくても冒険者にはなれる。でも、ランクアップは望めないんだ。

 ギルドが定める、最低限の実力がないと駄目だという事だ。

 僕達は直ぐに頭角を現し、あっという間にDランクまで昇格した。僕がフォローしているけどね。

 それからは、クエストを受けるのもゆっくりペースになった。いや、そうしたんだ。でないと、姉はとことん突っ込んで行く。

 いつか、命が危なくなる様な場面にも出会すだろう。ランクが上がると、危険度も上がる。そう思って、セーブしたんだ。

 最近、漸く良いペースになったと思っていたらこんなトラブルだ。

 まさか、ピカが目を付けられるなんて思いもしなかった。

 

「あのバザーで、目を付けられたのが駄目だったんだろうね」

「レオ、何冷静に分析してんのよ! そんな事関係ないわよ! 人の物を取ったら駄目なの! そんな事も分からないの!?」

「まあまあ、リア。落ち着け。今回は証拠がある。実行犯も捕まえている。領主様に抗議するさ」

「抗議!? 抗議だけなの!?」

「いや、だからな。相手は領主様だぞ」

「そんな事関係ないわよ!」


 そうだ。姉上の言う通りだ。領主だからと言って許せる事じゃない。

 ギルマスは僕と姉上に、宥めるかの様に言った。

 でもギルマスだって納得していない表情をしている。苦虫を噛み潰したような表情をしているんだ。


「リア、レオ、悪い様にはしねーって」

「本当?」

「ああ。だから任せな」

「ギルマス、頼みます」

「おう、レオ。任せとけ」


 領主様のご令嬢なんだ。今すぐ罪に問うことは難しい事なのだろう。

 実際にあんな事を子供が考えるとは思えない。人を雇っているんだ。そんな事、いくら令嬢でも子供には無理だろうと思う。

 しかし、よくギルマスを頼ろうと思いついたものだ。それに、都合よくディさんが居たんだ。

 これは、とてもラッキーな事だ。ロロの判断も良かった。

 ロロはやはり、ただの3歳児じゃないな。なんて思ったんだ。


 姉上と2人で急いで家に帰る。走りながらも姉上はまだ怒っている。怒り心頭だ。頭の天辺からプシューッと蒸気が出そうなくらいだ。

 それから家までダッシュだよ。


「レオ! 早く帰るのよ!」

「姉上、大丈夫だよ。ディさんもいてくれる」

「そんなの関係ないのよ!」


 ああ、もう姉上は。何にでも一生懸命なんだ。特に、俺達兄弟の事になると全力なんだ。

 でも、本当にこのタイミングは何だろう?

 ロロがギルマスと会って、ディさんとも初めて会って、それから直ぐだ。それ以前だったら、俺達が帰るまで待つしかなかっただろう。

 やはり、守られているのかと思ってしまう。

 偶々ディさんがいたというのも、超ラッキーだ。あの人なら信用できる。それに何より強いんだ。

 ディさんは俺達が登録しているギルドで唯一のSSランク冒険者なんだ。

 とんでもない強さだよ。エルフは違うんだな。


お読みいただき有難うございます。

宜しければ、評価やブクマもして頂けると嬉しいです!

宜しくお願いします!

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