287ー遊びになら
俺は良い。末っ子だし、レオ兄達が頼りになる。でも、リア姉やレオ兄はどうなんだ? 頼れる大人がいるのか?
今はディさんがいてくれるから大分違うだろう。
それまでは、どうだったのだろう?
マリーやドルフ爺くらいしか思い当たらない。リア姉やレオ兄だってまだ子供なのに。
だから、お祖父様達の様な存在がいる方が良いと思うのだ。
「れもなぁ~」
俺は腕を組み、手を顎に持っていき考える。いつものポーズなのだ。
「ロロ、どうしたの?」
「らってでぃしゃん、ふぉーちゃんたちと、いっちーたちなのら」
「ああ、そうだね。アハハハ」
またディさんが笑っている。
笑い事ではないのだ。お墓参りの時だって、あの子達はついて行くと言って聞かなかった。結局連れて行ったのだけど。
「ロロ、どうした?」
「ておしゃん、ふぉーちゃんたちと、いっちーたちもいっしょれもいい?」
「ん? ああ、あの子達か? 一緒がいいのか?」
「きっと、いっしょにいくっていうのら」
プチゴーレム達は必ずなのだ。だって俺の魔力が必要なのだから。
「僕が代わりに魔力を提供できるよ?」
「え? でぃしゃん、しょうなの?」
「うん、でも一緒に行くって言うだろうね。ロロが親だから」
そうか、俺がコネコネして作ったから。
でもディさんの魔力でも大丈夫なら、安心だ。俺がいなくなったら、どうするのだろうと思っていたのだ。
「でぃしゃん、いろいろおねがいなのら」
「ロロ、まだちびっ子なのに、そんな事考えなくていいよ」
「うん」
悲しそうな顔をしないでほしい。これは危機管理みたいなものなのだ。魔法杖と一緒だ。
どうしたって、ディさんより俺の方が先に寿命がくるのは仕方ないのだ。
だってディさんは、長命種のエルフさんなのだから。
「みんな一緒に来ると良い。きっとお祖父様達も驚くぞ! アハハハ」
「テオ様、楽しんでいませんか?」
「ジル、だって楽しみだろう? きっと目を大きくして驚くぞ」
「確かに」
ええ、そんな感じでも良いのか? 良いなら俺は助かるのだけど。
この日リア姉とレオ兄が帰って来て、一緒に夕ご飯を食べている時に早速テオさんがお話をした。
「遊びにですか?」
「ロロはいいの?」
「うん、いいのら」
リア姉とレオ兄はテオさんの話を聞いて、先ず俺の顔を見たのだ。
俺の気持ちを最優先してくれる。それがとっても分かるのだ。
いつもそうなのだ。俺の気持ちを考えて、無理をしない様にと考えてくれる。
「ずっとじゃない。先ずはお祖父様とお祖母さまに顔を見せてやってくれないか? 本当に心配しているんだ」
「僕達はロロとニコが良いなら、構いませんよ」
「そうか!」
「にこにい、いいの?」
「ん? おう、いいぞ。ロロがいいなら俺は構わないぞ」
また、ニコ兄も俺の気持ちを優先してくれる。俺の兄達はなんでこんなに優しいのだろう。
ちょっぴりウルウルしちゃったのだ。
「ロロ、また泣くなよ」
「にこにい、なかないのら」
「ニコ、またって何なのよ?」
「いや、なんでもねーよ」
不味い、リア姉にバレたら面倒なのだ。
ウルウルを頑張って引っ込めて、俺は夕ご飯を食べる。
「わふん」
「うん、ぴかもいっしょらよ」
「キュルン」
「もちろん、チロもいっしょなのら」
ピカとチロも一緒に行くと言ってきた。当然だ。ピカとチロとは離れないのだ。
ピカとチロは良いのだよ。ギリ、ワンちゃんと蛇さんで通る。え、通る?
それよりも問題は、フォーちゃん達とプチゴーレム達なのだ。 明らかに普通じゃない。
「ロロ、どうするんだい?」
「きっとまた付いて来るって言うわよ」
「しょうなのら」
「ああ、フォリコッコの子供達とゴーレムだろう? 聞いたよ。みんな一緒に来ると良い」
「良いんですか? あの子達は普通じゃないと思うんですが」
「アハハハ! 普通じゃないって分かってんのか?」
「そりゃそうですよ、だってフォリコッコは魔物ですし」
「レオ、それよりイッチー達よ。普通は動かないもの」
「姉上、そうなんだよね」
「アハハハ! いいさ、楽しいじゃないか!」
ね、テオさんもう楽しんじゃっているのだ。
と、言う事でテオさん達が帰る時に、一緒に行く事になった。
隣領へのお墓参りでも遠いと思ったのに、今度はお隣の国なのだ。もっと遠い。長い馬車の旅になるだろう。俺のもちもちお尻がもつかなぁ。
「明日、ギルドに行って手紙を出してくるよ。その返事が来てからだ」
「そうだね、ギルドには一緒に行こう。その時に相談しよう」
ディさん、何を相談するのだろう?
もしかして、ディさんも一緒に行くのかな? そうだと楽しいのにな。
「僕は長期間、ルルンデの街を離れる事はできないんだ」
なんですと? 離れられない? でもディさんはエルフさんだからいつかは帰るのだろう?
「まあ、そうなんだけど。今はね」
よく分からないのだ。あれ、もしかしてお祭りの夜にやっていた事と関係あるのかな?
川に行った時に魔法杖を使って、結界を補強したと話していた。
あれはディさんにしかできない事なのだろう?
「ふふふ、ロロはお利口だね」
優しい目をして俺の頭を撫でてくれる。俺は夕ご飯のお肉で、ほっぺを膨らませながらモグモグとしている。ちょっぴりタコさんのお口になっている。