244ールルウィン祭 8
ララちゃんと一緒にフルーツジュースを飲む。冷たくて美味しいのだ。
「おいしいの」
「おいしいのら」
ふぅ~、ちょっと落ち着いたのだ。今日は朝から初めての事ばかりで、ずっとワクワクドキドキしていた。
ずっと楽しい。こんな日もあるのだ。お祭りだからね。
『うまいルルンデ』の中は、いつもと少し違った。いつもは、冒険者だろう人達が多いのだけど、今日はお祭りにやって来た人達が多い。他の街からも来ているのだろう。
そして『うまいルルンデ』の中にもお花が沢山あったのだ。
「にこにい、おはながいっぱいなのら」
「な、上手に咲かせているよな」
どこで育てていたのだろう? 裏にはお馬さんとコッコちゃんがいるし。
「裏の奥だよ。もっと奥があるんだ」
「しょうなのら」
ディさんは何でもよく知っているなぁ。この街の事で、知らない事がないのではなかと思うくらいだ。
「ロロ、飲んだら帰ろう」
「うん、れおにい」
「ちょっと待って。僕食べてしまうから」
ディさんが慌てて特盛サラダを食べる。うちでユックリ食べれば良かったのに。
「もちろん、ロロの家でも食べるよ」
そうなのか。好きにすれば良いのだ。それより、ドルフ爺とセルマ婆さんはどうしたのだろう?
姿を見なかったのだ。広場でダンスが始まるまでは一緒にいたのだけど。
「先に帰っているよ」
「いちゅのまに?」
「パレードを見たら、帰るって言ってたよ」
「ろろのおうちにいくの?」
「しょうらよ。いっしょにいくのら」
「うん」
ふふふ、可愛い。何度も言うけど、可愛いのだ。
小さくてフワフワしていて、リア姉とは違う女の子なのだ。お手々を繋ぐ時だって、リア姉みたいにガシッとは繋がない。
貴族の女の子。リア姉も父様と母様が生きていたら、きっとこんな綺麗なお洋服を着ていたのだろう。毎日剣を持って出かけたりする事もなかっただろう。
お転婆だと叱られたりしたのかな?
俺はどうだったのだろう。
全然覚えていないから、想像もできないや。
それから、家までゆっくりと歩いた。
帰りは少し疲れて、ピカに乗せてもらった。
「ららものるのよ」
「ララ、父様が抱っこしているだろう」
「らって、ぴかちゃんかっこいいの」
「ロロ、ララも乗って大丈夫かな?」
「らいじょぶなのら。ボクがしゃしゃえているのら」
「そうかい? じゃあ、頼んだよ」
ララちゃんを俺の前に乗せる。もうララちゃんも慣れたものだ。
何も言わなくても、ピカの手綱を握っている。
その後ろから、手を回して手綱を持ち体で支える。
「ろろ、ありがとう。ぴかちゃんもね」
「いいのら」
「わふん」
ピカがいつもより揺れないように、気を付けて歩いてくれているのが分かる。ピカさん、優しいね。
尻尾が大きく揺れている。ピカもかっこいいと言われて、ご機嫌らしい。
「お利口な犬だな」
「ちがうのら。ふぇんりるなのら」
「え!?」
「ロロ、それは秘密だろう?」
「あ、ひみちゅなのら」
よし、秘密だと言ったからこれで大丈夫だ。
「アハハハ、秘密なのか?」
「しょうなのら。ちろもひみちゅなのら」
「チロ?」
「ロロ、だから秘密だって」
「あ、れおにい。わしゅれちゃうのら」
「アハハハ! 可愛いな!」
頭を大きな手でグリグリされてしまった。
知らない大人の手だ。でも優しいと思ったのだ。
「とーしゃま、ひみちゅらって」
「ああ、ララ。秘密だ」
「かえったら、かーしゃまにも、おはなししゅるのよ」
「ララ、それなら秘密にならないぞ」
「しょうなの?」
そうそう、でもララちゃんのお母さんなら大丈夫だと思う。今日は一緒じゃないのだね。
「かーしゃまは、あかちゃんがいるのよ」
「へー、あかちゃん?」
「しょうなのよ。おなかがおおきいの」
まだ生まれていないという事なのかな?
「もうすぐララはお姉さんになるんだ」
「なるのよ、おねえしゃんなの」
ララちゃんのお母さんは、今お腹に赤ちゃんがいるそうだ。なら、こんな人混みの中は危ない。
だから今日はお留守番なのだそうだ。
去年は一緒に来ていたらしい。
いつか会えるといいな。どんなお母さんなのだろう。ララちゃんに似ているのかな?
「あかちゃん、たのしみなの」
「ほんとらね」
俺が生まれてくる時も、楽しみにしてくれたのかな? なんて、少し考えた。
「ロロが生まれてくる時も楽しみだったよ。早くロロに会いたかった」
レオ兄は鑑定眼で、俺の心も見えるのか? それくらいの精度で、俺の考えている事を読んでしまう。
これは気をつけなきゃ。毎日ピカに乗って走っている事がバレてしまうのだ。
「ロロ、口に出ているから。それはもうとっくにバレてるよ」
「ええぇッ!?」
俺、喋っちゃっていたのだ。
ぴかさん、ピカさん、バレてるって!
「わふ」
そりゃ、分かるよ。仕方ない。なんて冷めた事を言っている。
だって、ピカに乗って走るのはとっても気持ちが良いのだもの。止められない。
「気をつけるんだよ」
「うん、わかってるのら」
お家が見えてきた。あ、池の側にドルフ爺が立っている。
きっとあれだ。奴だよ、奴。美味しそうな緑の葉っぱで、いやぁ~んて足のあいつだ。
ドルフ爺が池の端をバシコーンと殴っている。ほら、奴だ。マンドラゴラだ。
俺がバシコーンしたかった。
「アハハハ。またいたんだ」
「しちゅこいのら」
「ロロ、もしかして毎日いるの?」
「しょうなのら。どこかからくるのら」
ん? 何だ? と、クリスさんが不思議な顔をしている。
お読みいただき有難うございます!
ララちゃんの口癖は『〜のよ』です。
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リリ④の書籍化作業が佳境に入ってます。(担当編集さんが^^;)
皇帝がかっちょいいですよ〜!
と、いう事で今日はクーファル兄さんを。




