24ーバレバ~レ
だから、見るって何なのだ?
「あ、その話だったね」
そうなのだ。話が全然進まないのだ。
エルフのディさんが『見る』と言っているのは、エルフだけが持つスキル『精霊眼』というスキルで見る事らしい。だから、精霊さんの話になったのだ。
『精霊眼』で見ると、その人が持つスキルや潜在的な能力まで見る事ができるそうのだ。とってもファンタジーなのだ。
「簡単に言うと大抵は全部見えるんだ」
「ひょぉ〜」
凄いのだ。どうせならそんなスキルが欲しかった。あの泣き虫女神に要相談なのだ。
て、まだ俺は自分がどんなスキルを持っているのか知らないけど。
「じゃあ、お姉さんからいいかな?」
「はい、お願いします!」
「元気だね〜……」
と、エルフのディさんのエメラルド色した瞳が光った気がしたのだ。ピカーンてゴールドにさ。
「君は火だね。今でもファイヤーボール位は使えるね」
「はい! 凄いわ、本当に分かるんですね。でも、それだけしかまだできなくて」
「うん、魔力量は充分にあるよ。後は魔力操作だ。君は大雑把すぎる」
「プクク……」
「何よ、レオ。笑わないでよ」
「だって、当たってるじゃない」
「リアは魔力操作を碌に勉強しないで、力任せに無理矢理発動しているだろう。無駄だらけなんだ」
「アハハハ!」
とうとうレオ兄がお腹を抱えて笑ってしまった。ディさんが言った事は、当たっているのだ。
兄弟の中では、リア姉とニコ兄は魔力操作とか苦手なのだ。
「剣を使うんだね。なら、剣に火属性を付与できるように頑張ってみたらいいよ。あれは魔力操作の良い練習になるから。勉強しなさい、そうしたらもっと出来る様になるよ」
「はい! 有難うございます!」
ほら、レオ兄が前から言っていた通りだ。レオ兄も魔力操作の話をしていたのだ。なのに、リア姉とニコ兄は面倒がって碌に練習をしない。
「レオは……3属性なんだね。凄いじゃない」
「なんだと!? レオ、お前3属性も使えんのか!?」
「はい、まあ」
「ギルドに登録した時は風属性だけだっただろう!?」
「はい。毎日使っていたらいつの間にか使える様になったんですよ」
「おいおい、登録内容を更新しろよ!」
「風……ああ、索敵ができるんだね」
「索敵だと!?」
レオ兄は風属性魔法を使って索敵できるのだ。どの辺りに魔物がいるぞ、とかが分かるのだ。後は水と土属性魔法が使えるのだ。
それをディさんは褒めていた。そして、レオ兄は魔力操作が上手だと驚いていたのだ。ほんの少しの魔力で発動できる。それは、とても凄い事なのだ。
「レオ、君は弓で狙ったものは外さないだろう?」
「え……そう言えばそうかも知れません」
今のレオ兄が矢を射ると、百発百中とまではいかなくても滅多に外さないそうだ。それも、風属性魔法を上手く使っているそうなのだ。
「え? 僕、意識していませんでした」
「みたいだね。でも、君は本当に魔力操作が上手だ。支援魔法でリアを補助しているよ」
レオ兄が驚いていた。レオ兄が無意識でリア姉に支援魔法を掛けているそうなのだ。
「支援魔法ですか?」
「そう。攻撃力アップと、物理防御力アップだ」
「え……!?」
「レオ、凄いじゃない!」
レオ兄は全くの無意識だったらしい。きっとあれだ。レオ兄は、それだけリア姉の事を心配しているのだ。
「姉思いな弟だ」
「姉は猪突猛進なので」
「アハハハ、確かにそうだね。でも、レオ。君は魔力を意識しながら見る練習をすればいい。鑑定を使える様になる」
「レオ! お前、凄いじゃないか! 鑑定のスキルを持っている奴なんて、そういないぞ! その上、3属性に索敵だろう!」
ちょっとさっきから、ギルマスが煩いのだ。俺はエルフのディさんのお膝に乗せられている。だから、ギルマスの真横なのだ。大きな声を出されると、煩いのだ。
「うん、君達兄弟は元々の潜在能力が高い。だからなのかな、ロロ」
むむむ、俺の番らしいのだ。
「このハンカチを見た時も驚いたんだけど、それが3歳のちびっ子がした刺繍だと聞いてもっと驚いたんだ」
あんまり、ちびっ子で刺繍をする子はいないだろうな。
だって俺はこういうチマチマした事が好きなのだ。大きくなったらリア姉やレオ兄の服を作りたいと思っている。
時間は掛かるだろうけど、マリーに教わったら出来ると思うのだ。そしたら、守られる様に思いを込めながら服を作ると決めているのだ。
「無意識なのかな? ロロは魔力操作はできる?」
「えっと……ポカポカぐるぐる?」
「ロロ、そうだよ」
「れおにいに教わったのら」
「ロロはまだちびっ子だからね……それにしても……」
ん? 何なのだ?
「ロロは付与魔法が出来るね」
「ああ、やっぱり」
「レオは気付いていたのかな?」
「はい、ハンカチの刺繍を見て」
「うん、君はやはり鑑定の素質があるよ」
『鑑定』はエルフのディさんが使う『精霊眼』の下位スキルらしい。それをレオ兄は使える様になるかも知れない。
今だって、俺が刺繍したのを見て付与されていると分かっていた。レオ兄は凄いのだ。自慢の兄なのだ。ふふん。
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